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「自転車の平均速度って、だいたい何km/hなんだろう」。通勤の所要時間を計算したいとき、ダイエットの強度を知りたいとき、あるいはサイコンに出た数字が速いのか遅いのか判断できないとき、多くの人がこの疑問にぶつかります。ネットを見ると「ママチャリ15km/h、ロードバイク25km/h」といった数字が並んでいますが、出典がはっきりしないものがほとんどです。
先に結論をお伝えします。信号も交通量もない試験走路をママチャリで走った国の調査では平均16.8km/h、同じ人が同じ自転車で公道を走ると平均9.6km/hまで落ちました。つまり「自転車が出せる速度」と「街で実際に出る速度」は、7km/h以上も違うということです。通勤時間の計算で使うべきなのは、当然ながら後者の数字です。
この記事では、国土技術政策総合研究所や国土交通省が公開している実測データをもとに、車種別・走行空間別の平均速度を整理します。そのうえで、所要時間の逆算方法、自分の平均速度を測る道具の選び方、2026年に変わる交通ルールまで、売り場でお客さまに聞かれる順番でお話ししていきます。
・国の実測調査が出した自転車の平均速度(試験走路16.8km/h、公道9.6km/h)の意味
・車道・自転車道・歩道で速度がどれだけ変わるか
・電動アシストが速くなる場面と、差が消える場面
・平均速度から通勤・通学の所要時間を逆算する方法
・自分の平均速度を測るサイコンの選び方と設定の落とし穴
自転車平均速度の正解は3つある|公的調査が出した実測値

まず土台になる数字を押さえます。ここで紹介するのは、いずれも国の研究機関が被験者を集めて実走で計測したデータです。個人の体感ではなく、条件を揃えて測った値なので、自分の速度を比べる物差しとして使えます。
信号も車もない試験走路では、ママチャリで16.8km/h
国土技術政策総合研究所が試験走路(1周約6.1km)で行った調査では、軽快車=いわゆるママチャリの平均自由旅行速度は16.8km/hでした。被験者は10〜50歳代の男女各1人の計10人で、サイクリングを趣味にしていない、日常的にママチャリに乗っている人が選ばれています。中央値も16.8km/h、85%タイル値は18.2km/h、最大値は21.7km/hでした。
この「自由旅行速度」は、道路幅員・交通量・信号といった外的要因の影響を受けない状況で、乗り手が自分で選んだ速度を意味します。言い換えれば「邪魔が入らなければ人はこのくらいで走る」という上限に近い基準値です。だから、この数字をそのまま通学時間の計算に使うと必ず足りなくなります。ちなみに性別差は男性17.1km/h、女性16.5km/hで、統計的な有意差はないという結果でした。
同じ人・同じ自転車でも、公道に出ると9.6km/hまで落ちる
同じ調査の第2弾として、東京都江東区の亀戸駅周辺に設定した約5.0kmのコースで、同じ被験者・同じ自転車による公道調査が行われています。結果は平均旅行速度9.6km/h。試験走路の自由旅行速度から7〜9km/h程度も低下しました。信号待ち、交差点の減速、歩行者との距離調整といった「止まる・緩める」時間が、平均速度をここまで削るということです。
ここが平均速度を語るうえで一番大事な分岐点です。カタログ的な「自転車は時速15km前後」という数字は、走っている最中の速度としては正しくても、A地点からB地点までの移動効率としては楽観的すぎます。片道5kmの通勤なら、後半で紹介する換算表のとおり、9.6km/hでは31分かかります。16.8km/hで計算した18分とは13分の開きが出ます。
街なかの実測は大人14.6km/h、子どもと高齢者は11.4km/h
もうひとつ、香川県高松市で行われた現地調査のデータがあります。学生・大人のサンプル2447人の平均速度は14.6km/h(標準偏差3.1)、幼児・高齢者のサンプル722人は11.4km/h(標準偏差2.39)でした。概数としては一般成人・学生が15km/h程度、幼児・児童・高齢者が11km/h程度と整理されています。
この数字は特定地点を通過する自転車を計測したものなので、信号待ちを含む旅行速度(9.6km/h)より高く出ます。同じ「平均速度」という言葉でも、走行中の速度なのか、停止時間込みの移動速度なのかで数字が変わるわけです。親子で走るときは遅い側に合わせる必要があるので、子どもや祖父母と一緒なら11km/h台を前提に計画すると無理がありません。
「平均速度」という言葉が指す3つの意味
・自由旅行速度=信号・交通量などの制約がない状態で選ばれる速度(軽快車16.8km/h)
・旅行速度=停止時間を含めた出発地から目的地までの平均速度(公道で9.6km/h)
・地点速度・走行速度=ある地点を通過するときの速度(高松市の実測で大人14.6km/h)
サイコンが表示する「平均速度(AV)」は多くの場合、走り出してから止まるまでの計測時間で距離を割った値です。停止中に計測が止まる仕様なら旅行速度より高く出ますし、止めずに計測すれば旅行速度に近づきます。自分の数字を人と比べるときは、まずどの定義の平均かを揃えるところから始めてください。
走る場所で3km/h変わる|車道・自転車道・歩道の速度差
同じ人が同じ自転車で走っても、通行する場所によって速度は変わります。公道調査では走行空間ごとに旅行速度が分解されていて、これが自転車の速度を考えるうえで実用的な材料になります。
車道14.5・細街路14.7・自転車道14.4はほぼ横並び
| 走行空間 | 旅行速度 | 調査コースでの割合 |
|---|---|---|
| 車道 | 14.5km/h | 8.8% |
| 細街路 | 14.7km/h | 24.1% |
| 自転車道 | 14.4km/h | 4.7% |
| 自転車歩行者道 | 11.6km/h | 47.6% |
車道・細街路・自転車道の3つは14.4〜14.7km/hに収まり、差はほとんどありません。つまり「車道は怖いから速く走れない」わけでも「自転車道なら飛ばせる」わけでもなく、歩行者と分離された空間であれば、乗り手が選ぶ速度はほぼ同じということです。注意点として、この調査コースは自転車道の割合が4.7%と短く、区間数も限られています。長い自転車道が続く河川敷などでは事情が変わる可能性があります。
自転車歩行者道だけが11.6km/hに落ちる理由
唯一はっきり低いのが自転車歩行者道の11.6km/hです。他の空間より3km/h前後遅くなっています。理由は単純で、歩行者がいるからです。警視庁は、普通自転車が歩道を通行する場合は車道寄りの部分を徐行し、歩行者の通行を妨げるような場合は一時停止しなければならないと案内しています。徐行は「直ちに停止できる速度」であり、歩行者を追い越すたびに減速すれば平均は当然下がります。
厄介なのは、調査コースの47.6%が自転車歩行者道だったという点です。日本の道路は歩行者と自転車を混在させる形で整備されてきた経緯があり、自転車のみの走行空間が約2,500kmなのに対し、自転車歩行者道は約71,000kmあります。多くの人の通勤路は、構造的に速度が出ない道が過半を占めていると考えたほうが現実的です。なお、歩道の通行方法に違反した場合の罰則は2万円以下の罰金又は科料です。
時間を食っているのは走行区間ではなく交差点
公道調査のコースでは、交差点部が全区間の14.8%を占めていました。距離としては1割強でも、信号待ちと減速・再加速がここに集中するため、旅行時間に占める割合はさらに大きくなります。自由旅行速度16.8km/hが公道で9.6km/hになる主因は、走行中に遅いからではなく、止まっている時間と加速し直す時間が積み上がるからです。
ここから導ける実践的な結論は、「速く走る」より「止まらないルートを選ぶ」ほうが到着時間に効くということです。信号の多い幹線道路より、交差点の少ない裏道や河川沿いのほうが平均速度は上がります。ただし細街路は見通しの悪い出会い頭の危険があるので、速度を上げる前提でルートを変えるのではなく、止まる回数を減らす前提で選ぶのが安全です。
自転車道の設計速度は15km/hと30km/h
道路をつくる側が自転車を何km/hで想定しているかも見ておきましょう。国土交通省の自転車道等の設計基準では、A種の自転車道の設計速度は15km/h(やむを得ない場合は10km/h)、B種の自転車道は30km/h(やむを得ない場合は10km/h)と定められています。通行帯1車線の幅員は1メートル(やむを得ない場合は0.75メートルまで縮小可)です。
A種の15km/hという数字が、実測の旅行速度14.4〜14.7km/hときれいに一致しているのは偶然ではありません。人が普通に走る速度を前提に設計されているということです。逆にいえば、生活道路の自転車道で20km/h以上を出すのは、設計の想定を超えた走り方になります。速度を上げたいなら、場所と時間帯を選ぶ意識を持ってください。
電動アシストなら速い、は半分だけ本当

「電動アシストにすれば通勤が楽で速くなりますよね」。売り場でよく聞かれる質問です。答えは条件つきのイエスで、同じ調査に判断材料が揃っています。
試験走路では18.6km/h、軽快車より約2km/h速い
電動アシスト車の平均自由旅行速度は18.6km/hで、軽快車の16.8km/hに対して約2km/hの差がつきました。中央値は19.1km/h、85%タイル値は19.8km/hで、分布全体が上に寄っています。標準偏差は軽快車の2.1に対してアシスト車が1.8と小さく、誰が乗ってもある程度同じ速度域に収まる傾向も読み取れます。
この差は坂道や発進のたびに効いてきます。信号の多い市街地で、停止から時速十数kmまで持ち上げる回数が多いほど、アシストの恩恵は体力面で大きくなります。ただし、最大値は軽快車・アシスト車ともに21.7km/hで同じでした。アシスト車は「速度の天井を上げる道具」ではなく、「速度の底上げと疲労軽減の道具」だと理解しておくと、買ってからのギャップがありません。
24km/hでアシストが0になる仕組み
この基準を満たさない製品は、消費者庁が「道路を通行すると法令違反となるおそれがある」として注意喚起しています。海外通販などで見かける「アシストが24km/hで切れない」製品は、日本の公道では自転車として扱われません。速度を求めて基準外の製品に手を出すのは、事故時の責任も含めて割に合わない選択です。
実は、公道に出ると軽快車との差が消えた
意外と知られていないのが、同じ調査の公道パートの結果です。公道における平均旅行速度は、軽快車もアシスト車もともに9.6km/h程度で、試験走路で見られた約2km/hの差が消えました。信号や歩行者に支配される街なかでは、アシストの有無が到着時刻をほとんど変えなかったということです。
これは「電動アシストは意味がない」という話ではありません。同じ9.6km/hでも、汗をかいて着くか、息を切らさず着くかは別問題です。荷物や子どもを乗せる、坂を含む、体力に不安がある——そうした条件では価値がはっきり出ます。逆に、平坦で信号の多い片道数kmの通勤で「時短」だけを目的にアシスト車を選ぶと、期待した効果は得にくいという点は正直にお伝えしておきます。
軽快車で20km/h以上出せる人は、アシスト車のほうが遅くなる
調査ではもう一つ興味深い結果が出ています。軽快車で速く走る人ほどアシスト車との速度差が縮まり、軽快車で20km/h以上で走行している人は、アシスト車に乗ると速度がむしろ低下しました。理由はアシスト比率の設計にあります。速度が上がるにつれて補助が減っていく一方で、車重は増えるためです。
普段から軽快車でぐいぐい走れるタイプの人が「もっと速く」を求めて電動アシストに乗り換えると、期待外れになる可能性があります。そういう人が速度を求めるなら、車重の軽いクロスバイクやロードバイクのほうが方向として合っています。電動アシストは、坂・荷物・向かい風で消耗する人のための道具だと考えてください。
ママチャリ・クロスバイク・ロードバイクで何が違うのか
ここまで紹介した公的データは、軽快車と電動アシスト車のものです。ではスポーツ車はどうなのか。実測の公的統計が見当たらない以上、数字の作り方から考える必要があります。
ネットの「ロードバイクは30km/h」を通勤計画に使わない
よくある失敗が、検索で見つけた「ロードバイクの平均速度は25〜30km/h」という数字を通勤時間の計算に使ってしまうケースです。片道10kmを30km/hで走る前提だと20分、実際の街なかでは信号と交差点で倍近くかかることがあります。結果として毎朝ギリギリの家を出る時間が固定され、追い越しや無理な右左折につながります。原因は速度の数字そのものではなく、「信号のない条件で出せる速度」を「停止込みの移動速度」として使ったことにあります。
対策はシンプルで、車種にかかわらず通勤の計画は公道の旅行速度で立て、余裕分は車種のスペックではなくルート選択で確保することです。実測して自分の旅行速度が分かったら、その数字に置き換えていきます。スポーツ車で明確に効くのは巡航の楽さと向かい風・坂での余力であって、市街地の到着時刻ではないという点は押さえておきましょう。

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速度を決めているのはタイヤ周長×ギア比×ケイデンス
ケイデンス=1分間にペダルを回す回数(rpm)。ギア比=前ギアの歯数÷後ギアの歯数。タイヤが1回転で進む距離(タイヤ周長)に、ギア比とケイデンスを掛ければ、理屈のうえでの速度が出ます。
キャットアイ公式のタイヤ周長ガイドの値を使って計算すると、ママチャリに多い26×1-3/8(周長207cm)でギア比2.0・ケイデンス60rpmなら14.9km/hになります。高松市の実測値15km/h程度とほぼ一致するのが分かります。一方、クロスバイクに多い700x28C(周長214cm)でギア比2.5・ケイデンス75rpmなら24.1km/h、ギア比3.0まで上げれば28.9km/hです。
つまり車種の違いとは、変速の幅とペダルを回し続けられる姿勢の違いです。ママチャリでも下り坂や追い風では20km/h台に届きますが、それを維持するにはケイデンスを上げ続ける必要があり、シングルギアの車体では脚が回りきってしまいます。数字の裏側を知っておくと、「速い自転車」の正体が理解できます。
同じケイデンスでも、周長の差はこれだけ効く
タイヤ周長は700x25Cで211cm、700x28Cで214cm、700x32Cで216cm、26×1.75では202cmです。700x28Cと26×1.75の差は12cmで、1回転あたりでは小さく見えますが、ケイデンス75rpmで1分間に75回転すれば距離差は積み上がります。ホイールが大きいほど、同じ回転数で先へ進むということです。
ただし周長が大きいほど発進は重くなります。ミニベロの20×1.75(152cm)が信号の多い街で軽快に感じられるのは、この裏返しです。速度だけで車種を選ぶのではなく、止まる回数の多い道なのか、長く流せる道なのかで選ぶほうが、実際の走りやすさに直結します。
平均速度から通勤・通学の所要時間を逆算する
ここまでの数字を、いちばん使い道のある形に変換します。平均速度が分かれば距離から時間が出せますし、逆に「◯分で着きたい」から必要な速度も見えてきます。
速度別・距離別の所要時間換算表(自転車の教科書調べ)
| 平均速度 | 5kmの所要時間 | 10kmの所要時間 | この速度の位置づけ |
|---|---|---|---|
| 9.6km/h | 31分 | 63分 | 公道の実測旅行速度 |
| 11.6km/h | 26分 | 52分 | 自転車歩行者道中心の道 |
| 14.5km/h | 21分 | 41分 | 車道を流せる道 |
| 16.8km/h | 18分 | 36分 | 軽快車の自由旅行速度 |
| 18.6km/h | 16分 | 32分 | アシスト車の自由旅行速度 |
| 20km/h | 15分 | 30分 | 流れの良い道を走れた場合 |
| 25km/h | 12分 | 24分 | 信号の少ない区間の巡航 |
使い方のコツは、自宅から職場までを「信号の多い区間」と「流せる区間」に分け、それぞれ別の速度で計算して足すことです。全区間を一律16.8km/hで計算するより、はるかに現実に近い数字になります。
自由旅行速度で計算して毎朝遅刻するパターン
もう一つの典型的な失敗が、休日にサイクリングロードで出した平均速度をそのまま平日の通勤計画に持ち込むケースです。休日の河川敷で18km/h台が出たからと片道8kmを27分と見積もり、平日の市街地では信号のたびに止まって40分近くかかる——これは速度の測り方ではなく、条件の違いを無視したことが原因です。
対策は、平日の同じ時間帯に一度だけ実測することです。サイコンの平均速度でもスマホの記録でもかまいません。その数字を基準にして、雨の日と向かい風の日に5分の余裕を足しておけば、朝の焦りはほぼなくなります。焦って速度を上げる走りは、右側通行や信号の見切り発車につながり、後述する反則金の対象行為に近づきます。

「駅まで歩いて、満員電車に揺られて、また歩く」。この毎日を自転車に置き換えられないかと考えたとき、最初に立ちはだかるのが「うちの距離で本当に通えるのか」という疑…
自転車のトリップは5km以内が95%以上
| シーン | 計画に使う速度 | 考え方 |
|---|---|---|
| 市街地の通勤・通学 | 9.6km/h〜11.6km/h | 信号と歩道通行を織り込む |
| 車道主体の郊外ルート | 14.5km/h前後 | 交差点が少なければ届く |
| 子ども・高齢の家族と走る | 11.4km/h | 遅い側に合わせて計画する |
| 休日のロングライド | 20km/h前後 | 補給と休憩の時間を別に足す |
そもそも自転車で最も多いトリップ距離は1km程度で、5km以内のトリップが95%以上を占めるという調査結果があります。多くの人にとって自転車移動は短距離であり、平均速度を1km/h上げることより、駐輪場までの歩きや施錠の手間を含めた「ドアツードアの時間」を短くするほうが効果的です。
速度が上がれば運動強度も上がる
ダイエット目的で乗るなら、速度は運動強度の指標にもなります。改訂第2版の身体活動のメッツ表では、16.2km/時未満の自転車が4.0メッツ、16.2-19.3km/時が6.8メッツ、19.4-22.5km/時が8.0メッツ、22.7-25.8km/時が10.0メッツです。速度帯が一段上がるごとに強度がはっきり増えていくのが分かります。
通勤で自分のペースで走る場合は6.8メッツ、自分で選んだ楽なペースは4.3メッツという値も示されています。ここで注意したいのは、街なかの旅行速度は9.6km/h程度でも、走行中の速度は15km/h前後になるという点です。強度の目安として使うのは走行中の速度のほうで、信号待ちを含む平均速度ではありません。

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自分の平均速度を測るなら?サイコン2機種の比べ方
ここまでの数字と自分を比べるには、まず測ることです。スマホアプリでも記録は取れますが、走行中に速度を見ながら走るなら、ハンドルに固定できる専用機のほうが向いています。入門機の定番2つを、公式スペックで並べてみます。
有線式でとにかく安く始めるならVELO 9
| 項目 | VELO 9(CC-VL820) | VELO WIRELESS+(CC-VT235W) |
|---|---|---|
| 接続方式 | 有線式 | ワイヤレス(送信距離 約20〜70cm) |
| 速度表示範囲 | 0.0(4.0)〜199.9km/h | 0.0(4.0)〜105.9km/h |
| 重量 | 30g | 26.4g |
| 電池寿命 | 約3年(1日1時間使用時) | 本体 約1年/センサー 積算距離約10,000km |
| 希望小売価格 | 3,080円(税込) | 6,380円(税込) |
VELO 9(CC-VL820)は希望小売価格3,080円の有線式で、走行速度・平均速度・最高速度・走行距離・消費カロリー・CO2削減量などを表示します。重量30g、サイズ55.5×37.5×18.5mm、電池はCR2032が1個で寿命は約3年(1日1時間使用時)。IPX8の防水性能があり、雨の通勤でも使えます。配線をフォークに沿わせる手間はありますが、電池交換の頻度が少ないのは通勤機として実用的です。
平均速度と最高速度を3,080円で測り始めたい人に、電池寿命約3年の有線式はこの1台▼
配線を出したくないならVELO WIRELESS+
VELO WIRELESS+(CC-VT235W)は希望小売価格6,380円のワイヤレス機です。重量26.4g、サイズ55.5×37.0×16.5mm、送信距離は約20〜70cm。速度表示範囲は0.0(4.0)〜105.9km/hで、平均速度・最高速度・積算距離に加えてバックライトも備えます。見た目がすっきりするぶん、電池は本体が約1年、センサーは積算距離約10,000kmが目安で、交換の手間はVELO 9より増えます。
選び分けの基準はシンプルです。通勤車で配線が気にならないならVELO 9、輪行や見た目を重視するならVELO WIRELESS+。どちらも表示できる項目は平均速度・最高速度を含めて実用範囲が同じなので、価格差を配線の有無に見合うと感じるかどうかで決めてください。
配線を出さずに平均速度を測りたい人へ、26.4gで着けっぱなしにできるワイヤレス機▼
タイヤ周長の設定ミスで、速度は簡単にずれる
サイコンの速度は「タイヤ1回転で進む距離×回転数」で計算されます。VELO 9のタイヤ周長の初期値は26インチです。700x28Cのクロスバイクに初期値のまま取り付けると、周長214cmであるべきところが小さい値で計算され、表示速度も距離も実際より低く出ます。
設定値はキャットアイ公式のタイヤ周長ガイドから拾えます。700x25Cは211cm、700x28Cは214cm、700x32Cは216cm、26×1-3/8は207cm、20×1.75は152cmです。より正確に測りたい場合は、空気圧を適正にして体重をかけた状態でタイヤを1回転させ、路面の寸法を測る方法が公式に案内されています。設定できる範囲はタイヤ周長100〜299cmです。
「思ったより速度が出ない」とご相談を受ける原因の多くが、この設定漏れです。買い替えやタイヤ交換でサイズが変わったときも、周長の再設定を忘れないでください。なお、どちらの機種も表示は0.0(4.0)km/hからで、歩くような速度では計測が始まりません。約10分間信号が入らないと節電画面に切り替わる仕様も、故障と間違えやすいポイントです。
速度を上げる前に確認したい2026年のルール
最後に、速度と法律の関係を整理します。ここは毎年のように変わる分野なので、公式の現行表記を確認しながら読み進めてください。
自転車に法定速度はない、でも標識には従う
警視庁は「自転車は自動車や原動機付自転車と異なり、政令で定める最高速度(いわゆる法定速度)はありません」と明記しています。ただし続けて「道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度をこえる速度で進行してはいけません」とも書かれています。標識のある道では、自転車も指定速度の対象になるということです。
「自転車は何km/h出してもいい」と誤解している人は少なくありませんが、正しくは「一律の上限はないが、標識と安全運転義務の範囲内で走る」です。加えて、自転車が車道を通行するときは道路の中央から左側部分の左端に寄って通行する決まりがあります。速度を出す前に、走る位置を正しくするほうが先です。
歩道では徐行、違反すれば2万円以下の罰金又は科料
歩道を通行できる場合でも、普通自転車は車道寄りの部分を徐行し、歩行者の通行を妨げるような場合は一時停止しなければなりません。普通自転車通行指定部分がない歩道では、中央から車道寄りの部分を通行します。この通行方法に違反した場合の罰則は2万円以下の罰金又は科料です。
実測データで自転車歩行者道の旅行速度が11.6km/hだったのは、この徐行義務を守って走ればそうなるということでもあります。歩道を「速度が落ちる道」と捉えて、通勤ルートから外す判断ができるなら、そのほうが歩行者にとっても自分にとっても安全です。
2026年4月1日から自転車に青切符
自転車の交通反則通告制度(青切符)は令和8年4月1日(2026年4月1日)施行、対象は16歳以上、対象となる違反行為は113種類です。反則金の例は、携帯電話使用等(保持)12,000円、遮断踏切立入り7,000円、信号無視6,000円、車道の右側通行6,000円、自転車制動装置(ブレーキ)不良5,000円。16歳未満は原則として指導警告です。
速度そのものより、速度を出したときに起きやすい行為が対象になっている点に注目してください。急いでいるときほど信号の見切り発車や右側通行が起きます。時間に追われて速度を上げるより、家を5分早く出るほうが安全でも財布にも優しいという、身も蓋もない結論になります。
2026年9月1日からは生活道路が30km/hに
警察庁は、中央線等がない生活道路について、自動車の法定速度を60km/hから30km/hへ引き下げると案内しています。施行日は令和8年9月1日です。中央線や車両通行帯がある一般道路、中央分離帯で分離された道路、高速自動車国道と自動車専用道路は対象外です。
自転車への直接の規制ではありませんが、影響は小さくありません。自転車が14.5km/h前後で走る細街路で、クルマの速度が下がれば速度差が縮まります。速度差が小さいほど、追い越し時の危険は減ります。これから通勤ルートを考える人は、幹線道路より生活道路を経由するルートの安全性が相対的に上がると考えてよいでしょう。
まとめ|自転車平均速度は「どこで測った数字か」で決まる
ここまで見てきたとおり、平均速度の数字は「どんな条件で測ったか」を抜きにすると使えません。試験走路の16.8km/hも、公道の9.6km/hも、街なかの14.6km/hも、どれも正しい実測値です。違うのは信号や歩行者という条件のほうで、自分の走る道がどれに近いかを見極められれば、他人の数字に振り回されずに済みます。
最初の一歩としておすすめしたいのは、平日の通勤時間帯に片道を1回だけ計測してみることです。スマホでもサイコンでもかまいません。自分の旅行速度が9.6km/hに近いのか14km/h台なのかが分かれば、家を出る時間も、ルートを変えるべきかどうかも、根拠を持って決められます。速度を上げる工夫は、その後で十分間に合いますし、止まる回数を減らすルート選びのほうが到着時刻には効きます。
※交通ルールと反則金は改正が続く分野です。最新情報は警察庁の自転車ポータルサイトや、警視庁の自転車の交通ルール、走行速度の出典である土木技術資料の調査報告、電動アシストの基準を示す消費者庁の注意喚起、製品仕様はキャットアイ公式サイトでご確認ください。

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