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クロスバイクで片道10kmを走ると、後半で小指側がジンとしびれてくる。信号待ちのたびに手を開いてグーパーしている。そんな状態で自転車店に来るお客さんに、まず勧められることが多いのがエルゴンのグリップです。
結論から言うと、エルゴングリップは「手のひらが当たる面積を広げて、圧力を分散させる」ことに特化した人間工学グリップです。だから効くかどうかは、まず自分の自転車のハンドルに正しく付くか、そして手に合ったサイズを選べるかで決まります。値段は現行の公式ラインナップで4,400円から12,100円まで幅があり、上位モデルほど高いのではなく「バーエンドが付いているかどうか」で価格が変わります。
この記事では、エルゴン公式サイトと公式取扱説明書の記載をもとに、買う前に確認する数字、SサイズとLサイズの本当の意味、GP・GS・GA・GC・GTというシリーズ記号の読み方、用途別の選び方までを、売り場で説明する順番のまま整理します。
・エルゴングリップが手のしびれ対策になる仕組みと、その限界
・買う前に確認する3つの数字(バー径22.2mm・グリップ幅・カーボン対応)
・SサイズとLサイズは長さではなく握りの太さが約10mm違うという話
・現行モデルの価格・長さ・重量の比較と、用途別の選び方
エルゴングリップが手のしびれに効くのは、握る面積が広いから

エルゴンのグリップは、丸い棒状のグリップとくらべて手のひらが乗る面が広いのが最大の特徴です。なぜそれが手のしびれ対策になるのか、公式の説明を追いながら見ていきます。
手がしびれるのは、体重が小さな面に集まるから
手のしびれの原因は、握力不足でも根性不足でもありません。エルゴン公式は「手はハンドルバーで上半身の大部分の重さを支えるため、小さな部分に常に高い圧力がかかっており、その結果、神経が刺激されることがあります」と説明しています。前傾姿勢のクロスバイクやロードバイクでは、上半身の重さの一部が両手に乗り続けます。その荷重が丸いグリップの直径十数ミリぶんの帯にだけ集中すると、皮膚の浅いところを通る神経が押され続けることになります。
さらに公式は、手首を過度に曲げると正中神経が圧迫され、親指や指に不快感が生じるとも書いています。つまり「圧力の集中」と「手首の角度」の2つが重なった状態が、あの信号待ちごとに手を振りたくなる感覚の背景にあるわけです。逆に言えば、この2つを同時にずらせるパーツなら効果が期待できます。ただし、しびれや痛みが長く続く場合は自転車の問題とは限りません。無理に走り続けず、状態に応じて医療機関の判断を仰ぐ選択も持っておいてください。
ウィング形状がやっていることは、圧力の分散
エルゴングリップの特徴である翼のような張り出し(ウィング)は、飾りではなく圧力分散のための面です。公式は「圧力をより良く分散する必要があります。グリップの接触面を広げることで、圧力はより均等に分散され、神経が刺激されにくくなります」と説明しています。手のひらの小指側は皮膚のすぐ下を尺骨神経が通っていて圧迫に敏感なため、ここを面で受けるかどうかが体感の差になります。
加えてウィングは手首の角度そのものにも効きます。公式の記載では、ウィングデザインが手をサポートし、人間工学的に最適かつ自然な位置に手首がくるよう設計されているとされています。実際のグリップは指・親指・手のひらの各エリアでテクスチャーが作り分けられており、握る場所ごとに役割が違います。デメリットは、面が広いぶんグリップ自体が重くなること、そして角度を間違えると逆に手首を不自然な方向へ固定してしまうことです。付けて終わりではなく、角度調整までがセットの製品だと考えてください。
それでも改善しないときは、グリップ以外に原因がある
グリップを替えれば必ず解決する、とは言えません。手にかかる荷重の大きさを決めているのは、サドルとハンドルの高低差、ステムの長さ、サドルの前後位置といったポジション全体だからです。ハンドルが低すぎる状態のままグリップだけ広げても、乗る面が広がるだけで荷重そのものは減りません。
エルゴンの取扱説明書自体が、この点をはっきり書いています。「手の痛みや痺れが取れない場合、専門店に自転車全体のフィッティングを含めて相談される事を推奨します」という一文です。メーカー自身がグリップ単体で完結しないと認めているわけで、ここは信用していい記述だと思います。順番としては、まずグリップと角度で改善するかを試し、それでも残るならポジションを疑う。この二段構えが現実的です。
ウィンググリップ=手のひら側に翼状の面を持たせ、接触面積を広げて圧力を分散させる形状のグリップ。エルゴンはこの形状を「圧力をより均等に分散し、尺骨神経の刺激を軽減する」ものとして説明しています。ロックオン=グリップ内部の樹脂芯をボルトでハンドルに締め付けて固定する方式。差し込むだけのタイプと違い、位置と角度を狙って固定できます。
買う前に必ず確認する3つの数字と、幅が足りない車体の落とし穴
エルゴングリップで最初につまずくのは、性能ではなく適合です。ここを外すと箱を開けた瞬間に付かないことが分かります。確認すべきは、バーの径・グリップの幅・カーボン対応の3点です。
対応するのは「グリップ部22.2mm」のハンドルだけ
エルゴンの取扱説明書には「ハンドルバーは直径22.2mmの業界標準を満たしているものを使用してください」と明記されています。フラットバー・ライザーバーの両端は基本的にこの径で、クロスバイク、MTB、ミニベロ、シティサイクルの多くが該当します。逆に、ドロップハンドルのバーテープを巻く部分は径が違うので対象外です。
ここで混同しやすいのが、ハンドル中央のクランプ径です。たとえばあさひが扱うアルミフラットバーの仕様は「バークランプ径31.8mm/グリップ部22.2mm」と表記されています。31.8mmはステムが挟む中央部の太さで、グリップが入る両端は22.2mmという意味です。カタログで31.8mmという数字だけを見て「うちのバーは太いから付かない」と判断するのは早計で、見るべきは両端の径のほうです。心配なら、いま付いているグリップを1本抜いてノギスか定規で端の直径を測るのが確実です。
ハンドルそのものの選び方や幅の考え方は、こちらの記事で詳しく整理しています。

クロスバイクに乗り始めて数週間、手のひらの外側がじんわり痺れる。車道の端を走っていると、ハンドルの端がやけに幅広く感じる。あるいは前傾がきつくて、信号待ちのたび…
グリップシフト車は左右で長さが違うモデルを選ぶ
径が合っていても、ハンドルの空きスペースが足りなければ入りません。エルゴンはここを製品側で解決していて、取扱説明書には仕様別のグリップ幅が書かれています。GP2/GP3系はスタンダードが135 / 135 mm、右側だけ内装変速のグリップシフトが付く車体向けが135 / 100 mm、左右ともグリップシフト仕様が100 / 100 mmです。GP1 Evoはスタンダードが130 / 130 mm、右グリップシフト用が130 / 95 mmとなっています。
内装3段のシティサイクルや一部のeバイクは、右手側にシフターが占める幅があります。そこへ左右同じ長さのグリップを買うと、右だけ数センチ入らないという事態になります。公式ラインナップにはGS1 Evo Long / Short(6,160円)のように、はじめから片側を短くした型番が用意されているので、グリップシフト車やブレーキレバー・ベル・ライト・スマホホルダーで両端が混み合っている車体では、こちらを候補にしてください。
カーボンハンドルに使えるモデル・使えないモデル
意外と見落とされるのがカーボンバーへの可否です。エルゴンはモデルごとに扱いが分かれていて、GP1 Evoの取扱説明書には「カーボンハンドルバーには使用できません」とはっきり書かれています。GP5 Evoも公式ページでカーボンハンドルバー非対応です。一方でGS1 Evo、GS3、GA3、GA2、GE1 Evo、GC1はカーボンハンドルバーにも使用可能と記載されています。
理由はクランプの締め付け方式にあります。金属クランプで局所的に締める構造は、繊維でできたカーボンバーにとっては潰れ方向の負担になります。カーボンのフラットバーを使っているなら、製品ページの記載を必ず確認してから買ってください。判断がつかない場合は、対応可と明記されたモデルを選ぶほうが安全です。
よくある失敗①:幅を測らずに買って、右側だけ入らない。グリップシフトやベル、ライトブラケットで埋まった車体に左右同じ長さのグリップを買うと起きます。原因は「グリップの長さ=ハンドルの空き寸法」を確認していないこと。対策は、いま付いているグリップの端から端までと、シフター・レバーまでの空きをメジャーで測り、その数値と製品のグリップ幅(例:135 / 100 mm)を照合してから注文することです。足りなければLong / Short仕様に切り替えます。
SとLは長さではなく「握りの太さ」が約10mm違う

エルゴンで最も誤解されているのがサイズ表記です。ここを勘違いすると、手に合わないグリップを買って「思ったほど楽にならない」で終わってしまいます。
S/Lはグリップの長さではなく、握った時の太さ
エルゴン公式は「グリップ自体の長さや幅ではなく手のひらの大きさや指の長さなどに対応するよう、握った時の太さが変えられています」と説明しています。GP1の製品ページでも、SとLは握った時の太さが約10mm異なるとされています。つまりLサイズは長いグリップではなく、太いグリップです。
重量にもその差が出ます。GP1はSが170g/ペア、Lが215g/ペアで、長さはどちらも132mm。GP1 EvoはSが155g/ペア、Lが200g/ペアで、こちらも長さは132mmで共通です。同じ長さなのに重量だけ違うのは、太さぶんのラバーが増えているからだと分かります。手の小さい人がLを選ぶと指が回りきらずに握力を余計に使い、逆に手の大きい人がSを選ぶと手のひらの支えが物足りなくなります。数値で選びにくい部分なので、ここは実物を握るのが最短です。
「Long / Short」はサイズとはまったく別の話
もうひとつ紛らわしいのが、GP1 Long / Long、GS1 Evo Long / Shortといった型番の後半部分です。これは左右それぞれのグリップの長さを表しており、S/Lという握り太さの区分とは別軸です。Long / Longなら左右とも標準の長さ、Long / Shortなら片側が短い仕様、Short / Shortなら左右とも短い仕様という読み方になります。
したがって、たとえば「手が大きくて、右側は内装変速のシフターで幅が狭い」という人は、太さでLを選び、長さでLong / Shortを選ぶという二段階の指定になります。通販の商品ページではこの2つが同じ行に並んで表示されることが多く、片方だけ見て注文すると意図と違うものが届きます。注文確定前に、太さの区分と左右の長さ表記の両方が希望どおりかを確認してください。
迷ったときの決め方は、公式が答えを書いている
サイズ選びについてエルゴン公式は、取扱店で実物を握って確かめることを推奨しています。手の大きさは身長や性別ときれいに相関するわけではなく、指の長さや手のひらの厚み、さらに「深く握る癖があるか、手のひらを預けて乗るか」という乗り方でも最適解が変わるからです。
それでも実店舗に行けない場合の考え方としては、手袋のサイズがMより小さい人はS、Lより大きい人はLから検討する、というのがひとつの目安になります。ただしこれはあくまで出発点で、公式が示す基準ではありません。もう一点、店頭で握るときは「立ったまま手に持って握る」のではなく、実際にハンドルに付いた状態で前傾姿勢を作って握らせてもらうことが大事です。手首の角度が変わると、同じグリップでも太さの感じ方が変わります。
GP・GS・GA・GC・GT——シリーズ記号の読み解き方
エルゴンの型番は暗号のようですが、法則が分かると一気に選びやすくなります。頭のアルファベットが用途、続く数字がバーエンドの大きさ、末尾のEvoが世代、と覚えてください。
GPシリーズ:数字が大きいほどバーエンドが長い
GPは快適性重視の主力シリーズです。数字はグレードの上下ではなく、バーエンド(角のように前へ突き出す部分)の有無と長さを表しています。バーエンドなしのGP1 Long / Longが5,500円、GP1 Evo Long / Longが7,150円。短いバーエンドを持つGP2 Evoはバーエンド長63mmで8,250円、やや長いGP3 Evoが82mmで9,350円、5本の指を掛けられる長さのGP5 Evoが142mmで12,100円という並びです。
バーエンドが長いほど、登り坂で引きつけたり、長距離で手の位置を変えたりする自由度が上がります。一方で重量は増え、GP5 Evoは445g/ペア(S)と、GP1の170g/ペア(S)とは別物の重さになります。街中で頻繁に信号待ちをする使い方では、長いバーエンドはハンドル周りが混み合う原因にもなります。通勤・通学メインならGP1系、週末に距離を走るならGP3 Evo以上、という切り分けが分かりやすいはずです。
GS・GC・GTシリーズ:姿勢の違いで選ぶ3つ
GSはスポーティな中間キャラクターで、GS1 Evoが6,710円、長さ137.15mm。公式は用途を「ツーリング、トレイルライド、eバイク、バイクパッキング ライドなど」としており、カーボンハンドルバーにも使用可能です。バーエンド付きのGS3は9,460円で、バーエンド長89mm、グリップとバーエンドの取付角度を独立して自由に設定できるのが特徴です。
GC1(6,160円・長さ135mm・230g/ペア)は少し毛色が違い、公式が「バックスウィープ角30°〜60°のハンドルバーに最適」としています。ハンドルが手前に大きく曲がった、上体を起こして乗るタイプの自転車向けということです。GT1(6,820円・長さ146mm)は4つのハンドポジションを取れるマルチポジション型で、公式は「MTBやeバイク、クロスバイクやミニベロに最適。通勤・通学、街乗りから長距離ツーリング・ロングライドまで」と説明しています。姿勢が起きている自転車ならGC1やGT1、前傾があるならGPやGS、と考えると迷いにくくなります。
GA・GE・GXRシリーズ:薄くて軽いMTB系
GA・GE・GXRは、手のひらを預けるより操作性を優先する薄型グループです。GA3は4,840円で長さ134mm・115g/ペア、GA2は4,400円で長さ137mm・110g/ペア。GE1 Evoは5,280円で長さ136mm・110g/ペアと、いずれもGPシリーズの半分以下の重量です。GXRは4,400円で、公式グリップ一覧のなかでも最安価格帯にあたります。
これらはウィングが小さいか、ほぼフラットな形状です。荒れた路面で手を細かく動かす前提の設計なので、舗装路をまっすぐ走る通勤で手のしびれを減らしたい人が選ぶと、期待した効果が出にくいことがあります。逆に、街乗りでも「手を固定されるのが好きではない」「軽さと見た目重視」という人には合います。GA2はクランプを内側に配置してグリップの端部まで握れる構造で、GE1 Evoは公式が長時間の下りでの手の疲労を抑える設計としています。
バーエンドの延長線上にあるブルホーン化を考えている人は、こちらも参考になります。

| 目的・シーン | 向いているシリーズ | 価格(税込) |
|---|---|---|
| 片道10kmの通勤・通学 | GP1(バーエンドなしで取り回し優先) | 5,500円 |
| 週末の50km超ロングライド | GP3 Evo(バーエンド82mmで持ち替え可) | 9,350円 |
| 上体を起こす街乗り・ミニベロ | GC1/GT1(ポジションの自由度重視) | 6,160円/6,820円 |
| MTB・グラベルで操作性優先 | GA3/GE1 Evo(薄型・軽量) | 4,840円/5,280円 |

エルゴングリップの現行モデルを価格と重量で並べてみる

ここまでの情報を、エルゴン公式サイトの現行グリップ一覧と各製品ページの公表値から一枚の表にまとめます。数値はすべてメーカー公表値で、当サイトが公式ページを1件ずつ確認して並べ直したものです。
4,400円から12,100円までの価格差は何の差か
| モデル | 長さ | 重量(ペア) | バーエンド長 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|---|
| GA2 | 137mm | 110g | なし | 4,400円 |
| GA3 | 134mm | 115g | なし | 4,840円 |
| GE1 Evo | 136mm | 110g | なし | 5,280円 |
| GP1 Long / Long | 132mm | S 170g/L 215g | なし | 5,500円 |
| GC1 | 135mm | 230g | なし | 6,160円 |
| GS1 Evo | 137.15mm | 公表なし | なし | 6,710円 |
| GT1 | 146mm | S 230g/L 255g | なし(多ポジション形状) | 6,820円 |
| GP1 Evo Long / Long | 132mm | S 155g/L 200g | なし | 7,150円 |
| GP2 Evo | 132mm | S 230g/L 260g | 63mm | 8,250円 |
| GP3 Evo | 132mm | S 230g/L 260g | 82mm | 9,350円 |
| GS3 | 143mm | S 230g/L 245g | 89mm | 9,460円 |
| GP5 Evo | 144mm | S 445g/L 475g | 142mm | 12,100円 |
並べてみると、価格を押し上げているのはバーエンドの有無だとはっきり分かります。バーエンドなしのグループは4,400円から7,150円に収まり、バーエンドが付くGP2 Evo以上は8,250円からのレンジです。GP4 Evoは10,780円、最上位のGP5 Evo Biokorkは13,750円という価格になります。快適性の指標として値段を見るのではなく、「バーエンドを使う乗り方をするかどうか」で予算を決めるのが正解です。
110gと475g——重量差は同じジャンルとは思えない
重量差も見ておく価値があります。最軽量のGA2とGE1 Evoが110g/ペア、GA3が115g/ペアなのに対し、GP5 Evoは445g/ペア(S)から。同じ「エルゴンのグリップ」でも4倍前後の開きがあります。これは素材と構造の差で、GP5 Evoはグラスファイバー コンポジットのバーエンドを備え、GA系は薄いラバーだけで構成されているためです。
ハンドルの端は自転車のなかでも慣性の影響が出やすい場所で、重いグリップを付けるとハンドリングが穏やかに、悪く言えば重く感じられます。軽快さを大事にしたい人が最初からGP5 Evoに行くのはおすすめしにくく、まずバーエンドなしから試すほうが失敗が少ないと思います。逆に、荷物を積んで長距離を走る使い方では、この重量増は気にならない範囲です。
実は、通販で見かける型番は現行世代とは限らない
意外と知られていませんが、通販サイトに並んでいるエルゴングリップには、公式の現行一覧にない旧世代モデルが混ざっています。たとえばサイクルヨシダでは「ERGON GP4 グリップ」が定価9,570円・販売価格8,613円で掲載されていますが、エルゴン公式の現行グリップ一覧に載っているのはGP4 Evo(10,780円)です。同様に、GP5(Evoなし)の公式製品ページは現在404で、一覧にはGP5 Evoが掲載されています。
旧世代が悪い製品というわけではなく、在庫として流通しているだけです。ただし、レビュー記事で見た型番をそのまま検索すると、現行と仕様の違う製品にたどり着くことがあります。旧GP4は長さ145mm・バーエンドキャップ含む105mm・S 300g/ペアで、現行のGP系とは寸法が異なります。買う前に、その型番がエルゴン公式サイトの現行一覧にあるかを一度確認しておくと、後から「レビューと形が違う」と悩まずに済みます。
用途別に、結局どれを買えばいいのか
ここからは実際の使い方に落とし込みます。同じ「手が痛い」でも、走る距離と姿勢によって選ぶべきモデルは変わります。
片道10kmの通勤・通学なら、まずバーエンドなしから
信号と交差点が多い通勤路では、バーエンドが付いたグリップの恩恵は小さめです。手の位置を変える機会が少なく、むしろ端が張り出すぶん、混雑した歩道の押し歩きや駐輪ラックへの出し入れで引っかかります。ここで薦めやすいのはGP1 Long / Long(5,500円)です。長さ132mm、S 170g/ペアで、手のひらを預ける面はしっかり確保しつつ、ハンドル周りをすっきり保てます。
予算を上げられるならGP1 Evo Long / Long(7,150円)が上位互換で、S 155g/ペアと軽く、ドイツ製ラバーを2種類のコンパウンドで使い分けています。ただしGP1 Evoはカーボンハンドルバーに使用できない点だけ注意してください。デメリットとしては、バーエンドがないぶん、登り坂でハンドルを引きつける動作の自由度は上がりません。通勤路に長い坂が含まれる人は、次の項目のバーエンド付きも検討する価値があります。
週末に50km以上走るなら、バーエンドで持ち替えを増やす
長い距離を走ると、同じ握り方を続けること自体が疲労になります。ここで効くのがバーエンドです。GP3 Evo(9,350円)はバーエンド長82mmで、登りで引きつける動作にも、平坦で手首の角度を変える動作にも使えます。もっと大きく持ち替えたいならGS3(9,460円)で、こちらはバーエンド長89mm、グリップとバーエンドの角度を独立して設定できるのが利点です。
5本の指をしっかり掛けたい人向けがGP5 Evo(12,100円)で、バーエンド長142mm。ただしS 445g/ペアという重量とカーボンハンドルバー非対応という制約があります。ツーリングやバイクパッキングのように荷物を積んで走る使い方、あるいは4つのハンドポジションが欲しい人にはGT1(6,820円・長さ146mm)も選択肢です。注意点として、バーエンドを付けるとブレーキレバーやシフターの位置調整が必要になる場合があります。レバーに指が届くかを必ず確認してください。
ミニベロ・eバイク・上体を起こす自転車ならGC1かGT1
ハンドルが手前に曲がっていて、背筋を伸ばして乗るタイプの自転車では、前傾前提のグリップは角度が合いません。公式が「バックスウィープ角30°〜60°のハンドルバーに最適」としているGC1(6,160円・長さ135mm・230g/ペア)は、まさにこの層向けです。カーボンハンドルバーにも対応し、S/Lで太さが約10mm変わるサイズ展開もあります。
eバイクや電動アシスト車は車重があるぶん、ハンドルにかかる荷重が大きくなりがちです。GS1 Evo(6,710円)は公式がeバイクを用途に挙げているモデルで、長さ137.15mm、カーボンハンドルバーにも使用可能。ミニベロで両端が混み合っている場合は、GS1 Evo Long / Short(6,160円)という手もあります。注意点は、アップライトな姿勢では手のひらにかかる荷重がそもそも小さいため、劇的な変化を期待しすぎないことです。効くのは長時間乗ったときのジワジワした疲れのほうです。
MTB・グラベルは、握り替えの邪魔をしない薄型を
未舗装路では、ハンドルを細かく操作する自由度のほうが快適性より優先されます。GA3(4,840円・134mm・115g/ペア)はMTB向けで、トレイルライドやクロスカントリー、ツーリングにも適するとされ、カーボンハンドルバーにも対応。6色展開なので車体の色に合わせやすいのも実用的な利点です。
GA2(4,400円・137mm・110g/ペア)はクランプを内側に配置してグリップの端部まで握れる構造で、オールマウンテン向け。長い下りが多い人には、柔らかめのラバーで下りでの手の疲労を抑える設計のGE1 Evo(5,280円・136mm・110g/ペア)が候補です。デメリットは、薄型はウィングによる面の支えが小さいこと。舗装路の通勤でしびれを減らす目的なら、GP1系のほうが合います。
迷ったら「バーエンドを使う乗り方をするか」で二分してください。通勤・街乗り中心ならバーエンドなしのGP1(5,500円)かGP1 Evo(7,150円)。週末に距離を走る、登りが多い、荷物を積むならバーエンド付きのGP3 Evo(9,350円)以上。この2択で外れることはあまりありません。
取り付けは5Nmと50kmが目安、工賃880円で頼む手もある
エルゴングリップは角度調整ができる代わりに、正しく締めることが前提の製品です。取扱説明書の指示を守れば作業自体は難しくありませんが、締めすぎと締め足りないの両方にリスクがあります。
取り付け手順は洗浄から始まる
公式の手順は次の流れです。①ハンドルバーの直径が22.2mmであること、グリップの取り付けに十分な幅があること、クランプの圧力に耐えられるバーであることを確認する。②取り付ける前に、ハンドルバーをアルコールまたは脱脂洗浄剤で洗浄する。③古いグリップを外し、クランプボルトを緩めてグリップを差し込む。④ブレーキレバーやシフターの位置を必要に応じて内側に寄せる。⑤角度を仮決めして、指定の六角レンチとトルクレンチで締める。
推奨トルクはモデルで違います。GP1 EvoとGP2/GP2 Evo/GP3/GP3 Evoは4mm六角レンチで5Nm、GP5は5mm六角レンチで8Nmです。洗浄を省くとグリップが滑って回る原因になり、逆にトルクレンチなしで力任せに締めるとクランプやハンドルを傷めます。バーテープやグリップの脱着に慣れていない人は、ここでトルクレンチを1本用意しておくと、この先のステム・シートポストの作業にも使えます。
角度は「一度で決めない」のが正解
ウィングの角度は、机の上で正解が出るものではありません。エルゴンの取扱説明書は「テストライドと調整を繰り返して、あなたにとって最適な角度を探してください」「最適な角度は左右で異なる事があります」と書いています。左右対称に揃えるのが正しいと思い込んでいると、かえって合わないことがあるという意味です。
実際の決め方としては、まずウィングの面が地面と水平よりやや後ろ下がりになるあたりから始め、実際の乗車姿勢で手を乗せたときに手首がまっすぐ伸びる角度を探します。仮締めの状態で数キロ走り、しびれの出方を見て微調整する。この往復を2〜3回やると落ち着きます。仮締めのまま長距離を走るのは危険なので、走行前には必ず規定トルクまで締めてください。
50kmごとのトルク確認と、日常のお手入れ
付けたら終わりではありません。エルゴンの取扱説明書は「50kmの乗車ごとにトルクを確認し、推奨トルクを維持してください」としています。走行中にグリップが回るのは転倒に直結するため、この確認は面倒でも省かないでください。実際には、通勤で使うなら週末ごとに六角レンチで軽く確認する運用が現実的です。
清掃はぬるま湯と柔らかいスポンジを使い、使用後に乾かします。公式は「グリップに石油ベースの製品や溶剤、油やグリスを使用しないでください」と明記しています。チェーン注油のついでにパーツクリーナーを吹くと、ラバーを傷めるので気をつけてください。なお保証期間は購入日から2年間で、製造上の欠陥による機械部品の不良が対象です。保証を受けるには購入日の日付が入った領収書が必要になるため、レシートは保管しておきましょう。
自分でやるか、店に頼むかの分かれ目
自分でやる自信がない場合は、店に頼む選択肢があります。サイクルベースあさひの修理工賃表では、MTB・クロスバイク(フラットハンドル)のグリップ交換が880円、バーエンド付きの場合は基本工賃に880円が加算されます。シティサイクルのグリップ交換(左右セット)も880円、バーエンドバーの取付は1,980円です。工賃は税込の基本工賃で部品代は別途、店舗・時期により異なる場合があります。
判断の目安は、ブレーキレバーやシフターの移動が必要かどうかです。グリップを差し替えるだけなら自分で十分ですが、レバー位置をずらすとブレーキの効きに関わります。ブレーキ周りに手を入れる作業に不安があるなら、迷わず自転車店に依頼してください。エルゴンの取扱説明書自体、取り付けは自転車整備資格を持つ整備士・専門店に相談することを推奨しています。グリップ交換の全体像は、こちらの記事でも解説しています。

クロスバイクに1年ほど乗ると、必ずと言っていいほど手が「グリップの相談」を始めます。表面が白く粉を吹いてきた、握るとベタつく、10kmを過ぎたあたりで手のひらの…
締め付けトルクはモデルごとに異なります(GP1 Evo・GP2/GP3系は4mm六角レンチで5Nm、GP5は5mm六角レンチで8Nm)。トルクレンチがない場合は無理をせず店に依頼してください。走行前にはグリップが回らないかを必ず確認し、ブレーキレバーの位置を動かした場合はレバーが確実に握れるかを低速で試してから公道に出ましょう。
まとめ:エルゴングリップ選びは適合・サイズ・バーエンドの3ステップ
最初の一歩としておすすめなのは、いま付いているグリップを1本だけ抜いて、ハンドル端の直径と、シフターまでの空き寸法を測ってみることです。この2つの数字が分かれば、あとは公式の製品ページでグリップ幅とカーボン対応の記載を照合するだけで候補は数モデルに絞れます。そのうえで取扱店に行き、絞った候補のS/Lを実際に握ってみてください。エルゴン公式も、サイズは取扱店で実物を握って確かめることを推奨しています。握るときは立ったままではなく、前傾姿勢を作って手を乗せると、実走に近い太さの感じ方が分かります。取り付け後も一度で角度を決め込まず、数キロ走っては微調整する往復を2〜3回繰り返すと落ち着きます。しびれの原因がポジション側にある可能性も含めて、そのとき店で相談できるのがいちばんの近道です。
価格・仕様は改定されることがあります。購入前にエルゴン公式サイトのグリップ一覧と、グリップの人間工学に関する公式解説、取り付け時は公式取扱説明書(PDF)、工賃はサイクルベースあさひの修理工賃表で最新情報をご確認ください。

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