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「新しいチェーンに替えたのに、踏み込むとガキッと歯が飛ぶ」「前のギアの歯が、なんだか尖って波打って見える」。そんな症状が出てきたら、チェーンリング交換を考えるタイミングかもしれません。チェーンリングはペダル側の大きな歯車で、チェーンと同じく走るほど削れていく消耗品です。
先に結論をお伝えすると、判断の軸は3つです。1つ目は、シマノが公式マニュアルで示している「チェーン飛びが起きたらチェーンリングとチェーンを交換」という基準。2つ目は、買う前に合わせるべき規格(PCD・アーム数・変速段数・歯数の組合せ)。3つ目は、お店に頼むか自分でやるかの線引きで、サイクルベースあさひの公式料金表ではチェーンリング交換の基本工賃が2,750円(税込)です。
この記事では、交換サインの見分け方から、部品選びで間違えやすい規格、工賃の内訳、自分で交換する場合の工具と手順、交換後のトラブル対処まで、自転車店の売り場で説明する順番でまとめました。ブレーキほどではありませんが、クランク周りは走行中の安全に関わる部品です。不安な作業はお店に任せる前提で読み進めてください。
・チェーンリングを交換すべきサインと、チェーンだけ替えて失敗する理由
・買う前に確認するPCD・アーム数・変速段数・歯数の組合せ
・お店に頼んだときの工賃(基本2,750円+クランク脱着の加算)
・自分で交換する場合の工具、取付けの向き、締付けトルク
そのガキッは歯が限界のサイン?交換時期を見分ける4つの目安

シマノ公式の基準は「チェーン飛びが出たら交換」
いちばん確かな交換サインは、踏み込んだ瞬間にチェーンが歯を乗り越える「チェーン飛び」です。シマノのディーラーマニュアル(SORA・CLARISクランクセット向け、105などの上位クランク向けの両方)には、「チェーン飛びが発生するようになった場合はチェーンリングとチェーンを交換してください」と明記されています。走行距離で一律に決めるのではなく、症状で判断するのがメーカーの考え方です。
チェーン飛びは、坂道の登り始めや信号からの発進など、ペダルに強い力がかかる場面で出やすいのが特徴です。平地を軽く流しているときは何も起きないので、「たまにだから」と放置されがちです。ただ、立ちこぎの最中に歯が飛ぶと足がペダルから外れ、ハンドルを取られて転倒する原因になります。一度でも発進時にガキッと抜ける感覚があったら、次の休日を待たずにお店で見てもらうのが安全です。
出典:シマノ ディーラーマニュアル DM-RBFC001(SORA/CLARIS クランクセット)
歯先がサメの歯のように尖ったら要注意
目で見て分かるサインは、歯の形の変化です。新品のチェーンリングの歯は左右対称の山形ですが、摩耗が進むと、チェーンが押し付けられる側だけが削れて、歯先が前に傾いた「サメの歯」のような形になります。歯の谷の部分が広がって見えることもあります。
確認するときは、アウター(大きいほうのリング)の歯を新品の写真や、あまり使っていないインナー側の歯と見比べると差がつかみやすいです。フロントがダブルの自転車では、平地で使うアウターのほうが先に削れることが多く、逆に坂の多い地域ではインナーの減りが早いこともあります。どちらのリングが減っているかで、交換を1枚だけにするか2枚ともにするかが変わります。
注意点として、見た目だけで判断すると交換が早すぎたり遅すぎたりします。チェーンリングには変速を助けるために、あえて低く削った歯や形の違う歯が混ざっています。「この歯だけ低いから摩耗だ」と思い込まず、歯全体の傾きと、次の見出しのチェーン側の状態をセットで見てください。
チェーンだけ新品にしたら滑り出した、という失敗
お店でよく聞くのが「伸びたチェーンを新品に替えたら、前より歯飛びがひどくなった」という相談です。原因は、長く使ったチェーンリングの歯が、伸びたチェーンのピッチに合わせて削れていたことにあります。古いチェーンと古いリングは、いわば「すり減った者同士」で噛み合っていたので症状が出ていなかったのです。そこへピッチが正しい新品チェーンを載せると、歯の山と谷の位置がずれて、力をかけた瞬間に乗り越えてしまいます。
対策は2つあります。1つは、チェーンが伸び切る前にこまめに交換して、リングの摩耗を進ませないこと。チェーンの交換目安は下の記事で詳しく書いていますが、チェーンチェッカーで定期的に測るのがいちばん確実です。もう1つは、チェーン交換のときに歯飛びが出たら、リングもスプロケットも含めて一式交換を前提に見積もりを取ることです。

ペダルを踏み込んだ瞬間に「ガチャッ」と嫌な音がする、坂の途中で変速が決まらずに足が空転する、平地なのに前より重い。クロスバイクで通勤していると、買って2年目あた…
実は、歯飛びの原因がリングではないこともある
意外と知られていないけれど、歯飛びの相談で持ち込まれた自転車を点検すると、チェーンリングには問題がなく、別の場所が原因だったというケースも少なくありません。代表的なのは、チェーンの固着したコマ(曲がらなくなったリンク)、リア側のスプロケットの摩耗、変速調整のずれの3つです。
固着したコマは、ペダルを逆回ししながらチェーンを目で追うと、リアディレイラーのプーリーを通過するときにカクンと跳ねるので見つけられます。変速調整のずれは、特定のギアだけで音鳴りや歯飛びが出るのが特徴です。シマノのマニュアルでも、チェーンリングは定期的に中性洗剤で洗浄し、チェーンも洗浄・注油することで寿命が延びるとしています。汚れで動きが渋くなっているだけなら、洗浄と注油で症状が消えることもあります。部品を買う前に、まずチェーンの状態と変速調整を確認するのが遠回りに見えて近道です。
買う前にどこを確認する?PCD・アーム数・段数・歯数の4点チェック
PCDとアーム数が合わないと物理的に付かない
チェーンリング選びで最初に確認するのが、PCD(ボルト穴を結んだ円の直径)とアームの本数です。この2つが今のクランクと一致しないと、ボルト穴の位置が合わず、そもそも取り付けられません。たとえばシマノ105の12速クランク(FC-R7100)用チェーンリングは、販売店の商品情報で「PCD 110mm・4アーム」と表記されています。
確認の方法は、クランクの品番を調べるのが確実です。クランクアームの裏側や、チェーンリングの表面に「FC-R7100」のような品番が刻印されていることが多いので、それを控えてお店やメーカーのサイトで照合します。同じPCDでも、アームの本数やボルト穴の間隔が不均等なタイプもあるため、数字だけを見て汎用品を選ぶのは避けてください。
ママチャリや一部の入門クロスバイクでは、チェーンリングとクランクが一体になっていて、リングだけを交換できない構造もあります。その場合はクランクごと交換になるので、費用の考え方が変わります。
PCD=チェーンリング固定ボルトの穴の中心を結んだ円の直径。アウター/インナー=フロントダブルの大きいリング/小さいリング。50-34T=アウター50歯・インナー34歯の組合せ。チェーンリングボルト=リングをクランクに固定するボルトとナットのセット。
変速段数とチェーンの規格をそろえる
次に合わせるのが、変速段数(リアの段数)です。段数が増えるほどチェーンの幅が細くなり、チェーンリングの歯の厚みや形状もそれに合わせて設計されています。FC-R7100用のチェーンリングは、販売店の表記で対応チェーンが「HG 12-speed」とされています。11速や10速のチェーンと組み合わせる前提ではありません。
段数を間違えると、取付けはできても変速のタイミングが合わず、アウターへ上がりにくい、インナーに落ちるときにチェーンが外れるといった不具合が出ます。シマノのディーラーマニュアルにも「クランクやチェーンリングが破損する可能性がありますので、シマノ純正部品を組合わせて使用してください」という注意があります。
中古で手に入れた自転車や、以前にパーツを入れ替えている自転車では、クランクとリアの段数が一致していないこともあります。自分の自転車のリアが何速かは、スプロケットの枚数を数えれば分かります。迷ったら、クランクの品番とリアの段数の両方をメモしてお店に持って行くと話が早いです。
歯数は「指定の組合せ」から選ぶ
アウターとインナーの歯数は、自由に組み合わせてよいわけではありません。シマノのマニュアルは「チェーンリングの組合わせは指定のチェーンリング構成に従ってください。他のチェーンリング構成で使用すると、変速不良やチェーンのつまりを引き起こし」と注意しています。105のFC-R7100なら、公式の組合せは50-34Tと52-36Tで、補修用リングも「50T-NK(50-34T用)」「52T-NH(52-36T用)」のように、どの組合せ用かが品名に入っています。
ここで引っかかりやすいのが、同じ50Tでも「50-34T用」と別の組合せ用で、変速用の歯の配置が違う点です。アウターだけを交換するときも、今付いているインナーと同じ組合せ用のものを選んでください。品名の末尾の記号(NK、NHなど)まで一致させるのが確実です。
歯数を変えて走りを軽くしたい場合は、後の章で詳しく書きますが、組合せごと入れ替えるのが基本です。
チェーンリング交換をお店に頼むと工賃はいくら?

サイクルベースあさひの基本工賃は2,750円
お店に頼む場合の目安として、サイクルベースあさひの公式料金表を見てみます。スポーツ車のチェーンリング交換は、基本工賃2,500円(税込2,750円)、作業時間の目安は20分~です。部品代は別なので、ここにチェーンリング本体の価格が加わります。
この金額は「クランクを外さずにリングだけ付け替えられる」場合の基本料金です。フロントがダブルの自転車でインナーを交換する場合や、クランクの構造によってはクランクの脱着が必要になり、後述の加算がかかります。持ち込みで見積もりを取ると、どの加算がかかるかをその場で教えてもらえます。
注意したいのは、料金は店舗・時期によって異なる点と、部品の持ち込み対応はお店ごとに条件が違う点です。ネットで買った部品を持ち込む予定なら、先に電話やカウンターで受け付けてもらえるか確認しておくと無駄足になりません。
クランク脱着が必要だと1,650円または4,400円が加算
同じ料金表には、加算のルールも書かれています。クランク(片側)の脱着が必要な場合は基本工賃にプラス1,650円(税込)、BBシャフト一体型クランクの脱着が必要な場合はプラス4,400円(税込)です。
BBシャフト一体型とは、右クランクと軸がつながっていて、左クランクを外して右側ごと引き抜くタイプのことです。シマノの2ピースクランクがこれにあたり、インナーリングの交換やリングの外し方によってはクランクを抜く作業が必要になります。どちらの加算になるかは自転車ごとに違うので、見積もりで確認してください。
クランクの外し方については、規格ごとの違いを別記事にまとめています。

チェーンリングを替えたい、BBから異音がする、ペダルの根元がガタつく——どの入口から入っても、最後は「クランクを外す」という一点に行き着きます。ところがネットで…
| 作業 | 工賃(税込) | 作業時間の目安 |
|---|---|---|
| チェーンリング交換 | 2,750円 | 20分~ |
| クランク片側脱着が必要な場合 | 基本工賃に+1,650円 | ― |
| BBシャフト一体型クランク脱着が必要な場合 | 基本工賃に+4,400円 | ― |
| チェーン交換(スポーツ車) | 4,180円 | 30分~ |
| 変速調整(前後) | 1,980円 | 15分~ |
サイクルベースあさひ公式料金表より。部品代は別。店舗・時期により異なります。
チェーン交換と変速調整を同時に頼むか考える
チェーンリングが歯飛びするほど減っているなら、チェーンも伸びている可能性が高いです。前の章で書いたとおり、新しいリングに古いチェーンを載せると、今度は新品のリングを早く削ってしまいます。そのため、チェーンリング交換のときはチェーン交換(スポーツ車で税込4,180円)も一緒に検討するのが普通です。
さらに、リングを替えると歯の高さや位置がわずかに変わるため、フロントの変速調整が必要になることがあります。あさひの料金表では変速調整(前後)が1,980円(税込)です。お店に頼む場合は、リングの交換作業の流れで調整まで見てくれることもあるので、見積もりの段階で「調整込みか」を聞いておくと安心です。
リアのスプロケットも同じ時期に減っていることが多く、全部まとめると部品代が大きくなります。予算が限られる場合は、歯飛びが出ている部品を優先し、残りは次の点検で状態を見て決めるという進め方もあります。
自分で交換するなら何をそろえる?工具と作業の分かれ目
ボルトの空回りを止めるペグスパナTL-FC21
チェーンリングを自分で交換するときに、専用工具として用意したいのがシマノのペグスパナ「TL-FC21」です。チェーンリングボルトは、表側を六角レンチで回すと裏側のナットが一緒に回ってしまうことがあります。TL-FC21の爪をナット側の溝に掛けて押さえれば、空回りせずに緩めたり締めたりできます。
定価は751円(税込、サイクルヨシダ掲載)で、クランクキャップの脱着にも使えます。ナットが固着していると、六角レンチだけで作業してナットの溝をなめてしまい、ボルトを交換する羽目になることがあります。工具代は小さいので、最初から用意しておくほうが結果的に安く済みます。
ただし、すべてのチェーンリングボルトにこの工具が必要なわけではありません。ナット側も六角穴になっているタイプや、クランクの形状によってはナットが回らない構造のものもあります。自分のクランクのボルトの形を確認してから購入してください。
| 品番 | Y13009700 |
| 用途 | チェーンリング固定ボルト(ナット側)の保持、クランクキャップの脱着 |
| 価格 | 定価751円(税込)/販売店により715円程度の例あり(時期により変動) |
ナットの空回りを止めてチェーンリングボルトを確実に脱着したいなら、このペグスパナを1本▼
六角レンチとトルクレンチは必須と考える
チェーンリングボルトの頭は、多くのクランクで六角穴です。これに合う六角レンチと、締付けトルクを確認するためのトルクレンチをそろえます。シマノのディーラーマニュアルでは、チェーンリングボルトの締付けトルクがクランクごとに指定されていて、SORA・CLARISのダブルでは12 – 14 N·mとされています。
トルクレンチを持っていないと、「緩まないように」と力いっぱい締めてボルトやクランクのネジ山を傷めたり、逆に締め不足で走行中に緩んだりします。チェーンリングボルトが緩むと、ペダルを踏むたびにカチカチと音が出て、放置するとリングの穴が変形することもあります。
クランクを外すかどうかで難易度が変わる
自分で作業する場合の分かれ目は、クランクを外さずにリングを交換できるかどうかです。アウターは、クランクを付けたまま前側から外せる構造が多い一方、インナーはクランクアームやBBとの位置関係で、クランクを抜かないと外せないことがあります。
クランクを外すには、2ピースクランクなら左クランクのキャップを外す工具、左クランクを固定するボルトを緩める六角レンチなどが必要で、組み戻すときは左クランクアームのボルトを交互に締め、12 – 14 N·mを確認するよう指定されています。ここを間違えると、走行中に左クランクが抜ける危険があります。
クランクの脱着に自信がない場合は、無理をせず自転車店に任せてください。あさひの料金表どおりなら、クランク片側脱着の加算は1,650円(税込)です。工具を買いそろえる費用と、作業ミスのリスクを考えると、初めての人はお店に頼むのも合理的な選択です。
チェーンリング交換の手順と、向きを間違えないコツ
外す前にチェーンをアウターから逃がす
作業は次の順番で進めます。
① リアをいちばん小さいギア、フロントをインナーに変速しておく
② チェーンをアウターリングから外し、フレーム側(BBのあたり)に落としておく
③ 今のリングの向き、マーキングの位置、チェーン落ち防止ピンの位置をスマホで撮影する
④ チェーンリングボルトを対角の順番で少しずつ緩める(ナット側が回るならTL-FC21で押さえる)
⑤ ボルトとナットを外し、リングを取り外す
③の撮影がいちばん大事です。リングには取付けの向きがあり、組み戻すときに写真があれば迷いません。ボルトを緩めるときは、1本を一気に外すのではなく、全体を少しずつ緩めるとリングやクランクに偏った力がかかりません。外したボルトとナットは、汚れを拭いてなくさないよう容器にまとめておきます。
チェーンを外すときにチェーンリングの歯で手を切ることがあります。シマノのマニュアルにも「チェーンリングの歯先に接触しないよう注意する」とあるので、軍手などで手を保護して作業してください。
最大リングはマーキング面が表、ピンはクランクの裏側
取付けで間違えやすいのが向きです。シマノのSORA・CLARISクランクのマニュアルでは、次のように指定されています。
・最大チェーンリング(アウター):マーキングのある面が表側。チェーン落ち防止ピンの位置がクランクアームの裏側にくるようにセット
・最小チェーンリング(インナー):マーキングのある面が裏側。位置決めの突起の位置がクランクアームの裏側にくるようにセット
チェーン落ち防止ピンは、アウターからチェーンが内側に落ちたときに、クランクとの間に挟まるのを防ぐための部品です。これがクランクアームの位置に合っていないと、チェーンが落ちたときにクランクとリングの間に噛み込みやすくなります。
105のFC-R7100などのマニュアルでも、最小チェーンリングはマーキング面を裏側にし、△印または位置決めの突起をクランクアームの裏側に合わせるよう書かれています。向きの目印はクランクによって違うので、必ず自分のクランクのマニュアルで確認してください。
出典:シマノ ディーラーマニュアル DM-RAFC010(FC-R9200/FC-R8100/FC-R7100ほか)
締付けトルクはクランクごとに数字が違う
向きを合わせたら、チェーンリングボルトを手で仮締めし、対角の順番で少しずつ本締めしていきます。最後はトルクレンチで指定値を確認します。
シマノのディーラーマニュアルでの指定値は、SORA・CLARISのダブルが12 – 14 N·m、トリプルの最小チェーンリングが16 – 17 N·m、最大・中間チェーンリングが12 – 14 N·mです。105(FC-R7100)などを収録したマニュアルでは、チェーンリング取付けボルトが12 – 16 N·mとされています。クランクの品番によって数字が違うため、ネットで見かけた数字を流用せず、自分のクランクのマニュアルを確認してください。
ボルトのネジ部へのグリス塗布などは、マニュアルや部品の説明書に指示がある場合はそれに従ってください。ネジ部が汚れたままだと、同じトルクでも締付け力がばらつき、異音や固着の原因になります。
シマノのディーラーマニュアルは「自転車安全整備士、自転車技士など専門知識を有する方」を対象とした資料で、記載内容に不明な点がある場合は自分で作業しないよう注意されています。クランクの脱着や、向き・トルクに自信がない場合は、無理をせず自転車店に依頼してください。
交換したのに変速が決まらない?交換後によくある3つのトラブル
アウターに上がらないならフロントの調整を疑う
チェーンリングを交換したあと、アウターへの変速が遅い、上がりきらずにガチャガチャ鳴るという症状が出ることがあります。多くの場合、新しいリングの歯先の高さや位置が、フロントディレイラーの位置と合っていないことが原因です。
フロントディレイラーには、ガイドプレートとアウターリングの歯先との隙間や、左右の可動範囲を決める調整ボルトがあります。リングを替えると、その基準がわずかに変わるため、変速調整をやり直す必要が出てきます。
調整のやり方はディレイラーの世代によって違うため、詳しい手順は下の記事にまとめています。調整してもうまくいかない場合は、あさひの料金表で税込1,980円の変速調整(前後)をお店に頼むのが確実です。

アウターに上げようとしてもチェーンが乗らない、インナーに戻すとガチャガチャ鳴る、坂の途中でチェーンがクランク側へ落ちる。フロント変速の不調は、走っている最中にい…
向きを逆に付けて、チェーン落ちが止まらなかった失敗
自分で交換した人がよくやる失敗が、インナーリングを裏返しに取り付けてしまうケースです。インナーはマーキング面を裏側にするのが指定なので、「文字が見えるほうが表」と思い込んで取り付けると逆になります。この状態では変速用の歯の位置がずれ、インナーへ落とすときにチェーンが内側に外れやすくなります。
対策は、外す前に写真を撮ることと、取付け後に一度、全ギアで変速を試すことです。スタンドにかけてペダルを回しながら、アウターとインナーの往復を10回程度繰り返し、スムーズに変速できるか確認します。チェーンが内側に落ちるなら、まずリングの向きを確認してください。
チェーン落ち防止ピンがクランクアームの裏側に来ていない場合も同じようにトラブルの原因になります。写真とマニュアルの図を見比べて、ピンの位置を確認してください。
カチカチ音はボルトの締め不足か乾燥を疑う
交換後、ペダルを踏むたびにカチカチ、パキッと音がする場合は、チェーンリングボルトの締め不足か、ネジ部の乾燥を疑います。ボルトが1本でも指定トルクに届いていないと、踏み込みのたびにリングがわずかに動き、音が出ます。
確認の手順は、①全ボルトを指定トルクで締め直す、②それでも鳴るならボルトを1本ずつ外し、ネジ部と座面を拭いてグリスを塗り直す、③それでも鳴るならペダルやBBなど別の場所を疑う、の順です。音は構造上、BBやペダル、サドルからも伝わるので、チェーンリングが原因と決めつけないことが大切です。
歯数を変える交換は得?目的別に考えるチェーンリング選び
105なら50-34Tと52-36Tの2つから選ぶ
交換のついでに「坂を楽にしたい」「スピードを出したい」と歯数を変えたくなる人もいます。105のFC-R7100の場合、公式の組合せは50-34Tと52-36Tの2つです。補修用リングも、この組合せごとに品名が分かれています。
50-34Tは、アウター・インナーともに小さめで、坂道や脚力に自信がない人に向く組合せです。52-36Tは、平地の巡航速度を上げたい人や、脚力のある人向けです。どちらにするかは、よく走るコースに坂が多いかどうかで決めるのがわかりやすい基準です。
組合せを変えると、フロントディレイラーの取付け高さの調整が必要になることがあります。チェーンの長さもリングの大きさによって変わるので、組合せを入れ替える交換は、リングだけを同じもので替える交換より作業範囲が広がります。ギア比の考え方も含めて、迷ったらお店で相談してください。
補修用リングの価格はアウターとインナーで差がある
部品代の目安として、105のFC-R7100用補修リングの定価を見てみます。サイクルヨシダの掲載では、アウター50T-NK(50-34T用、品番Y0RS98010)が定価8,163円、インナー34T-NK(50-34T用、品番Y0RS9801T)が定価2,528円です。価格は時期により変動するので、購入時に販売店で確認してください。
アウターとインナーでは定価に開きがあります。アウターが摩耗していてインナーはまだ使える、というケースは珍しくないので、両方を一度に替えずに状態を見て判断するのも選択肢です。
注意点として、補修用リングはショップの在庫状況が変わりやすく、取り寄せに日数がかかることがあります。歯飛びが出てから探し始めると、しばらく乗れない期間ができるかもしれません。早めに品番を控えておくと安心です。
目的別に考える交換の進め方
チェーンリング交換は、目的によって進め方が変わります。読者のタイプ別に整理すると、次のようになります。
| 目的・シーン | おすすめの選択 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 工具を持っていない・初めて | お店に依頼し、チェーン交換と変速調整の要否も見積もり | 基本工賃2,750円+部品代(クランク脱着で加算) |
| アウターだけ摩耗・自分で作業したい | 同じ組合せ用の補修リング+ペグスパナ+トルクレンチ | ペグスパナ定価751円+リング代 |
| 坂を楽にしたい(105) | 組合せごと50-34Tへ。FD調整とチェーン長の確認はお店で | リング2枚分+工賃(見積もりで確認) |
| ママチャリ・一体型クランク | リング単体ではなくクランク交換として相談 | クランク交換2,530円(片側)+部品代 |
通勤で毎日乗る人は、交換作業で乗れない日を作りたくないので、休日の前日にお店に預けるなど計画的に進めるのがおすすめです。週末のサイクリング中心の人は、チェーン交換のたびにリングの状態を見て、交換時期を早めに見極めておくと慌てずに済みます。
交換したチェーンリングを長持ちさせるには?
チェーンを伸び切る前に交換するのがいちばんの節約
チェーンリングを長持ちさせる最大のコツは、チェーンを伸び切る前に交換することです。伸びたチェーンはリングの歯を削る速度を上げてしまうため、チェーンをこまめに替えるほど、高いアウターリングの交換時期を先に延ばせます。
チェーンの伸びは、チェーンチェッカーを当てれば数秒で確認できます。月に1回程度、洗車のついでに当てる習慣をつけておくと、交換時期を逃しません。チェーンとリングとスプロケットはセットで摩耗していく部品なので、チェーンだけ先に替えることで全体の出費を抑えられます。
ただし、すでにリングの摩耗が進んでいる状態で新品チェーンに替えると、前の章の失敗例のように歯飛びが出ます。その場合は、リングも同時に替えるほうが結果的に安く済むことがあります。
中性洗剤での洗浄と注油を習慣にする
シマノのマニュアルには、チェーンリングを定期的に中性洗剤で洗浄し、チェーンも中性洗剤で洗浄して注油することで、チェーンリングとチェーンの寿命を延ばす効果があると書かれています。砂や泥を含んだ油汚れは、やすりのように歯を削る原因になります。
洗浄は、ブラシに中性洗剤をつけてリングの歯と歯の間をこすり、水で流して乾かすだけです。チェーンの洗浄はチェーンクリーナーを使うと効率的です。洗浄のあとは、チェーンに注油して余分な油を拭き取ります。
注意点として、錆び落とし用のアルカリ性や酸性の洗浄液は使わないようシマノのマニュアルで注意されています。チェーンが破損するおそれがあるためです。ディグリーザーを使う場合も、製品の説明とメーカーの推奨を確認してください。
変速の使い方でリングの負担は変わる
リングの減り方は、変速の使い方でも変わります。アウターを使いながらリアをいちばん大きいギアにする「たすき掛け」は、チェーンが斜めにかかって歯の側面に負担をかけ、摩耗や音鳴りの原因になります。シマノのマニュアルでも、チェーンとチェーンリングやフロントディレイラーが接触して音鳴りが出る場合は、スプロケットを1~2段大きいほうへ変速するよう案内があります。
もう1つは、坂の途中でペダルに力をかけたままフロントを変速しないことです。強く踏みながらの変速はチェーンとリングに大きな負担をかけ、歯先を傷める原因になります。坂に入る前に変速を済ませておくのが基本です。
こうした使い方の工夫は、どれも費用がかからないのが利点です。リングの交換費用を先送りしたいなら、まず乗り方とメンテナンスから見直してみてください。
まとめ
最初の一歩は、クランクやリングに刻印された品番を確認して控え、あわせてチェーンの伸びをチェッカーで測っておくことです。品番とチェーンの状態が分かれば、補修用リングの選定も、お店でのチェーン交換を含めた見積もりもスムーズに進みます。
※工賃・部品価格は店舗・時期により異なります。最新情報は各公式サイトでご確認ください。

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