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ネットで自転車の鍵を調べていると、「u字ロックは意味ない」という言葉が必ず引っかかってきます。グラインダーで数十秒、ジャッキで一発、そんな動画が出てくれば、高価なロックに手を出す気は失せます。重いし、かさばるし、地球ロックできる場所も限られる。それなら安いワイヤーで十分じゃないか、と考えるのは自然です。
先に結論をお伝えします。「破壊できるかどうか」で見ればU字ロックは意味があります。ただし「掛け方」を間違えると、本当に意味がなくなります。警察庁が公表した令和7年の自転車盗は17万2,654件。一方で静岡県警の集計では被害車両の79%が無施錠でした。つまり多くの被害は、鍵の強さではなく鍵を使ったかどうかで起きています。そして残りの層では、愛知県警が「約4割が施錠してある状態で盗まれている」と明記しています。ここを分けて考えないと、議論が噛み合いません。
この記事では、シャックルの太さやセキュリティレベルといった数値の読み方、u字ロックが本当に無力化される掛け方、そして予算別の現実的な組み合わせまで、メーカー公式と警察・自治体の公表値だけを使って整理します。
・「u字ロックは意味ない」と言われる3つの根拠が、どこまで本当か
・シャックル12mm・13mm・27mmとセキュリティレベルの読み方
・U字ロックが本当に無力化される、やりがちな掛け方
・9,680円から59,400円まで、予算別の現実的な組み合わせ
「u字ロックは意味ない」と言われる3つの根拠を先に潰す

グラインダーなら数十秒、という話はどこまで本当か
ディスクグラインダーを使えばU字ロックは切断できます。これは事実で、否定しても仕方がありません。ただし前提が抜けています。グラインダーは爆音と火花を伴い、電源かバッテリーを持ち込む必要があり、切断中は工具を手放せません。路上の駐輪でこれをやる窃盗犯は、それだけリスクを引き受けているということです。
だからメーカーは「切れない鍵」ではなく「時間とリスクを積み上げる鍵」を作っています。ABUSの最上位モデル2500/165HB230 Granit Super Extremeは、独自配合の特殊強化鋼にタングステンカーバイド合金を溶接し、シャックル径27mmという異形にまで振り切りました。重量は1,683g、サイズは102×230mm、価格は59,400円です。ここまでやるのは、グラインダー対策が現実の課題として存在するからにほかなりません。
一方で、通勤通学の駐輪にこの1,683gを毎日持ち歩くのは非現実的です。グラインダーを持った相手を想定するのか、手工具しか持たない相手を想定するのかで、必要な鍵は変わります。「意味ない」と言い切る議論は、この想定相手をいつの間にか電動工具を持つ層に固定してしまっている点に無理があります。
「地球ロックできない」短さが弱点に見える
U字ロックの短所は、ABUS公式も「重くかさばる」「施錠できる範囲が狭い」と明記しています。太い柱やガードレールには回らず、細いラックにしか通らない。これは確かに使いにくさです。
ただし施錠範囲の狭さは、そのまま「工具を差し込む隙間の少なさ」でもあります。U字の内側にバールやジャッキを入れて押し広げる手口は、隙間が広いほど成立しやすい。ABUS ULTRA MINI 410が全長150mmと180mmの2サイズを用意しているのは、必要最小限の長さを選べるようにするためです。短いほど不便で、短いほど破壊に強い。このトレードオフを理解して選ぶ製品です。
注意点として、短いモデルは駐輪場のラック形状によっては物理的に通りません。買う前に、いつも停める場所のラックの太さと、フレームのどのパイプに通すかを一度確認してください。現物合わせをせずに最小サイズを買うと、使えないまま引き出しに入ることになります。
780gから1,683g、重さが最後まで残る壁
U字ロックの重量はモデルで大きく変わります。ABUS ULTRA MINI 410が780g(180mmモデルで835g)、GRANIT PLUS 640が800g、GRANIT X-PLUS 540 EaZyKFが1,500g、Super Extremeが1,683g。KRYPTONITE Evolution Mini-7は付属ケーブル込みで1.61kgです。
この差は、そのまま「持ち出す気になるか」に直結します。どれだけ強い鍵でも、重くて家に置いたままなら防犯性はゼロと同じです。毎日使う通勤通学なら800g前後、週末の長時間駐輪なら1,500g級、と使い分けるのが現実的です。
マウント(フレームに固定するホルダー)の有無も効きます。ULTRA MINI 410はSH34マウント、X-PLUS 540 EaZyKFはワンタッチのEaZyKFマウントが付属します。バッグに入れる前提だと結局忘れるので、車体側に付けられるかどうかは購入前に確認したい項目です。
シャックル=U字ロックのU型部分。太さ(径)が防犯性の主要指標になります。セキュリティレベル=ABUSが自社製品に付ける独自の防犯性指標で、最高15段階。U字ロックはLEVEL 8-15に位置づけられています。地球ロック=フレームやホイールを、動かせない構造物ごと施錠する掛け方のこと。
盗まれた自転車の79%は、そもそも鍵がかかっていなかった
警察庁の17万2,654件という規模感
警察庁「令和7年の犯罪情勢」によれば、令和7年の自転車盗の認知件数は17万2,654件(前年比1,366件・0.8%減少)でした。窃盗犯全体の認知件数は51万3,931件ですから、自転車盗だけで3分の1前後を占めている計算になります。同年のオートバイ盗は1万4,552件、自動車盗は6,386件で、桁が違います。
この規模は「自分だけは大丈夫」が通用しない数字です。ただし同時に、この17万件のほとんどが高性能ロックを破って行われているわけでもありません。件数の大きさと手口の高度さは、必ずしも一致しません。
注意したいのは、認知件数は被害届が出たものだけという点です。数百円の中古車が持ち去られても届を出さない人は一定数います。つまり実際の発生はこれより多い可能性が高く、統計はあくまで下限だと考えておくのが安全です。
静岡79%、目黒58%、地域で違う無施錠率
県警・自治体の公表値を並べると、無施錠率にはかなりの幅があります。静岡県警の令和7年集計では認知件数2,938件(前年比207件・7.6%増加)に対し、全体の無施錠率は79%。被害者別では中学生87%、高校生84%と学生層が高く、場所別では商業施設・商店等85%、駅81%、住宅76%でした。
一方、東京都目黒区の令和7年の被害は342件(令和6年比109件減少)で、無施錠は約58%、被害の約51%がマンション・アパートを含む自宅敷地内でした。広島県警も「盗まれた自転車の7割以上が鍵のかかっていない状態」と公表しています。
数字の幅はあれど、方向は共通しています。被害の半分以上は鍵の性能の話ではない。まず「短時間でも必ず掛ける」を徹底するだけで、統計上の大半のリスクは外せます。ここを飛ばしてロックの価格を比べても、順番が逆になります。
それでも「約4割は施錠済み」で盗まれている
ここからがU字ロックの出番です。愛知県警は「被害に遭った自転車のうち約4割が施錠してある状態で盗まれており、鍵1つの施錠では簡単に盗まれてしまいます」と明記し、ワイヤー錠等を活用したツーロックを呼びかけています。狙われやすい場所として挙げているのは、アパートやマンションなど集合住宅の駐輪場です。
目黒区の「自宅敷地内で約51%」という数字と重ねると、像がはっきりします。自宅の駐輪場で、備え付けの馬蹄錠だけ掛けた自転車が、時間をかけて持ち去られている。駅前より自宅のほうが人目が少なく、犯行時間を取りやすいからです。
この4割の層に対して効くのが、切断に時間のかかるロックと、二重に掛ける運用です。ワイヤーロックはニッパーや小型のボルトカッターで短時間に切断されうるため、メインに据えるなら太さ15mm以上が目安とされます。強いロックを1本増やすか、ワイヤーを太くするか。どちらにせよ「鍵1つ」からは抜け出す必要があります。
無施錠率は都道府県・区市町村ごとに集計方法も母数も違います。静岡県警79%と目黒区58%を直接比べて「静岡のほうが危ない」と読むのは誤りです。自分の生活圏の県警・自治体が出している最新の公表値を見るのが実態に近づく近道です。
強さはどこで決まる?シャックル径とセキュリティレベルの読み方

12mm・13mm・27mm、数mmの差が意味するもの
U字ロックのカタログでまず見るべきはシャックル径です。ABUSの現行U字ロックを並べると、ULTRA MINI 410とGRANIT PLUS 640が12mm、GRANIT X-PLUS 540 EaZyKFが13mm、ALARM 440Aが14mm、Super Extremeが27mm。KRYPTONITE Evolution Mini-7は13mmの強化スチールシャックルです。
断面積は径の2乗に比例するため、12mmと13mmの差は見た目以上に効きます。ボルトクリッパーは刃を噛ませられる太さに上限があり、径が太くなるほど必要な工具が大型化し、持ち運びも目立ちます。つまり径を上げることは「その場に持ち込める工具」を絞り込む行為です。
ただし径だけでは決まりません。同じ12mmでもULTRA MINI 410はレベル8、GRANIT PLUS 640はレベル12と評価が分かれます。鋼材の質、クロスバーの構造、シリンダーのピッキング耐性が加わるからです。径は必要条件であって十分条件ではない、という理解が要ります。
ABUSのレベル15段階とSold Secureの4等級
防犯性の指標は大きく2系統あります。ひとつはABUSの自社セキュリティレベルで、最高15段階。U字ロックはLEVEL 8-15に位置づけられ、公式も「ヨーロッパの都市部や駐輪施設ではU字ロックが定番」としています。
もうひとつが英国の第三者認証Sold Secureで、Bronze/Silver/Gold/Diamondの4等級。公式の定義では、Bronzeは単一の隠匿しやすい手工具による短時間攻撃、Silverは強化された工具リスト、Goldは拡張された攻撃と重い工具、Diamondは広範な工具に加えて一部で電動工具・機械ベースのテストを行う、という段階です。KRYPTONITE Evolution Mini-7はGold認証を取得しています。
注意点として、Sold Secure公式ページには各等級の耐久時間(何分)は明記されていません。ネット上で見かける「Goldは5分」といった数字は出典が曖昧なことが多いので、鵜呑みにせず等級そのもので判断するのが無難です。ABUSのレベルも自社基準なので、他社製品と直接比較はできません。
現行U字ロック6モデル比較(自転車の教科書調べ)
メーカー公式のスペック表から、日本で買える現行U字ロックを横並びにしました。数値はすべてメーカー公表値です。
| モデル | シャックル径/重量 | 防犯指標 | 価格(税込) |
|---|---|---|---|
| ABUS ULTRA MINI 410 | 12mm/780g(全長150mm) | ABUSレベル8 | 9,680円〜13,420円 |
| ABUS GRANIT PLUS 640 | 12mm/800g(全長150mm) | ABUSレベル12 | 24,970円 |
| KRYPTONITE Evolution Mini-7 | 13mm/1.61kg(内寸178×83mm) | Sold Secure Gold | 実勢17,820円程度(変動あり) |
| ABUS ALARM 440A | 14mm/1,500g(全長230mm) | ABUSレベル8+最大100dBアラーム | 18,678円〜19,778円 |
| ABUS GRANIT X-PLUS 540 EaZyKF | 13mm/1,500g(全長230mm) | ABUSレベル15 | 29,920円 |
| ABUS Granit Super Extreme 2500 | 27mm/1,683g(102×230mm) | ABUS最上位(レベル15-11区分) | 59,400円 |

X-PLUS 540 EaZyKFは2026年9月時点で公式在庫が切れており、再入荷待ちの受付になっています。買うタイミングによっては選べないので、候補は複数持っておくと安心です。

u字ロックが本当に意味をなくす、やりがちな掛け方
前輪だけ通して、本体を持って行かれる
もっとも多い失敗が、U字ロックを前輪とラックだけに通す掛け方です。スポーツ自転車の多くはホイールがクイックリリースで固定されており、レバーを解放すれば工具なしで車輪が外れます。結果として、施錠された前輪だけがラックに残り、フレームと後輪が持ち去られます。
原因は単純で、U字ロックが短くフレームまで届かないからです。とりあえず通る場所に通してしまう。短いモデルほど起こりやすい失敗です。
対策は2つ。ひとつはフレームのリアトライアングル(後三角)と後輪をまとめてラックに通すこと。後輪はスプロケットが付いていて外す手間が大きく、残されても実害が小さい。もうひとつはクイックリリースレバーをスキュワーに交換することです。一般的なスキュワーナットは5mmの六角レンチで締め込むタイプで、工具がなければ車輪を外せなくなります。
注意点として、スキュワー化すると出先でのパンク時に自分で車輪を外せません。携帯工具に5mmの六角を1本足しておくのが前提になります。
地面と平行に、地面すれすれに掛ける
ロックを地面と平行に、しかも路面すれすれに掛けると、てこの原理を使われやすくなります。地面を支点にしてバールを差し込めば、人間の体重だけで大きな力がかかるからです。U字の内側に余った空間が広いほど、この手口は成立しやすくなります。
掛けるときは、U字の内側に無駄な隙間を残さない位置を選びます。フレームとラックでU字の内寸が埋まる状態が理想です。Evolution Mini-7の内寸はL178×W83mmで、この空間がフレームとラックでほぼ埋まるなら、工具を差し込む余地はほとんどありません。
地面から少し高い位置で、シャックルの開口部が下を向くように掛けると、鍵穴に異物を入れられるリスクも下がります。細かいようですが、同じロックでも掛け方でここまで変わります。逆に言えば、掛け方を詰めないままレベル15のロックを買っても、投資に見合ったリターンは出ません。
実は、短いU字ロックのほうが有利という逆説
意外と知られていませんが、U字ロックは長いほど安心というわけではありません。長いモデルは施錠できる対象が増える代わりに、U字の内側に広い空間が生まれます。その空間はそのまま、バールやパンタジャッキを差し込むための作業スペースになります。
ABUSがULTRA MINI 410に全長150mmという小さいサイズを残しているのも、GRANIT PLUS 640を全長150mm・外寸20.5cm・内寸幅8.3cmというコンパクトな設計にしているのも、この理屈と無関係ではありません。必要な最小の長さを選ぶのが、実は正解に近い。
もちろん短すぎて構造物に通らなければ本末転倒です。いつも停める場所のラックに、フレームと後輪を一緒に通せる最小サイズ。この条件で選ぶと、多くの人は150mm前後か、230mmクラスのどちらかに落ち着きます。中途半端に長いモデルを「念のため」で買うのが、いちばん損をする選び方です。
選ぶべき全長は「いつも停めるラックの太さ+フレームの後三角+後輪」が通る最小寸法です。全長150mmクラスは通らない駐輪場もあり、230mmクラスは隙間が余りがちです。買う前にメジャーで一度測っておくと失敗しません。
フレーム・後輪・構造物を1本で貫く、正しい通し方
地球ロックの手順を、5ステップで固定する
掛け方は毎回同じ手順にするのが確実です。迷うと手を抜くからです。
①停める場所を決める。動かせない構造物があり、かつ駐輪が許可されている場所を選びます。②自転車を構造物に寄せ、後輪側を構造物に向けます。③U字ロックを、後三角(シートステーとチェーンステーで作る三角)・後輪・構造物の3点を貫くように通します。④シャックルの開口部を下向きにし、U字の内側に余る空間が最小になる位置で施錠します。⑤鍵を抜き、シャックルを手で揺すって遊びがないか確認します。
前輪も守りたい場合は、ここに補助のワイヤーやチェーンを1本足して前輪とフレームを結びます。愛知県警が呼びかけているツーロックは、まさにこの形です。
注意したいのは、後三角に通す際に変速機やディスクローターに干渉させないこと。金属同士がぶつかるとローターが歪み、ブレーキの引きずりにつながります。ブレーキまわりに不安が出たら、自分でこじらずに自転車店で見てもらってください。
柵に固定したら、撤去でロックごと切られた
2つめの典型的な失敗が、駐輪が認められていない場所の柵やフェンスに地球ロックするパターンです。放置自転車として撤去されると、自治体はチェーンやロックを切断して車体を運びます。大阪市は、柵に固定された自転車のロックを撤去時に切断し、そのロックについて責任を負わないと明記しています。
撤去までの猶予も長くありません。静岡市の運用では、放置禁止区域内は警告後ただちに撤去、規制区域でも2時間経過後に撤去されます。大田区は「公共の場所に置かれ、直ちに移動できない状態は理由や時間を問わず放置に当たる」としています。
つまり、29,920円のロックが数十分の駐輪で失われることがあるということです。防犯性の高いロックほど、掛ける場所の適法性を先に確認する価値があります。管理された駐輪場のラックに掛けるのが、結局いちばん安全で安上がりです。
サドル・シートポスト・アクセサリーまで考える
車体本体を守れても、部品だけ抜かれることがあります。ロゴ入りのサドルやシートポストは転売されやすく、シートクランプがクイックタイプなら数秒で外せます。ライトやサイクルコンピューターも同様です。
対策はシンプルで、細めのワイヤーでサドルレールとフレームを結んでおくこと、シートクランプをボルト式に替えること、外せるアクセサリーは持ち歩くことの3点です。ワイヤーは切られる前提ですが、切る手間を増やすだけで対象から外れやすくなります。
ミニベロや折りたたみ車は、そもそも車体ごと担いで運ばれるリスクが高いので、構造物に通す地球ロックが前提になります。折りたたみ機構やクイックリリースが多い車種ほど、部品単位の対策も併せて考えてください。
「後三角+後輪+構造物」を1本で貫き、U字の内側に隙間を残さない。この1点を守るだけで、同じロックでも突破の難易度が大きく変わります。ロックのグレードを上げる前に、まず掛け方を固定しましょう。

ミニベロを買って半年ほど経つと、たいていの人が同じところで立ち止まります。「もう少し軽く走ってほしい」「手が痺れる」「輪行のときにペダルが引っかかる」。ネットで…
予算別に見る、現実的なロックの組み合わせ
1万円以下:通勤通学の毎日使いに振り切る
毎日持ち歩く前提なら、重量と価格のバランスが最優先です。ABUS ULTRA MINI 410は9,680円から、シャックル12mm・重量780g(全長150mm)・幅80mm、セキュリティレベル8。180mmモデルは835gで、上位構成は13,420円です。SH34マウントが付属し、車体側に固定して持ち出せます。
この価格帯の使い方は、既存の馬蹄錠との併用が前提です。備え付けの鍵で車輪をロックし、U字ロックで後三角と構造物を結ぶ。これで愛知県警の言うツーロックが成立します。
妥協点は明確で、レベル8は「重い工具を持った相手」への備えとしては中位です。数十万円のロードバイクを駅前に長時間置く用途には足りません。通学・買い物・短時間の駐輪に用途を限定するなら、780gの軽さは毎日持ち出せるという最大の利点になります。
毎日持ち出せる780gで馬蹄錠とのツーロックを組むなら、マウント付属のこの1本▼
2万円前後:自宅駐輪場の長時間駐輪に効く層
被害の約51%が自宅敷地内という目黒区のデータを踏まえると、実は投資すべきは自宅側かもしれません。ABUS GRANIT PLUS 640は24,970円、シャックル12mmながらセキュリティレベル12、重量800g、全長150mm、原産国ドイツ。ULTRA MINI 410とほぼ同じ重さでレベルが4段階上がります。
同じ価格帯では、KRYPTONITE Evolution Mini-7も候補です。13mmの強化スチールシャックル、内寸L178×W83mm、重量1.61kg、Sold Secure Gold認証、120cmのフレックスケーブル付属。実勢17,820円程度(変動あり)で、第三者認証つきの安心感があります。
選び分けは重さです。800gのGRANIT PLUS 640は持ち歩きも視野に入りますが、1.61kgのEvolution Mini-7は自宅や職場に置きっぱなしにする使い方が現実的。ケーブルが付く分、前輪やサドルまで面倒を見られる利点もあります。
29,920円から上:高額車と高リスク地域を想定する
車体価格が数十万円で、屋外の長時間駐輪が避けられないなら、ここまで来る意味があります。ABUS GRANIT X-PLUS 540 EaZyKFは29,920円、シャックル13mm・重量1,500g・全長230mm・セキュリティレベル15。ABUSがラインナップ最上位に位置づけるU字ロックで、EaZyKFワンタッチマウントが付属します。
電動工具まで想定するなら、Super Extreme 2500(59,400円、27mm、1,683g)が上限です。ただしこの重量とサイズを日常的に運ぶのは現実的ではなく、自宅ガレージや職場の固定駐輪向けと考えるのが妥当です。
音で抑止したい場合はABUS ALARM 440Aという選択肢もあります。18,678円から、シャックル14mm・重量1,500g・全長230mm・幅108mm、3Dセンサーが振動を検知して最大100dBのアラームが鳴ります。電源はCR-2 3Vリチウム電池で、電池切れではアラームが働かない点だけ注意してください。
| 目的・シーン | おすすめの組み合わせ | 予算目安 |
|---|---|---|
| 通学・買い物(短時間・毎日) | 馬蹄錠+ULTRA MINI 410(780g)でツーロック | 9,680円〜 |
| 自宅マンションの駐輪場(長時間) | GRANIT PLUS 640(レベル12)で後三角+構造物 | 24,970円 |
| 週末ライド・立ち寄り駐輪 | Evolution Mini-7+付属ケーブルで前輪まで | 実勢17,820円程度 |
| 高額車・屋外長時間 | X-PLUS 540 EaZyKF、または据え置きでSuper Extreme | 29,920円〜59,400円 |
鍵以外で差がつく3つの備え
防犯登録は「したほうがいい」ではなく法律上の義務
自転車防犯登録は、自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律の第12条第3項に根拠があります。条文は「自転車を利用する者は、その利用する自転車について、国家公安委員会規則で定めるところにより都道府県公安委員会が指定する者の行う防犯登録を受けなければならない」と定めており、任意ではありません。
千葉県警の例では、登録料は700円(2025年7月1日から改定)、有効期限は登録日から10年間、対象は幼児車と一輪車を除くすべての自転車です。
登録料と有効期間は都道府県ごとに異なるので、自分の住む地域の県警または防犯協会の公式ページで確認してください。中古で譲り受けた自転車は、前オーナーの登録を抹消してから登録し直す必要があります。この手続きを飛ばすと、発見されても所有者にたどり着けません。
ABUSの盗難見舞金制度という、鍵に付いてくる保険的な仕組み
意外と知られていないのが、ABUSの盗難見舞金制度です。ABUSロックを正しく使用していたにもかかわらずロックが切断されて自転車が盗難された場合に、見舞金が支払われます。上限はセキュリティレベル15-11で120,000円、レベル10-8で100,000円、レベル7で50,000円、レベル6-5で20,000円です。
条件はいくつかあります。ロック購入後2週間以内の製品登録、新車購入から3年以内の自転車であること、盗難から30日以上車両が発見されないこと、盗難日から2ヶ月以内に販売店で手続きすること。正規ディーラーでの購入分に限られ、中古車・譲渡品は対象外、利用はひとり一回限りです。
注意点として、これは損害保険ではなく見舞金であり、条件を外れると支払われません。登録を忘れたまま3年経つ人が多いので、買ったその日に登録まで済ませるのが確実です。
GPSトラッカーで「盗まれた後」を用意しておく
窃盗犯全体の検挙率は33.8%(令和7年、警察庁)で、盗まれた自転車が戻る保証はありません。そこで発想を変えるのがGPSトラッカーです。AlterLock Gen3は重量53g(盗難防止ボルト含む)、サイズ167mm×28mm×9mm、IP66の防水防塵、最大95dBのアラームと3軸加速度センサーを搭載し、バッテリーは最大3ヶ月稼働、USB Type-C充電です。
通信はBluetoothとLTE-M/NB-IoTの併用で、GPS・Galileo・Wi-Fi・4G基地局から位置を割り出します。月額サービス料は440円からで、30日間の無料トライアルが用意されています。
ただしGPSは万能ではありません。屋内や地下では測位が落ちますし、通信費が毎月かかります。あくまで「掛け方を詰めて、強いロックを使ったうえで」の最後の保険と考えるのが現実的です。動作温度は-20〜60℃と幅がありますが、真夏の炎天下で長時間放置する使い方は避けたほうが無難です。

自転車を買ったとき、店員さんから「保険は入ってますか?」と聞かれて、返事に困った経験はないでしょうか。自転車保険は義務なのか、罰則はあるのか、そもそも自分がもう…
まとめ
数字を並べ直すと、優先順位ははっきりします。令和7年の自転車盗は17万2,654件、そのうち静岡県警の集計では79%が無施錠、目黒区でも約58%が無施錠でした。一方で愛知県警は約4割が施錠済みで盗まれていると公表しています。前半の層は「必ず掛ける」で消え、後半の層に対して初めてU字ロックのグレードが効いてきます。今日できる最初の一歩は、いつも停める場所のラックを1度よく見て、フレームの後三角と後輪を一緒に通せる最小サイズを測ることです。そこから逆算すれば、買うべき全長は自然に決まります。
※価格・仕様・在庫状況、および統計値は変動します。購入前と手続き前に、メーカー公式サイトおよびお住まいの都道府県警・自治体の公式ページで最新情報をご確認ください。

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