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MTBに乗っていて「下りの途中で手のひらが滑る」「1時間走ると小指側がしびれてくる」と感じているなら、原因はサスペンションでもタイヤでもなく、手が唯一触れているグリップかもしれません。数千円のパーツですが、車体の中で体重と衝撃を直接受け止めている部品はここだけです。
結論から言うと、MTBのグリップ選びで最初に決めるのは「太さ」と「固定方式」の2つです。ハンドルに差し込む内径は22.2mmでほぼ統一されているので、ほとんどの製品はあなたのMTBに付きます。分かれ目は握ったときの太さ(外径30mm前後か、32mm、あるいは36mm)と、ネジで固定するロックオン式か、差し込むだけのスリップオン式か。ここを外すと、どんな高価なグリップでも手が痛くなります。
この記事では、エルゴンやODI、DMR、ESIなどメーカー公式に載っている数値を並べて、太さ・重量・長さ・価格の違いを整理します。そのうえで目的別に11モデルを紹介し、交換の手順と自分でやるか店に頼むかの判断ライン、交換しても症状が消えないときに見るべき場所まで一本でたどれるようにしました。
・内径22.2mmが共通でも、握り径30mm・32mm・36mmで乗り味がまったく変わる理由
・ロックオン式とスリップオン式のメリットとデメリット
・目的別に選べる11モデルの長さ・重量・価格(メーカー公式スペックで比較)
・自分で交換する手順と、工賃880円で店に頼む判断ライン
MTBのグリップは太さと固定方式でほぼ決まる

グリップ選びは製品名から入ると迷います。先に規格と方式を押さえると、候補は一気に絞れます。MTB用として売られているグリップは、ハンドルに差し込む穴の内径がほぼ共通で、違いが出るのは外側の太さ、長さ、固定方式、素材の4点です。この4点の意味が分かれば、店頭やネットの商品ページを見ただけで自分に合うかどうかが判断できます。
内径22.2mmはほぼ共通、迷うのは太さと長さ
MTBやクロスバイクのフラットバーは、グリップが入る部分の直径が22.2mmで統一されています。エルゴンの取扱説明書でも、取り付け前に「ハンドルバーは直径22.2mmの業界標準を満たしているものを使用してください」と明記されています。ESIのシリコングリップも22mm規格バー対応、ウルフトゥースのFat Pawも対応ハンドル径22.2mmです。つまり車種を問わず、MTB用グリップはほぼそのまま付きます。
混同しやすいのが、ステムが挟むハンドル中央のクランプ径です。こちらは太いサイズが主流ですが、グリップが入る端の部分とは別の寸法なので、グリップ選びでは気にする必要がありません。確認すべきは「ハンドルの端にグリップを差し込む幅が足りているか」で、シフターやブレーキレバーを内側に寄せていると、長いグリップが入らないことがあります。
グリップの長さは130mmから136mmが標準域で、この範囲なら多くのMTBでそのまま収まります。ただしレバー類の位置によっては数mmの差で干渉します。今付いているグリップの長さを定規で測ってから買うと失敗しません。
内径22.2mm=グリップがハンドルバーに差し込まれる穴の直径。フラットバーの端の外径に合わせた規格で、MTB用グリップはほぼこの数値。商品ページの「外径」「グリップ径」はこれとは別で、握ったときの太さを指す。
ロックオンとスリップオン、後悔が少ないのはどちらか
雨の日も走るなら、ネジで固定するロックオン式を選ぶのが無難です。ロックオン式はグリップの内側にアルミやプラスチックのスリーブが入っていて、六角ボルトでハンドルに締め付けます。ODIのELITE PRO V2.1やRUFFIAN V2.1はV2.1シングルクランプ、DMRのDEATH GRIP 2はテーパードコアによるシングルクランプシステムを採用しています。
スリップオン式(差し込むだけのタイプ)は、ESI Grips Chunkyの重量60gのように軽く仕上がるのが利点です。ロックオンの金具ぶんが省けるので、同じ太さでも軽く、振動も直接的にいなしてくれます。反面、雨や汗が入ると回りやすく、外すときはハンドルを傷つけないよう時間をかける必要があります。
どちらが優れているかではなく、走る条件で選ぶ話です。トレイルで雨天走行もするならロックオン、天気を選んで乗るクロスカントリー寄りの使い方や軽量化優先ならスリップオン。この整理で候補は半分に減ります。
握り径30mmと36mmはまったく別物
同じMTB用グリップでも、握ったときの太さには大きな幅があります。細い側はODI RUFFIAN V2.1の直径30mmやESI Racer’s Edgeの外径30mm、中間がESI Grips Chunkyの外径32mmやLIZARD SKINS CHARGER EVOの外径32mm、太い側はウルフトゥースのFat Paw Lock-On Gripsの直径36mmです。
細いグリップは指が回り込みやすく、ハンドルを押さえ込む操作がしやすいので、荒れた路面でバイクを振る走り方と相性がいいです。太いグリップは手のひらへの接地面積が広がり、圧力が分散して長時間でもしびれにくくなります。ただし太すぎると指を開いた状態で握り続けることになり、前腕が先に疲れます。
DMRのDEATH GRIP 2のように、同じモデルでTHIN 29.8mmとTHICK 31.3mmの2太さを用意している製品もあります。今のグリップが合わないと感じているなら、いきなりブランドを変えるより同じシリーズで太さだけ変える方が、変化の原因がはっきりします。
長さ130mmから136mmの中で何を基準に選ぶか
長さは操作性よりも「レバー類が今の位置に収まるか」で決まります。ESI Grips Chunkyは130mm、ODI ELITE PRO V2.1も130mm、ウルフトゥースFat Pawは132mm、エルゴンGA3は134mm、ODI RUFFIAN V2.1とDMR DEATH GRIP 2は135mm、エルゴンGE1 EvoとLIZARD SKINS CHARGER EVOは136mmです。
手が大きい人や、グリップの外側の端まで使って押さえ込む乗り方をする人は、135mm前後の長めが手のひらを支えてくれます。逆に、ハンドルを短くカットしていたり、ドロッパーポストのレバーやベルをハンドルに付けている場合は、130mmの短めのほうが取り回しが楽です。
注意したいのは、長いグリップを選んだときにハンドルの端から数mmはみ出してしまうケースです。はみ出した部分は握っても支えがなく、転倒時に力がかかって裂けることもあります。ハンドルの端とグリップの端が揃う長さを選ぶのが基本です。
太さは手のサイズと走る場所から逆算する
「太いほうが疲れにくい」と言われることもあれば「細いほうがコントロールしやすい」とも言われます。どちらも正しく、条件が違うだけです。自分の手のサイズと、実際に走っている場所の2つから逆算すれば、30mm前後・32mm前後・36mmのどれを選ぶべきかは決まります。
細めが向くのはテクニカルな下りと小さめの手
ODI RUFFIAN V2.1の直径30mmやESI Racer’s Edgeの外径30mmのような細いグリップは、指が第二関節までしっかり回り込みます。そのぶん少ない力で握れるので、根や石でハンドルが跳ねる場面でも手が離れにくくなります。手が小さめの人、女性やジュニアのライダーにも扱いやすい太さです。
デメリットは、手のひらの一点に圧力が集中しやすいこと。長い下りを何本も続けて走ると、手のひらの外側にしびれが出ることがあります。舗装路のロングライドが中心の使い方には、正直あまり向きません。
細さを選ぶなら、グローブの厚みも合わせて考えます。冬用の厚いグローブを常用する人は、グローブの厚みが実質的な太さに上乗せされるので、細めのグリップでちょうど良くなることが多いです。夏に薄手のグローブへ替えた途端に細く感じる、という揺り戻しも頭に入れておきましょう。
太めが向くのは長時間ライドと手のひらの圧迫
ESI Grips Chunkyの外径32mmやウルフトゥースFat Paw Lock-On Gripsの直径36mmのような太いグリップは、手のひら全体でハンドルに乗る感覚になります。接地面積が広がるぶん、1点あたりの圧力が下がり、長時間でも手のひらが痛くなりにくいのが利点です。厚手のシリコンフォームを使ったFat Pawは重量153gと重めですが、振動が指先に届く前に吸収してくれます。
向いているのは、林道やグラベルを含む長めの周回コース、e-MTBで距離を伸ばす使い方、冬に寒さで握力が落ちやすい人です。太さがあるぶん、力を入れずに手を「乗せる」だけで保持できます。
注意点は、ブレーキレバーまでの距離が実質的に遠くなることです。太いグリップに替えると人差し指がレバーに届きにくくなるので、レバーの引き代調整(リーチアジャスト)が付いているブレーキなら同時に調整します。ここを放置すると、ブレーキが遅れて怖い思いをします。
エルゴンが公式に説明する「握った時の太さ」の考え方
グリップの選び方をメーカーが正面から説明している例として、エルゴンの公式解説が参考になります。エルゴンはサイズ表記のSとLについて「グリップ自体の長さや幅ではなく手のひらの大きさや指の長さなどに対応するよう、握った時の太さが変えられています」と説明しています。つまりSとLは長さの違いではなく、握り心地の太さの違いです。
同じ公式ページでは、街乗り・ツーリング・ロングライド、スポーツライド・フィットネスライド、MTBマラソン・クロスカントリー、オールマウンテン・トレイル、エンデューロ、ダウンヒル・グラビティ、フリーライド、クロスカントリーレースといった用途区分ごとに推奨モデルを整理しています。自分がどの区分で走っているかを決めてから製品を見ると、候補が絞れます。
そしてエルゴンは、取扱店で実物を握って確かめることを推奨しています。太さの感覚は数値だけでは判断しきれないので、これは理にかなったアドバイスです。近くに取扱店があるなら、購入前に握らせてもらうのが遠回りに見えて最短です。詳しい用途区分はエルゴン公式サイトの解説ページで確認できます。
失敗パターン①:太いグリップに替えたら前腕が先に売り切れた
手のしびれ対策として太いグリップへ交換したのに、かえって疲れが早く来るのはよくある失敗です。原因は、手のサイズに対して太すぎるグリップを選んだこと。指が回り込まない太さだと、握力だけでハンドルを保持することになり、前腕の筋肉が常に緊張します。1時間程度の下りで腕がパンプして握れなくなる、という状態です。
対策はシンプルで、直径36mmのような極太から32mm前後に落とすか、DMR DEATH GRIP 2のようにTHIN 29.8mmとTHICK 31.3mmを選べるモデルで一段細くすることです。しびれの原因が太さではなくハンドル位置や空気圧だった、というケースも多いので、太さを上げる前に他の要素を疑う順番も大切です。
グリップを太くする前に確認したい3点。①今のグリップの長さと外径を測る、②ブレーキレバーのリーチ調整が可能か見る、③普段使うグローブを着けた状態で握ってみる。この3つを飛ばすと、買い替えを2回繰り返すことになります。
素材で変わる振動の消え方とベタつき

太さと固定方式が決まったら、次は素材です。MTB用グリップの素材は大きくシリコン系とラバー/TPE系に分かれ、振動の消え方、雨に濡れたときのグリップ力、そして寿命がはっきり違います。価格だけで選ぶと「1年で溶けたように減った」という結果になりがちです。
シリコンは軽くて衝撃を吸うが、減りは早い
ESI Grips Chunkyは素材がシリコンで、外径32mmの太さがありながら重量60gに収まります。さらに細いESI Racer’s Edgeは外径30mmで重量50gです。ゴムより密度が低いぶん軽く、路面からの細かい突き上げを内部でつぶしてくれる感触があります。ラテックスとゴムを含まない素材なので、ゴムかぶれが気になる人にも選択肢になります。
使いどころは、クロスカントリーやマラソン系の長距離、軽量化を積み重ねているハードテールです。バープラグが付属し、22mm規格バーに対応します。価格はESI Grips Chunkyで3,190円と、この軽さのわりに手が届く水準です。
デメリットも正直に言うと、耐摩耗性はラバー系に劣ります。グローブの縫い目が当たる部分から毛羽立ち、砂を噛むと減りが早まります。また、泥が付くと表面がつるつるになりやすいので、泥が深いコースを走る人には不向きです。
外径32mmの太さで重量60gに収まる軽さと衝撃吸収を両立したいならこのシリコングリップ▼
ラバー・TPE系は耐久とパターンの自由度で選ばれる
DMR DEATH GRIP 2はクレイトンラバー、ODI RUFFIAN V2.1はODIソフトコンパウンドTPEを採用しています。こうしたゴム系素材の強みは、型で細かいパターンを作れることと、摩耗に強いことです。DEATH GRIP 2は親指側にマッシュルームパターン、外側にダイヤモンドナールとワッフルリブを組み合わせ、握る場所ごとに役割を変えています。
ODIのELITE PRO V2.1は前面にハーフワッフル、表面にバリアブルナールを配し、端部にはソフトで丈夫な素材の補強エンドを入れています。これは転倒時にグリップの端が裂けるのを防ぐ構造で、林道で木や地面に当てやすいMTBでは効いてきます。
弱点は重量です。ODI ELITE PRO V2.1は重量100g、DMR DEATH GRIP 2も重量100g、エルゴンGA3は重量115gと、シリコンの倍前後になります。ただしグリップの数十gは走りへの影響が小さく、耐久性と引き換えなら許容できる範囲でしょう。
ソフトコンパウンドと雨天のグリップ力
雨の日に滑るかどうかは、素材の硬さとパターンの深さで決まります。ODIのソフトコンパウンドやDMRのRACE仕様のように、柔らかいゴムを使ったモデルは濡れた手でも食い付きますが、そのぶん減りが早くなります。硬めのゴムは長持ちしますが、雨では指が滑る感覚が出やすいです。
実用上の落としどころは、年間を通してよく走る条件に合わせることです。梅雨と冬しか雨に当たらないなら標準的なコンパウンド、通勤や通学でも使っていて雨天走行が多いなら柔らかめ。柔らかいグリップは年1回の消耗品と割り切ると、判断が楽になります。
なお、グリップが滑る原因は素材ではなくハンドル側の汚れであることもあります。エルゴンの取扱説明書は、グリップを常に最良の状態に保つため使用後は毎回クリーニングし、ぬるま湯と柔らかいスポンジを使うこと、石油ベースの製品や溶剤、油やグリスを使用しないことを求めています。パーツクリーナーを吹くと表面が硬化して滑りやすくなるので避けましょう。
素材で迷ったら、まずは扱いやすいラバー・TPE系のロックオンから入るのが堅実です。ODI ELITE PRO V2.1は4,620円、DMR DEATH GRIP 2は4,400円と価格帯も近く、外した後にシリコンへ移るときの比較基準になります。
グローブの厚みで評価はひっくり返る
同じグリップでも、素手・夏用薄手・冬用厚手で印象は大きく変わります。厚手のグローブは手のひらにパッドが入るため、細いグリップでも圧迫感が減り、逆に太いグリップでは指が回らなくなります。レビューで評価が割れるグリップは、たいていここが原因です。
実用的なのは、季節でグリップまで替えてしまう考え方です。夏は32mm前後の標準的な太さ、冬は厚いグローブに合わせて30mm前後の細め、という組み合わせにすると、年間を通して握りの感覚が揃います。ロックオン式なら工具1本で入れ替えられるので、手間はそれほどかかりません。
気をつけたいのは、グローブを新調したタイミングでグリップまで替えてしまうと、どちらが効いたのか分からなくなることです。変えるのは片方ずつ。原因の切り分けは、パーツ選びでもっとも効率のいい進め方です。
目的別に選ぶMTBグリップ11モデル
ここからは具体的な製品です。数値はいずれもメーカーまたは国内代理店の公表スペックで、自転車の教科書調べとして横並びにしました。価格は税込で、時期や販売店により変動します。手首の負担を減らしたい、軽くしたい、下りで滑らせたくない、予算を抑えたい、という4つの目的で分けています。
| モデル | 太さ | 長さ・重量 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|
| ERGON GA3 | ウイング形状 | 134mm/115g | 4,840円 |
| ERGON GE1 Evo | Regular/Slim | 136mm/110g | 5,280円 |
| ESI Grips Chunky | 外径32mm | 130mm/60g | 3,190円 |
| ESI Grips Racer’s Edge | 外径30mm | 重量50g | 国内価格は取扱店で確認 |
| DMR DEATH GRIP 2 | 29.8mm/31.3mm | 135mm/100g | 4,400円 |
| ODI ELITE PRO V2.1 LOCK-ON | 外径31mm | 130mm/100g | 4,620円 |
| ODI RUFFIAN V2.1 LOCK-ON | 直径30mm | 長さ135mm | 4,730円 |
| LIZARD SKINS CHARGER EVO | 外径32mm | 136mm/90g | 5,390円程度(変動あり) |
| Wolf Tooth Fat Paw Lock-On Grips | 直径36mm | 132mm/153g | 6,600円程度(変動あり) |
| GORIX GSR CITY-55 | ロックオン | 長さ134.8mm | 1,699円 |
| GORIX GXR RELEVO | ロックオン | 公表値なし | 2,299円 |

手首の負担を減らしたいならエルゴンの2モデル
手のひらの外側がしびれる、手首が反って痛い、という症状に対して形状で答えを出しているのがエルゴンです。GA3は長さ134mm、重量115gで、公式には手首の負担を軽減する形状のMTB向けグリップと説明され、トレイルライド、クロスカントリー、ツーリングが対象ジャンルとされています。価格は4,840円で、エンドプラグが付属し、カーボンハンドルバーにも使用可能です。
下り主体ならGE1 Evoが選択肢になります。長さ136mm、重量110gで、素材はGravityControl Rubber、クランプは押出アルミとCNC加工の組み合わせ。対象ジャンルはエンデューロ、オールマウンテン・トレイル、E-MTBで、価格は5,280円です。RegularとSlimのサイズ展開があるので、手の大きさに合わせて選べます。
向いているのは、1回のライドが2時間を超える人、ハンドルを握り続けると小指側が重くなる人です。デメリットは、形状が決まっているぶん取り付け角度がシビアなこと。エルゴンの説明書も、テストライドと調整を繰り返して最適な角度を探すこと、最適な角度は左右で異なる場合があることを案内しています。1回で決めようとせず、数回のライドで詰めていく前提のグリップです。
軽さと衝撃吸収の両取りならESIのシリコン
クロスカントリーやマラソン系で1gでも削りたいなら、ESI Grips Chunkyが基準になります。長さ130mm、外径32mm、重量60gで、素材はシリコン。バープラグが付属し、Made in the USAです。太さがあるのに軽いという組み合わせは、ロックオン式では実現しにくい領域です。
もっと細くしたい人にはESI Racer’s Edgeがあり、外径30mm、重量50gと、この記事で扱う中でもっとも軽い部類です。細さと軽さを同時に取れるので、ハンドルの入力をダイレクトに感じたい人に向きます。国内価格は販売店によって差があるため、取扱店で確認してください。
注意点は前述のとおり耐摩耗性で、ラバー系より寿命は短めです。また、スリップオン式なので取り付けにはコツが要ります。ハンドルとグリップの内側をアルコールで濡らして一気に差し込み、乾くまで数時間待つのが定番のやり方です。急いで乗ると回ることがあるので、交換は出発直前ではなく前日に済ませましょう。
下りで手を滑らせたくないならDMRとリザードスキンズ
ウェットな路面や長い下りで手が前に逃げる人には、パターンで押さえ込むタイプが効きます。DMR DEATH GRIP 2は長さ135mm、重量100g、素材はクレイトンラバーで、太さはTHIN 29.8mmとTHICK 31.3mmの2種類。テーパードコアによるシングルクランプシステムを採用し、親指側のマッシュルームパターン、ダイヤモンドナール、ワッフルリブを握る位置ごとに配置しています。価格は4,400円です。
LIZARD SKINS CHARGER EVOは長さ136mm、外径32mm、重量90g、シングルクランプのロックオンで、表面はデュアルパターン。1本のグリップの中で指が当たる部分と手のひらが乗る部分の表面を変えることで、保持と快適性を両立させる設計です。実勢価格は5,390円程度で、時期により変動します。
この2モデルはいずれも、下ハンドルのないフラットバーで強いブレーキングをかける場面を想定しています。デメリットは、深いパターンのぶん素手や薄いグローブだと手のひらに跡が残りやすいこと。街乗り兼用の1台に付けるなら、ライドの長さを考えて選んでください。
THIN 29.8mmとTHICK 31.3mmから太さを選べて、下りで手が前に逃げにくいパターン配置が持ち味▼
定番ロックオンと、予算を抑えたい人の選択肢
迷ったときの無難な選択がODIです。ELITE PRO V2.1 LOCK-ONは長さ130mm、外径31mm、重量100gで、前面のハーフワッフルとバリアブルナール、ソフトで丈夫な素材の補強エンドを備えて4,620円。RUFFIAN V2.1 LOCK-ONは長さ135mm、直径30mm、ODIソフトコンパウンドTPEのダイヤモンドパターンで4,730円、太さが欲しい人向けにXLの直径32mmもあります。
手のひらの圧迫がどうしても消えない人には、ウルフトゥースのFat Paw Lock-On Gripsという選択肢があります。直径36mm、長さ132mm、重量153g、対応ハンドル径22.2mmで、素材はシリコンフォーム。実勢価格は6,600円程度です。ファットバイクや冬の厚手グローブとの相性がよく、極太を試したいときの本命になります。
まず安く試したいなら、GORIXの公式オンラインショップで買えるGSR CITY-55が1,699円、GXR RELEVOが2,299円です。GSR CITY-55は長さ134.8mm、VEXKラバーのロックオン式。1,000円台でロックオンが手に入るので、「今のスリップオンが回る」という1点だけを解決したい人には合理的な入口です。耐久性や細かいパターン設計では上位モデルに譲りますが、まず方式を変えて違いを知るには十分でしょう。
| 目的・シーン | おすすめの選択 | 価格の目安 |
|---|---|---|
| 2時間超のトレイルで手首が痛む | ERGON GA3(134mm・115g) | 4,840円 |
| クロスカントリーで軽量化したい | ESI Grips Chunky(32mm・60g) | 3,190円 |
| 下りで手が前に滑る | DMR DEATH GRIP 2(太さ2種) | 4,400円 |
| 冬の厚手グローブで握りたい | Wolf Tooth Fat Paw(直径36mm) | 6,600円程度(変動あり) |
| まず回らないグリップに替えたい | GORIX GSR CITY-55(134.8mm) | 1,699円 |
交換は自分でできる?工賃880円との分かれ目

グリップ交換は自転車整備の中では難易度が低い作業ですが、固定トルクと下準備を外すと走行中に回るという事故につながります。ロックオン式なら六角レンチ1本で15分程度、スリップオン式は乾燥待ちを含めて数時間見ておく作業です。店に頼む場合の相場も知ったうえで、どちらにするか決めましょう。
用意する工具は3つだけ
ロックオン式に必要なのは、4mm六角レンチ、トルクレンチ、そしてハンドルの脱脂に使うアルコールか脱脂洗浄剤です。エルゴンの取扱説明書でも、この3点にきれいなウエスを加えたものが必要な工具類として挙げられています。トルクレンチは持っていない人も多いですが、カーボンハンドルを使うなら必須の道具です。
スリップオン式の場合は、イソプロピルアルコールとウエスがあれば足ります。古いグリップを外すときは、マイナスドライバーの背などでグリップとハンドルの間に隙間を作り、そこにアルコールを流し込んで滑らせながら抜くのが定番です。切って外してしまうのがもっとも早いので、再利用しないなら思い切ってカッターを使う手もあります。
注意したいのは、潤滑にパーツクリーナーやシリコンスプレーを使わないこと。前述のとおりエルゴンは石油ベースの製品や溶剤、油やグリスを使わないよう求めています。油分が残ると、乾いた後もグリップが定位置に留まらず回り続けます。
ロックオンの外し方と付け方、締め付けは5Nm
手順は①クランプの六角ボルトを4mm六角レンチで緩める、②グリップを左右に回しながら引き抜く、③ハンドルバーをアルコールまたは脱脂洗浄剤で洗浄する、④新しいグリップを奥まで差し込み位置を決める、⑤トルクレンチでボルトを締める、の5ステップです。
締め付けトルクは製品の説明書に従います。エルゴンのGP2/GP2 Evo/GP3/GP3 Evoの取扱説明書では、4mm六角レンチとトルクレンチを使用して固定し、推奨トルク値は5Nmと明記されています。同じ説明書は、推奨トルク値以上の力でクランプを締めないこと、そして50kmの乗車ごとにトルクを確認して推奨トルクを維持することも求めています。数値はエルゴン公式の取扱説明書PDFで確認できます。
位置決めのコツは、ハンドルの端とグリップの端を揃えること、そしてクランプのボルトが下向き(または斜め下向き)に来るようにすることです。ボルトが上を向いていると、転倒時に最初に地面や体に当たります。ブレーキレバーやシフターの位置も同時に見直すと、交換の効果が出やすくなります。

クロスバイクに1年ほど乗ると、必ずと言っていいほど手が「グリップの相談」を始めます。表面が白く粉を吹いてきた、握るとベタつく、10kmを過ぎたあたりで手のひらの…
スリップオンは乾燥待ちまで含めて計画する
ESIのようなシリコン系スリップオンは、ハンドルとグリップ内側の両方をアルコールで濡らし、一気に押し込んで装着します。アルコールは潤滑剤として働き、揮発した後はゴムとアルミが密着して回らなくなる、という仕組みです。装着直後は簡単に回るので、ここで「失敗した」と判断しないことが大切です。
乾燥時間は環境によりますが、装着した日は乗らず、翌日に手でひねってみて動かないことを確認してから出発するのが安全です。時間がないからと中性洗剤やシリコンスプレーで代用すると、いつまでも滑り続けます。
外すときは、細い金属棒やエアコンプレッサーのノズルをグリップとハンドルの隙間に差し込み、アルコールや空気を送り込んで浮かせます。シリコングリップは伸びるので、無理に引っ張ると裂けます。再利用する前提なら、丁寧に時間をかけてください。
失敗パターン②:走行中にグリップが回って肝を冷やす
グリップが回る事故の原因は、ほぼ3つに集約されます。①ハンドルの脱脂をせずに油分が残っていた、②スリップオンの乾燥が不十分なまま乗った、③ロックオンのボルトが緩んでいた。いずれも下りでハンドルを押さえた瞬間にグリップだけが回り、手がハンドルの端から外れそうになる、という怖い状況を生みます。
対策は、脱脂を省かないこと、スリップオンは一晩置くこと、ロックオンは50kmごとにトルクを確認することです。そして、作業に不安があるなら店に任せるのも正解です。サイクルベースあさひの修理工賃表では、スポーツ車のグリップ交換が880円、シティサイクルのグリップ交換(左右セット)も880円と案内されています。工具を揃える前に一度プロの仕上がりを見ておくと、自分でやるときの基準ができます。工賃は店舗・車種・状況により異なるので、公式の工賃表で確認してください。
カーボンハンドルに交換する場合、トルクレンチなしの作業は避けてください。締めすぎはバーの破損につながります。エルゴンの説明書はハンドルバーがクランプの圧力に耐えられることの確認も求めています。判断に迷うときは自転車店に相談しましょう。
交換しても手が痛い・滑るときに見る3か所
グリップを替えても症状が消えないことがあります。手のひらへの負担はグリップだけで決まるわけではなく、空気圧、レバー位置、姿勢の3つが同時に効いています。ここを確認してから、もう一度グリップの太さを見直すと、無駄な買い替えを減らせます。
まず空気圧、次にサスペンションの設定
手のしびれの相談でもっとも多い原因が、空気圧の高すぎです。タイヤが硬いと路面の小さな凹凸がすべて手に届きます。MTBのタイヤはタイヤ側面に適正範囲が印字されているので、その範囲内で低めから試すのが基本です。体重や走る路面で適正値は変わるため、一度決めた数値を固定せず、コースごとに調整してみてください。
サスペンションフォークが付いているなら、サグ(乗車時の沈み込み量)の設定も確認します。空気圧が高すぎるフォークは路面追従が悪く、突き上げがそのまま手に来ます。メーカーの推奨設定表が公開されているモデルが多いので、まずはそこに合わせるところから始めましょう。
タイヤの空気圧の考え方は、クロスバイクの記事で数値の読み方を詳しく解説しています。MTBでも「タイヤ側面の表記を基準にする」という原則は同じです。

クロスバイクを買って最初にぶつかる壁が、空気圧です。「5気圧くらい」と店で言われたものの、ポンプのゲージには「psi」と「bar」の二重目盛りが刻まれていて、ど…
ブレーキレバーの角度と位置を1度ずつ動かす
レバーが下向きすぎると手首が反り、上向きすぎると手のひらの付け根に体重が乗ります。目安は、サドルに座った自然な姿勢で、前腕から指先までが一直線になる角度です。ハンドルを握ってからレバーに指を置いた状態で、手首が折れていないかを見てください。
レバーの内外位置も重要です。人差し指1本でブレーキをかけるなら、レバーの先端に指がかかる位置までシフターやレバーを内側に寄せます。このときグリップの長さが足りていないと、レバーとグリップが干渉して位置が出せません。130mmと136mmの違いがここで効いてきます。
ブレーキ周りの調整は制動力に直結します。レバー位置の変更程度なら自分でできますが、ワイヤーやホースに触れる作業に不安があるときは自転車店に依頼してください。
実は、グリップより先に効くのはポジションかもしれない
意外と知られていないのですが、手が痛い原因の多くは手のパーツではなく、体重の乗せ方にあります。サドルが前に出すぎている、サドル高が低すぎる、ステムが長すぎるといった状態だと、上半身の重さが常に腕から手のひらへ落ちてきます。この状態では、どんなに高性能なグリップを付けても圧迫は消えません。
確認方法は簡単です。平坦な道で両手をハンドルからそっと浮かせてみて、上体が前に倒れ込むようなら、手で体を支えている証拠です。サドルを数mm後ろ、あるいは高さを調整するだけで、手のひらの荷重は目に見えて減ります。
そのうえで残る不快感が、グリップの太さや素材で解決すべき部分です。順番を逆にすると、グリップを何本も買い替えて原因にたどり着けません。まずポジション、次に空気圧、最後にグリップ。この順番を覚えておくと、出費も時間も節約できます。
買う前に確認したい互換性と落とし穴
内径22.2mmで共通とはいえ、買ってから付かないケースはあります。原因はグリップそのものではなく、ハンドル周りに付いている他の部品との関係です。注文前に確認しておけば防げるポイントを整理します。
グリップシフト装着車は片側100mmが必要
変速をハンドルごと回して行うグリップシフトが付いている車体は、シフター側のグリップが短くなります。エルゴンの取扱説明書にも仕様別の長さが記載されていて、スタンダード仕様が135/135mm、右グリップシフト仕様が135/100mm、左右グリップシフト仕様が100/100mmと分けられています。
つまり、普通のグリップを2本買っても右側が入りません。通販で「MTB用グリップ」とだけ書かれた商品を買うとここで詰まります。グリップシフト車に乗っているなら、商品説明にグリップシフト対応の記載があるか、短い側が別で用意されているかを必ず確認してください。
なお、グリップシフトからトリガー式のシフターに交換すれば、標準的な長さのグリップが使えるようになります。ただしシフターとワイヤーの交換費用がかかるので、グリップだけを変えたい段階では対応品を選ぶほうが合理的です。
ドロッパーレバーやベルとの干渉を先に測る
ドロッパーポストのレバー、ベル、ライト、サイクルコンピューターのマウントなど、ハンドルには意外と多くの部品が付いています。長さ136mmのグリップに替えた途端、ベルが内側に押し出されて指が届かなくなることがあります。
対策は、今のグリップの端から端までを測り、その内側にどれだけの余白があるかを確認しておくことです。余白が数mmしかないなら、130mm前後の短めを選んだほうが取り付けの自由度が残ります。逆にハンドルに何も付けていないなら、長めを選んで手のひらの支えを増やす手もあります。
ハンドルそのものを交換する予定があるなら、グリップと同時に考えると無駄がありません。交換工賃や幅の考え方はこちらの記事で整理しています。

クロスバイクに乗り始めて数週間、手のひらの外側がじんわり痺れる。車道の端を走っていると、ハンドルの端がやけに幅広く感じる。あるいは前傾がきつくて、信号待ちのたび…
カーボンハンドルはトルク管理が前提になる
カーボンハンドルにロックオングリップを付けること自体は問題なく、エルゴンのGA3もGE1 Evoもカーボンハンドルバー対応と明記されています。ただし締め付けの管理はアルミ以上に重要です。推奨トルク値(エルゴンのGP2系なら5Nm)を超えると、目に見えないダメージが入る可能性があります。
アルミハンドルなら多少締めすぎても割れることは少ないですが、それでもクランプが変形すれば外すときに苦労します。トルクレンチが手元にないなら、この作業だけは店に頼むという判断もあります。グリップ交換の工賃は880円という案内があるので、工具を買うより安く済むこともあります。
ちなみにエルゴンのグリップは、ご購入日から2年間という保障期間が設定されています。対象は製造上の欠陥による機械部品の不良で、購入日の日付が入った領収書が必要です。レシートは捨てずに残しておきましょう。
エンドプラグの有無が地味に効く
グリップを買うときに見落としやすいのが、ハンドルの端を塞ぐエンドプラグです。エルゴンGA3はエンドプラグ付属、ESIのChunkyとRacer’s Edgeもバープラグが付属します。ODIのELITE PRO V2.1のように、端部にソフトで丈夫な素材の補強エンドを組み込んでいるモデルもあります。
ハンドルの端が開いたままだと、転倒したときにパイプの切り口が体や地面に食い込みます。さらに、雨水がハンドルの中に入って内部が錆びる原因にもなります。細かい部品ですが、付属していないモデルを選んだときは別途用意してください。
DMR DEATH GRIP 2のように、露出したコアエンドを設計として採用しているモデルもあります。この場合は端が金属やプラスチックで塞がれているので、別途プラグを用意する必要はありません。商品画像で端の処理を確認しておくと安心です。
| 重量 | 115g(メーカー公表値) |
| サイズ・対応規格 | 長さ134mm/内径22.2mm規格/カーボンハンドルバーにも使用可能 |
| 素材・仕様 | 手首の負担を軽減する形状/エンドプラグ付属/対象はトレイルライド・クロスカントリー・ツーリング |
| 価格 | 4,840円(税込・時期により変動) |
まとめ:MTBのグリップは太さと方式から選ぶ
最初の一歩としておすすめなのは、今付いているグリップをノギスか定規で測ることです。長さと外径が分かれば、この記事の比較表と照らして「太くする」「細くする」「長さは同じで方式だけ変える」のどれに進むべきかが決まります。手首が痛むならエルゴンGA3のような形状で解決を図る、軽くしたいならESI Grips Chunky、下りで滑るならDMR DEATH GRIP 2、という具合に、症状から製品を逆引きできるはずです。予算を抑えて方式だけ変えたいなら1,699円のGORIX GSR CITY-55から試す手もあります。
交換に自信が持てないときは、工賃880円という案内のある自転車店に任せてしまうのが確実です。ハンドル周りは転倒に直結する場所なので、迷ったらプロの手を借りてください。
※価格・スペックは執筆時点でメーカーおよび国内代理店が公表している数値です。最新情報は各公式サイトでご確認ください。

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