自転車保険に入ろうと調べ始めると、月150円という数字と、家族で月6,720円という数字が同じ検索結果に並びます。10倍以上の開きがあると、自分が払うべき金額がいくらなのかが逆に分からなくなります。安いものは補償が足りないのか、高いものは何が違うのか。この判断がつかないまま保留にしている人は少なくありません。
結論から言うと、自転車保険の金額は「誰を守るか」「どんなケガまで守るか」「どう払うか」の3つでほぼ決まります。相手への賠償だけを備えるなら年1,800円の共済ルートや、すでに契約している自動車保険に年2,050円で付ける特約ルートがあり、自分のケガの入院・通院まで手厚く備えると家族単位で年73,390円まで上がります。どれも「自転車保険」と呼ばれていますが、買っているものが違います。
この記事では、au損保・PayPayほけん・セブン‐イレブン・都道府県民共済・TSマークという5つのルートの金額を公式サイトの数字だけで並べ、そのうえで神戸地裁が命じた9,521万円という賠償額に対して、いくらの保険料が現実的なのかを整理します。保険料の高い・安いではなく、自分の使い方に対して過不足のない金額を決めるための材料をそろえます。
・自転車保険の金額が月150円から月6,720円まで開く理由
・保険料を動かす3つのスイッチ(対象者・補償範囲・払い方)
・au損保/ちょこっと保険/セブン‐イレブン/共済/TSマークの公式料金
・賠償の保険金額は1億円で足りるのか、判決の実額から考える
自転車保険の金額は月150円から月6,720円まで開く

いちばん安いルートは年1,800円の共済の個人賠償責任保険
相手への賠償だけを目的にするなら、都道府県民共済の個人賠償責任保険が年額1,800円、1か月あたりの保険料150円という水準で用意されています。保険金額は3億円限度で、日本国内の示談交渉サービスが付き、加入者本人だけでなく配偶者、本人または配偶者の同居の親族および別居の未婚の子まで補償の対象になります。保険期間1年・団体割引30%・一時払という設計で、この金額が成立しています。
ただし条件があります。都道府県民共済の生命共済や新型火災共済などにすでに加入していることが前提で、単独ではこの保険だけに入れません。また補償されるのは相手への賠償であり、自分が転んで骨折した治療費は対象外です。すでに共済に入っている家庭にとっては最短ルートですが、共済に未加入の人がこのために共済へ入り直すと、本体の掛金が別に発生する点は計算に入れてください。
単独で入る自転車保険は本人月340円・家族月650円から
共済に頼らず自転車保険そのものに入る場合、au損保のBycleが本人タイプ ブロンズコースで月払340円、家族タイプ ブロンズコースで月払650円という金額から始まります。一時払にすると本人タイプ ブロンズコースが年3,810円、家族タイプ ブロンズコースが年7,080円です。ブロンズコースでも個人賠償責任補償は2億円、入院保険金日額4,000円(自転車事故なら8,000円)が付き、条例が求める賠償の備えは満たせる構成になっています。
家族タイプが本人タイプの2倍程度に収まっているのが、この手の商品の特徴です。家族の人数が増えても金額は変わらないため、3人以上の世帯ほど1人あたりの負担は下がります。逆に言えば、ひとり暮らしの人が家族タイプを選ぶ理由はありません。申込時に選ぶタイプが金額の出発点になります。
5つのルートの月額を並べると価格帯が3つに分かれる
| ルート | いちばん安い金額 | 賠償の保険金額 | 自分のケガ |
|---|---|---|---|
| 都道府県民共済の個人賠償 | 年1,800円(月150円) | 3億円限度 | 補償なし |
| 自動車保険の個人賠償責任特約 | 年2,050円 | 契約により異なる | 補償なし |
| ちょこっと保険 自転車プラン | 本人型 月額390円 | 1億円限度 | 入院日額1,000円 |
| au損保 Bycle | 本人月払340円/家族月払650円 | 2億円〜3億円 | 入院日額4,000円〜 |
| セブン‐イレブンの自転車保険 | お1人様プラン 年3,220円 | 最高3億円 | 入院日額8,000円 |
表にすると、賠償だけを買う年1,800円〜年2,050円の層、自分の入院も薄く付く月額数百円の層、入院・通院まで厚く備える年数万円の層の3つに分かれます。どの層を選ぶかを先に決めると、商品選びは一気に楽になります。
保険料を動かしているのは3つのスイッチだけ
個人賠償責任補償=他人にケガをさせたり他人の物を壊して法律上の損害賠償責任を負ったときに支払われる補償。自転車保険の中心はここで、自分のケガを補償する傷害保険の部分とは別建てです。条例が加入を求めているのも、この賠償の部分です。
スイッチ1:誰を対象にするかで金額は2〜3倍動く
同じ商品・同じコースでも、補償対象を本人にするか家族全員にするかで金額が変わります。au損保のBycle シルバーコースなら、本人タイプが月払560円、本人・親族タイプが月払940円、家族タイプが月払1,150円です。本人・親族タイプは配偶者を対象外にする設計で、本人タイプと家族タイプの中間に位置します。
独身なら本人タイプ、共働きで配偶者が別に個人賠償の備えを持っているなら本人・親族タイプ、子どもが自転車通学しているなら家族タイプ、という分け方が現実的です。ここで迷って家族タイプを選ぶと、必要のない人数分まで払い続けることになります。逆に、子どもの事故は親の監督責任が問われるため、学齢期の子がいる家庭で本人タイプだけにするのは備えとして薄くなります。
スイッチ2:交通事故だけか、日常生活のケガまでか
au損保には補償範囲の違う2商品があり、Bycleは自転車事故を含む交通事故によるケガ、Bycle Bestは部活・レジャーを含む日常生活の事故によるケガまでを補償します。本人タイプ ブロンズコースで比べると、Bycleが月払340円、Bycle Bestが月払860円です。
ここが金額の分かれ目でありながら、いちばん誤解されるところでもあります。両者の保険金額の一覧はほぼ同じで、個人賠償責任補償はブロンズコースで2億円、シルバー・ゴールドコースで3億円。つまり相手への賠償は同額で、差額は「自転車に乗っていないときのケガも拾うかどうか」に払っているお金です。部活で骨折する年代の子がいるなら意味のある差ですが、自転車事故の賠償だけが目的なら払う必要のない部分です。
スイッチ3:コースと払い方で最後のひと押し
コースはブロンズ・シルバー・ゴールドの3段階です。Bycleの本人タイプなら月払340円・560円・1,130円で、上がるほど通院保険金日額(シルバーで1,000円、ゴールドで2,000円)が付き、ゴールドコースには法律相談費用5万円と弁護士費用等300万円が加わります。入院までしない軽傷では通院補償の有無が効いてくるため、金額差の中身を見ずにブロンズを選ぶと支払われない場面が出ます。
払い方も効きます。月払ではなく一時払(一括払)にすると年単位で安くなり、さらに2年契約にすると1年契約(一時払)と比べて約5%おトクになると公式に明記されています。ただし2年契約は一時払のみの取り扱いで、途中で他社に乗り換えにくくなる点は妥協点です。保険料改定の多い分野なので、金額差と身軽さを天秤にかけてください。
賠償の保険金額は1億円で足りるのか

判決で命じられた実額は9,521万円にのぼる
長野県が公表している自転車事故高額賠償事例の一覧には、平成25年7月の神戸地方裁判所の判決として9,521万円が記載されています。男子小学生(11)が夜間、自転車での帰宅途中に歩行中の女性(62)と正面衝突し、被害者は頭蓋骨骨折で意識が戻らず、監督責任を問われた母親に賠償が命じられたものです。同じ一覧には東京地方裁判所 平成20年6月の9,266万円、平成15年9月の6,779万円、平成19年4月の5,438万円、横浜地方裁判所 平成17年11月の5,000万円も並びます。
金額の桁を見ると、賠償の保険金額が1,000万円では届かない事例が現実にあることが分かります。警察庁の自転車ポータルサイトによれば自転車関連事故は7万件前後と横ばいで推移し、自転車対歩行者の事故件数はむしろ増加傾向です。確率は低くても、当たったときの金額が家計の外にある。これが賠償を最優先にする理由です。
1億円と3億円の差は、保険料にほとんど出ない
では3億円にすると高くつくのかというと、そうではありません。ちょこっと保険の日常生活賠償保険金はスモール・ミディアム・ラージの全セット共通で1億円限度、都道府県民共済の個人賠償責任保険は年1,800円で3億円限度です。au損保のBycleも、ブロンズコースの2億円からシルバーコースの3億円への差額は、通院補償や入院一時金の追加分と一体で動いています。
賠償の上限だけを引き上げるために大きく払う場面は、実はほとんどありません。金額を比べるときは「賠償が何億円か」よりも、自分のケガの補償にいくら払っているかを見たほうが、商品間の違いがはっきりします。
実は上限額より、示談交渉サービスの有無が効いてくる
意外と知られていませんが、被害者と直接向き合う作業を保険会社が代わってくれるかどうかは、上限額の大小より生活への影響が大きい部分です。都道府県民共済の個人賠償責任保険は日本国内示談交渉サービス付き、セブン‐イレブンの自転車保険は国内示談交渉サービス付き、au損保のBycleも個人賠償責任補償に示談交渉サービスが付きます(自己負担額なし)。一方でTSマーク付帯保険は、示談交渉サービスが付くのは令和4年12月1日に導入された緑色TSマークだけです。
ただし示談交渉は「法律上の賠償責任がある事故」が前提で、責任の有無そのものが争われる場面や、自分が被害者側になる場面では働き方が変わります。事故後の話し合いをどう進めるかは弁護士など専門家の領域なので、保険の役割は費用と交渉の窓口までと考えておくのが安全です。

「サイクル保険」で検索すると、楽天サイクル保険、サイクル安心保険、au損保のBycle、TSマーク付帯保険……名前も仕組みもバラバラの選択肢が並びます。どれが「…
すでに払っている可能性がある2つのルート
自動車保険に年2,050円で付けられる個人賠償責任特約
自動車を持っている家庭なら、自転車保険を新規契約する前に自動車保険の内容を確認する価値があります。損保ジャパンの公式FAQでは、個人賠償責任特約の保険料を年間2,050円程度(2025年1月1日以降の保険開始日の契約)と案内しています。日常生活で他人にケガをさせたり他人の物を壊して法律上の損害賠償責任を負った場合に備える特約で、自転車に乗っているときの事故も日常生活の事故に含まれます。
この特約の強みは、家族が自動的に対象になることと、契約が1本で済むことです。弱点は、自分のケガがまったく補償されないことと、自動車保険を解約すると同時に自転車の賠償の備えも消えることです。車を手放すタイミングで補償の空白が生まれやすいので、乗り換え時期には必ず確認してください。

共済と火災保険の付帯を見落としていないか
都道府県民共済の個人賠償責任保険は、年額1,800円・1か月あたりの保険料150円で3億円限度という金額設定です。2026年度専用のパンフレットには、補償開始日により初年度保険料が異なることも明記されています。火災保険やクレジットカードにも同種の特約が付いていることがあり、「入った覚えはないが補償はある」という状態は珍しくありません。
確認の手順はシンプルです。①自動車保険の証券で特約欄を見る ②火災保険・共済の加入内容一覧を開く ③クレジットカードの付帯保険ページを開く ④勤務先や学校の団体保険の案内を見る。この4カ所を10分見るだけで、新規契約が必要かどうかが判断できます。
失敗パターン①:同じ補償を二重に払い続ける
もっとも多いのが、自動車保険にすでに個人賠償責任特約が付いているのに、子どもの学校で案内された保険と、通販型の自転車保険にも加入してしまうケースです。個人賠償責任保険は実際に発生した損害額を補償する性質のもので、3件加入していても賠償金が3倍出るわけではありません。年2,050円の特約と年1,800円の共済を両方持っていても、使えるのは実損分だけです。
対策は、契約する前に「賠償」と「自分のケガ」を分けて棚卸しすることです。賠償が重複していたら、示談交渉サービスが付いている側を残して片方を外す。自分のケガの補償が足りなければ、賠償ではなく傷害保険の部分を足す。この順番で整理すると、支払う金額は下がって補償の穴はふさがります。
自転車保険の金額を商品別に並べる
au損保 Bycle/Bycle Best:コース別に3段階
Bycleの1年契約は、本人タイプが月払340円・560円・1,130円(一時払 年3,810円・6,180円・12,240円)、家族タイプが月払650円・1,150円・1,890円(一時払 年7,080円・12,740円・20,580円)、本人・親族タイプが月払550円・940円・1,620円(一時払 年6,000円・10,460円・17,610円)です。2年契約の一時払なら本人タイプが7,230円・11,720円・23,250円、家族タイプが13,450円・24,200円・39,080円になります。
日常生活のケガまで補償するBycle Bestは、本人タイプが月払860円・1,570円・2,370円(一時払 年9,400円・17,140円・25,840円)、家族タイプが月払2,590円・5,020円・6,720円(一時払 年28,280円・54,940円・73,390円)です。家族タイプ ゴールドコースの一時払73,390円は、この記事で扱う中で最も高い金額になります。手厚いぶん金額も上がるので、自転車以外のケガを他の保険でカバーしていないかを先に確認したいところです。
ちょこっと保険 自転車プラン:月額390円から3,550円
PayPayほけんのちょこっと保険は、スモールセットが本人型 月額390円・夫婦型590円・家族型990円、ミディアムセットが760円・1,270円・2,270円、ラージセットが1,130円・1,950円・3,550円という構成です(2025年10月以降に補償開始した場合の金額)。日常生活賠償保険金は全セット共通で1億円限度、傷害入院保険金はスモール日額1,000円・ミディアム2,000円・ラージ3,000円、傷害通院保険金は500円・1,000円・1,500円です。
スモールセットは傷害死亡・後遺障害保険金の設定がないかわりに、月額390円という入りやすい金額になっています。申込画面で補償内容をカスタマイズできるため、「賠償は要るが死亡保険金は他で足りている」という調整ができるのが特徴です。賠償の上限が1億円である点は、3億円の商品と並べたときの見どころになります。
セブン‐イレブンの自転車保険:年3,220円から
三井住友海上が引き受けるセブン‐イレブンの自転車保険は、お1人様プランが年3,220円、ご夫婦プランが年3,980円、ご家族プランが年5,890円です。個人賠償責任(日常生活賠償保険金)は最高3億円、死亡保険金1,000万円、後遺障害保険金 最高1,000万円、入院保険金日額8,000円、手術保険金は入院中8万円・入院中以外4万円で、国内示談交渉サービスが付きます。
年額表示で分かりやすく、店頭のマルチコピー機やネット予約から手続きできる導線が強みです。一方で通院は対象外なので、打撲や軽い骨折で通院だけした場合には支払われません。入院するほどではないケガの頻度を考えると、ここは妥協点として理解したうえで選ぶ部分です。
TSマーク付帯保険には「保険料」という金額が存在しない
TSマークは、自転車安全整備店で点検整備を受けた普通自転車に貼るシールで、傷害保険と賠償責任保険が付帯します。日本交通管理技術協会の案内では、TSマークを貼る料金は自転車の点検整備を受ける料金であり、点検整備を受けずにTSマークだけを貼ることはできないと明記されています。部品交換が必要なら部品代は別料金です。つまり保険料という独立した金額はなく、整備代に含まれる形になります。
補償は色で分かれます。緑色TSマークは賠償責任補償が限度額1億円(すべての人身事故・示談交渉サービス付き)で傷害補償は死亡・重度後遺障害 一律50万円、入院15日以上 一律5万円。赤色TSマークは賠償責任補償 限度額1億円、傷害補償 一律100万円、入院15日以上 一律10万円、被害者見舞金 一律10万円。青色TSマークは賠償責任補償 限度額1,000万円、傷害補償 一律30万円、入院15日以上 一律1万円です。有効期間は点検基準日から1年間で、更新しなければ補償は切れます。
家族構成と年齢で変わる、払うべき金額の目安
| こんな人 | 現実的な選択 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 車を持っている家庭 | 自動車保険の個人賠償責任特約を確認 | 年2,050円 |
| 共済に入っている家庭 | 個人賠償責任保険を上乗せ | 年1,800円(月150円) |
| 子どもが自転車通学 | 家族タイプで賠償+ケガをまとめる | 家族月払650円〜1,890円 |
| ひとり暮らしの通勤 | 本人型で通院まで付ける | 本人月払340円〜1,130円 |
| 70才以上 | シニア向け商品を検討 | 月払760円 |
子どもが自転車に乗る家庭は「賠償+監督責任」で考える
9,521万円の判決が小学生の事故であったことが示すとおり、子どもの自転車事故では保護者の監督責任が問われます。国土交通省の標準条例でも、保険加入の対象者として自転車利用者本人だけでなく保護者が挙げられています。したがって子どもが乗る家庭では、本人タイプではなく家族タイプか、家族全員が対象になる個人賠償責任保険を選ぶのが基本線です。
金額で言えば、共済ルートなら年1,800円、単独契約ならau損保の家族タイプ ブロンズコース 月払650円(一時払 年7,080円)あたりが出発点になります。通学距離が長く、部活でもケガのリスクがあるなら、日常生活まで補償するBycle Bestの家族タイプ月払2,590円も選択肢に入ります。学校の団体保険と重複しやすい部分なので、案内文を確認してから決めてください。
ひとり暮らしの通勤ライダーは通院補償の有無で決める
通勤で毎日乗る人が実際に遭遇しやすいのは、大事故よりも接触や転倒による打撲・骨折です。入院に至らず通院だけで終わるケースが多いため、通院保険金日額が付くかどうかが金額に見合うかの分かれ目になります。au損保のBycle 本人タイプなら、通院補償が付くシルバーコースが月払560円、通院日額2,000円と弁護士費用等300万円まで付くゴールドコースが月払1,130円です。
逆に、健康保険と勤務先の制度で治療費をまかなえるなら、賠償だけを年2,050円の特約や年1,800円の共済で押さえ、ケガの補償を持たない判断も成り立ちます。自分の預貯金でどこまで受け止められるかが基準で、これは他人が決められません。
70才以上はシニア専用商品という選択肢がある
au損保のBycle Sは、保険開始日時点で70才〜89才の人を対象にした商品で、月払(12回払)760円、一時払8,310円です。個人賠償責任補償2億円、死亡保険金200万円(自転車事故は400万円)、入院一時金(3日以上の入院で)2万円(自転車事故は4万円)、ヘルメット着用中死亡100万円、法律相談費用5万円、弁護士費用等300万円という内容で、50kmまでの搬送に対応する自転車ロードサービスも付帯します。
警察庁の統計では、自転車乗用中死者のうち65歳以上が約7割を占め、約5割が頭部を負傷しています。年齢で加入できる商品が限られてくる分野なので、一般向け商品の年齢上限に引っかかった場合の受け皿として押さえておくと選択肢が途切れません。加入前に補償開始日時点の年齢条件を必ず確認してください。
金額だけで選ぶと後悔する4つの落とし穴
・条例が求めているのは「賠償」であって自分のケガの補償ではない
・通院が対象外の商品は、入院しないケガでは支払われない
・TSマーク付帯保険の有効期間は点検基準日から1年間
・保険料は改定される。補償開始日で初年度保険料が変わる商品もある
条例が求めているのは賠償の備えだけ
国土交通省の資料によれば、令和6年4月1日現在で自転車損害賠償責任保険等への加入を義務付ける条例があるのは34都府県、努力義務としているのが10道県、未制定が3県です。対象者は自転車利用者、保護者、事業者、自転車貸付事業者などとされ、平成27年10月に兵庫県が条例改正で導入したのが最初でした。
ここで求められているのは他人への賠償の備えであり、自分のケガの補償ではありません。だからこそ「年1,800円の共済でも条例を満たせる」という話が成立します。金額の安い選択肢が条例違反になるわけではないので、まず賠償を確保し、そのうえで自分のケガをどうするかを別に考える順番が合理的です。

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失敗パターン②:安いプランで通院だけのケガに何も出なかった
自転車で転んで手首を打撲し、整形外科に何度か通っただけで終わった。このとき通院補償のないプランだと、保険金は支払われません。セブン‐イレブンの自転車保険は通院が対象外、au損保のBycle ブロンズコースにも通院保険金はありません。TSマーク付帯保険にいたっては、傷害補償の支払対象が入院15日以上で、通院は対象外と明記されています。
対策は、契約前に「自分が遭いそうなケガで、いくら出るのか」を1件シミュレーションすることです。通院が多いと見込むならBycleならシルバーコース(本人月払560円、通院日額1,000円)以上、ちょこっと保険ならミディアムセット(本人型 月額760円、通院日額1,000円)以上を選ぶ。安さだけで決めると、いざというときに手続きだけして保険金が出ないという結果になりがちです。
TSマークは1年で切れる。更新を忘れると補償がない
TSマーク付帯保険の有効期間は、TSマークに記載されている点検基準日から1年間です。自転車を買ったときに貼ってもらったまま数年乗っている場合、シールは貼ってあっても補償は切れています。また補償対象は自転車の所有者に限らず、その自転車に乗車している家族や友人等も含まれる仕組みなので、家族で共用している自転車ほど更新の意味が大きくなります。
更新は自転車安全整備店での点検整備とセットです。整備代がかかる一方、ブレーキやタイヤの状態を1年に1度プロが見る機会にもなります。ブレーキまわりの不具合を自分で判断するのは難しいので、不安があるときは自転車店に見てもらってください。
保険料も補償内容も改定される前提で見る
この記事の金額は2026年9月時点で各社公式サイトに掲載されている値です。都道府県民共済の個人賠償責任保険のパンフレットには補償開始日により初年度保険料が異なると書かれ、ちょこっと保険の金額も2025年10月以降に補償開始した場合の数字として案内されています。自転車をめぐる制度自体も動いており、警察庁は令和8年(2026年)4月1日から16歳以上を対象に自転車の交通反則通告制度(青切符)を導入しています。
比較サイトの表は更新が追いついていないことがあるため、申し込む直前に必ず各社の公式ページで現在の保険料と補償内容を確認してください。金額が同じでも、通院補償や示談交渉サービスの有無が改定で変わることがあります。
まとめ:自転車保険の金額は「賠償から先に決める」と迷わない
最初の一歩は、新しい保険を探すことではありません。自動車保険の証券と火災保険・共済の加入内容を開き、個人賠償責任の特約が付いているかどうかを確認するところからです。付いていれば追加の出費なしで条例の求める備えは整っており、足りないのは自分のケガの補償だけだと分かります。付いていなければ、共済ルートか自転車保険の本人タイプか家族タイプかを、この記事の表で当てはめてください。
※保険料・補償内容は改定されます。申し込み前に各社公式サイトで最新の内容をご確認ください。事故後の過失割合や示談の進め方など法律上の判断については、弁護士など専門家にご相談ください。
参考:国土交通省「自転車損害賠償責任保険等への加入促進について」/警察庁 自転車ポータルサイト「事故・違反の発生状況」/公益財団法人日本交通管理技術協会「TSマークのQ&A」/au損害保険「Bycleの保険金額と保険料」/PayPayほけん「ちょこっと保険 自転車プラン」/セブン‐イレブンで入る保険「自転車保険」/都道府県民共済 個人賠償責任保険

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