自転車保険を安くしたい。その気持ちで比較サイトを開くと、月々300円台の商品から年間1万円を超える商品までが同じ「自転車保険」という名前で並んでいて、どれを選べば安いのか分からなくなります。しかも住んでいる都道府県の条例では加入が義務になっている。急いで一番安いものに申し込んでいいのか、迷って手が止まっている人は多いはずです。
結論から言います。自転車保険を安くする一番の近道は、安い商品を探すことではなく、自分がすでに持っている保険に「個人賠償責任」を足せないかを先に確認することです。都道府県民共済の個人賠償責任保険は月額150円、コープ共済は月額160円で、どちらも支払限度額は3億円。単体の自転車保険を新規契約するより支出が小さく済むケースがあります。
この記事では、自転車保険を安く収めるための考え方を、各社・各団体の公式サイトに載っている実額だけで整理します。賠償だけを足すルート、家族でまとめるルート、TSマーク付帯保険を使うルートの3つを比べ、最後に「あなたの場合はこれ」という組み合わせまで落とし込みます。安さと引き換えに何を手放すのかも正直に書きます。
・自転車保険で買っている「賠償」と「自分のケガ」の分け方
・月額150円から使える個人賠償責任保険という最安ルート
・au損保・サイクル安心保険・楽天サイクル保険の公式掛金の実額比較
・安さを優先して後悔しやすい2つの落とし穴と回避法
自転車保険を安くする前に、あなたが買っているものを2つに分ける

相手への賠償と自分のケガは、別々に買える
自転車保険という商品が高く感じる最大の理由は、性質のちがう2つの補償が最初から束ねられているからです。日本損害保険協会は、自転車事故による損害賠償責任は「個人賠償責任保険」で、自分自身のケガは「傷害保険」でそれぞれ補償されると説明しています。つまり自転車保険とは、この2つをセットにしたパッケージ商品です。
条例が加入を求めているのは、このうち前者だけです。国土交通省がまとめた条例制定状況では、義務化しているのは自転車損害賠償責任保険等への加入であって、自分のケガの補償までは求められていません。だから賠償だけを買えば、義務は満たせます。
使い分けのイメージはこうです。通勤で毎日乗る人が転倒して骨折すれば入院費がかかりますから、傷害補償の価値は高い。一方、週末に数km走るだけの人が自分のケガのために毎月1,000円を超える掛金を払い続けるのは、費用対効果が読みにくくなります。
注意点として、自分のケガの補償を切り捨てるのは「安い」のではなく「買っていない」だけです。健康保険で治療費の自己負担は抑えられても、休業した分の収入までは戻りません。切るかどうかは、働き方と貯蓄で判断してください。
個人賠償責任保険=日常生活で他人にケガをさせたり物を壊したりして、法律上の損害賠償責任を負ったときに保険金が出る保険。自転車事故もこの範囲に入る。「日常生活賠償」「個人賠償責任特約」など呼び名は会社によって変わるが、中身はほぼ同じ。
示談交渉サービス=賠償事故のとき、保険会社が加入者に代わって相手方と話し合いをしてくれるサービス。付いている商品と付いていない商品がある。
「自転車保険」という名前の商品でなくても義務は満たせる
条例が求めているのは自転車損害賠償責任保険等への加入であり、商品名に自転車と入っている必要はありません。火災保険や自動車保険に付ける個人賠償責任特約、共済の個人賠償責任保険、勤務先の団体保険、クレジットカードに付帯する賠償プランでも、自転車事故による賠償が対象になっていれば要件を満たします。
この点を知らずに新規契約する人が多いのは、比較サイトが単体商品しか並べないからです。単体の自転車保険は自分のケガの補償が主役なので、賠償だけを見比べれば割高に映ります。逆に言えば、賠償だけが必要な人にとっては特約の方が支出が小さくなります。
加入を証明できる状態にしておくことも大切です。学校や勤務先から加入状況の申告を求められたとき、特約の場合は保険証券の該当ページや保険会社のマイページで補償内容を示せるようにしておくと手続きが止まりません。
注意点は、特約は主契約がなければ付けられないことです。賃貸住宅の火災保険を解約したり、車を手放して自動車保険をやめたりすると、気づかないうちに賠償の補償も消えます。主契約を見直すときは特約の行方も必ず確認してください。
安さだけで選ぶと外れる3つの見落としポイント
安い商品を選ぶこと自体は間違いではありません。ただし、掛金の数字だけを比べると、後で困る3点が視野から外れます。1つ目は示談交渉サービスの有無、2つ目は補償される家族の範囲、3つ目は自分のケガをどこまで含むかです。
示談交渉サービスは、加入者本人が被害者側と直接やり取りしなくて済むかどうかを決めます。都道府県民共済の個人賠償責任保険は、日本国内の事故にかぎり損保ジャパンが示談交渉を引き受けると明記しています。一方でTSマーク付帯保険は色によって扱いが変わり、赤色・青色には示談交渉サービスが付いていません。
家族の範囲も商品ごとに定義が違います。コープ共済の個人賠償責任保険は、1世帯の1人が加入すれば共済契約者・配偶者・同居の親族・別居の未婚の子までが対象になると公表しています。この「別居の未婚の子」という一文があるかどうかで、下宿している大学生を守れるかが決まります。
掛金を比べるときは、この3点を同じ条件に揃えてから並べてください。揃えずに数字だけ見ると、補償の薄い商品が一番安く見えるのは当たり前です。
月額150円から。個人賠償責任保険だけを足す最安ルート
都道府県民共済の個人賠償責任保険は月額150円で3億円
賠償だけを最小の支出で確保したいなら、共済の個人賠償責任保険が有力です。都道府県民共済の個人賠償責任保険は、月額150円・年額1,800円で支払限度額3億円。日本国内の事故にかぎり、損害賠償に関する示談交渉を保険会社である損保ジャパンが引き受けると公式ページに書かれています。
この金額で3億円という限度額が成立するのは、共済という仕組みで加入者をまとめて引き受けているからです。日本損害保険協会が公表している高額賠償事例では、小学生が夜間に歩行者と衝突した神戸地方裁判所の2013年の判決で9,521万円、高校生が無灯火で警察官と衝突した高松高等裁判所の2020年の判決で9,330万円が認められています。限度額3億円は、これらを十分に超える水準です。
補償の対象は加入者本人だけでなく、配偶者、加入者または配偶者の同居の親族、別居の未婚の子まで広がります。家族4人でも掛金は1本分ですから、1人あたりの負担はさらに下がります。
注意点は、これが都道府県民共済の加入者向けの保険だという点です。単体では申し込めないため、共済に加入していない人はまず本体の共済を検討することになります。その分の掛金も含めて考えないと、実際の支出は見た目通りにはなりません。神奈川県民共済の個人賠償責任保険ページで最新の条件を確認してください。
コープ共済の個人賠償責任保険は月額160円で最高3億円
生協を利用している家庭なら、コープ共済の個人賠償責任保険も同じ役割を果たします。月額掛金は160円で、支払限度額は最高3億円。示談交渉サービスも付いています(日本国外の裁判所に訴訟が提起された場合を除くなど一定の条件があります)。
保障の対象は、1世帯の1人が加入すれば共済契約者、その配偶者、共済契約者または配偶者の同居の親族および別居の未婚の子までです。進学で家を出た子どもが自転車通学をしている家庭では、この一文があるかどうかが実務上いちばん効きます。
都道府県民共済との比較で言えば、掛金の水準も限度額も近く、どちらを選ぶかは「すでにどちらの共済に加入しているか」で決まります。新しく共済本体に入り直してまで乗り換える理由は薄いでしょう。
注意点として、これは単独商品ではなく追加保障です。公式ページには《たすけあい》《あいぷらす》プラチナ85・ゴールド85・ゴールド80、《学生総合共済》への加入が前提と書かれています。生協の共済に入っていない人が賠償だけを買う目的で本体に加入すると、総額は逆に増えます。
火災保険・自動車保険の特約なら年2,050円程度で無制限も
持ち家でも賃貸でも、火災保険には個人賠償責任特約を付けられることがほとんどです。損保ジャパンは、2025年9月1日以降の保険開始日の契約について、保険金額が無制限の場合で年間2,050円程度という金額を公式FAQで案内しています。無制限という設計は、限度額の心配をしなくてよいという意味で分かりやすい選択肢です。
自動車保険に付ける形でも同じことができます。すでに車を持っている家庭なら、更新のタイミングで特約を1つ追加するだけなので、申込書を新しく書く手間もかかりません。
使いどころは、家族の誰かが火災保険や自動車保険の契約者になっている世帯です。特約の補償範囲も共済と同様に配偶者や同居の親族まで及ぶ設計が一般的なので、世帯で1本にまとめられます。ただし範囲の定義は会社ごとに違うため、契約している保険会社の約款や説明書で必ず確認してください。
注意点は、保険料は契約条件によって変わることです。上記の金額はあくまで損保ジャパンが公式に示した目安で、他社や他の契約条件では同じにはなりません。見積もりを取ってから判断するのが確実です。
よくある失敗パターンが「重複加入」です。父親の自動車保険に個人賠償責任特約が付いているのに、母親が別に自転車保険を契約し、さらに子どもの学校経由でも団体保険に入っていた、というケースは珍しくありません。個人賠償責任保険は実際の損害額を超えて受け取れないため、2本目・3本目の掛金はほぼ無駄になります。加入前に、家庭内の火災保険・自動車保険・共済・クレジットカード付帯の4か所を洗い出してください。
家族で1本にすると1人あたりの負担が下がる仕組み

au損保Bycleの家族タイプは月払650円から
自分のケガの補償も欲しいなら、単体の自転車保険を家族単位で契約する方法が候補になります。au損保の自転車向け保険Bycleは、本人タイプ・家族タイプ・本人・親族タイプの3種類があり、家族タイプのブロンズコースは月払650円、一時払1年なら7,080円です。本人タイプのブロンズコースが月払340円ですから、2人分を別々に契約するより家族タイプ1本の方が支出は小さくなります。
ブロンズコースでも個人賠償責任補償は2億円で、示談代行サービスにあたる賠償事故解決特約が付きます。自分のケガについては死亡・後遺障害300万円(自転車事故なら600万円)、入院保険金日額4,000円(自転車事故なら8,000円)という設計です。
使い分けとしては、夫婦と子どもが全員自転車に乗る家庭が家族タイプ、単身者が本人タイプ、配偶者は別の保険で守られている家庭が本人・親族タイプ(月払550円)という整理になります。配偶者を対象から外すだけで掛金が下がるのは、Bycleの分かりやすい特徴です。
注意点は、コースを上げると掛金が段階的に上がることです。シルバーコースの家族タイプは月払1,150円、ゴールドコースは月払1,890円。ゴールドコースには弁護士費用等300万円と法律相談費用5万円が付きますが、そこまで必要かは各家庭の事情で判断してください。
家族型が割安になるのは「対象者が2人以上いる場合」です。単身なら本人タイプの方が確実に負担は小さく、Bycleのブロンズコースなら月払340円・一時払1年で3,810円。逆に3人以上が自転車に乗る家庭では、家族タイプ1本にまとめた方が1人あたりの掛金は下がります。人数を数えてから型を選んでください。
サイクル安心保険のプランCは年4,660円で家族全員
全日本交通安全協会のサイクル安心保険は、年間掛金で比較しやすい商品です。自転車事故補償コースのプランA(個人向け・ベーシック)はWeb申し込みで年1,770円、プランB(個人向け・スタンダード)が2,770円、家族向けのプランCが4,660円。賠償責任はどのプランも1億円+示談交渉サービス(国内のみ)で、しかも賠償の補償は全プランで家族全員に適用されます。
ここが重要な点です。プランAの1,770円でも、賠償に関しては家族全員がカバーされます。ちがうのはケガの補償の範囲で、プランAは本人の死亡・後遺障害保険金50万円のみ、プランCになると本人1,000万円・家族850万円、入院保険金日額6,000円まで広がります。
より手厚い交通傷害ワイド補償コースを選べば、賠償責任は3億円に上がります。プランD(Web申し込みで年2,000円)、プランE(3,800円)、プランF(5,870円)という構成で、プランDは賠償3億円を確保しながら年間掛金が抑えられる位置づけです。
注意点は加入条件です。この保険は全日本交通安全協会の自転車会員だけが加入でき、しかも入会と同時加入のみ。入会後に思い直して保険だけ追加することはできません。また郵送申し込みは各プランで掛金が上がるため、Web申し込みを選ぶのが基本です。サイクル安心保険の公式案内で条件を確認してから手続きしてください。
家族型は「誰まで対象か」を必ず確認する
家族型は安く見えますが、対象範囲の定義が商品ごとに違うため、思っていた人が入っていないという事故が起きます。楽天サイクル保険(サイクルアシスト)は、補償対象を本人、本人の配偶者、本人またはその配偶者の同居の親族、本人またはその配偶者の別居の未婚の子と明記しています。
この「別居の未婚の子」という条件は多くの商品に共通しますが、裏を返せば結婚した子や、別居している親は対象外になるということです。高齢の親の自転車事故を心配して家族型に入っても、親が別居なら守られません。
比較のポイントは、同居か別居か、未婚か既婚かという2軸で家族を並べてみることです。全員が同じ枠に収まるなら家族型1本で足りますし、収まらない人がいれば、その人には別の手当てが必要になります。
注意点として、家族構成は変わります。子どもが結婚した、親を呼び寄せた、単身赴任が始まったといった変化のたびに、対象範囲がずれていきます。更新のタイミングで家族の状況を棚卸しする習慣をつけてください。

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年間掛金で並べる:主要5ルートの実額比較
賠償だけと、ケガも込みで価格帯はこう変わる
ここまでの選択肢を、同じ「年間いくらか」という物差しで並べます。以下は各社・各団体の公式サイトに掲載されている金額をもとに自転車の教科書が整理したものです。
| ルート | 掛金(公式掲載値) | 賠償の限度額 | 自分のケガ |
|---|---|---|---|
| 都道府県民共済 個人賠償責任保険 | 月額150円/年額1,800円 | 3億円限度 | 対象外 |
| コープ共済 個人賠償責任保険 | 月額160円 | 最高3億円 | 対象外 |
| サイクル安心保険 プランA(Web) | 年1,770円 | 1億円+示談交渉 | 死亡・後遺障害50万円 |
| au損保 Bycle 本人・ブロンズ | 月払340円/一時払3,810円 | 2億円 | 入院日額4,000円ほか |
| 楽天サイクル保険 | 年3,290円~16,380円 | 1億円 | プランにより変動 |
表を眺めると、賠償だけを買うルートと、ケガの補償も込みのルートで価格帯がきれいに分かれることが分かります。賠償だけなら年額1,800円という水準、ケガの補償も込みなら年1,770円のプランAを起点にプランや家族の人数に応じて上がっていく世界です。自分がどちらの世界にいるべきかを先に決めれば、比較する対象は一気に絞れます。
月払と一時払、2年契約で総額はどう動くか
同じ商品でも払い方で総額は変わります。au損保Bycleの本人タイプ・ブロンズコースは月払340円、一時払1年なら3,810円。12回に分けて払うか一度に払うかで、年間の総額に差が出る設計です。公式サイトでも、月払と比べて一時払の方が年間でおトクになると案内されています。
さらに2年契約という選択肢もあります。本人タイプ・ブロンズコースの2年一時払は7,230円、家族タイプ・ブロンズコースなら13,450円。au損保は2年契約について、1年契約の一時払と比べて約5%割安になると説明しています。
使いどころは、当面自転車の使い方が変わらないと分かっている人です。転居や進学、車の購入といったイベントが控えているなら、条件が変わったときに見直しやすい1年契約の方が扱いやすくなります。
注意点として、2年契約は一時払(一括払)のみの取り扱いです。まとまった支出になるため、月々の家計から出す前提の人には向きません。総額の安さと支払いやすさのどちらを取るかという話です。
Web申し込みと郵送申し込みの差を取りこぼさない
意外と見落とされるのが申込方法による差です。サイクル安心保険は、プランAがWeb申し込みで1,770円、郵送申し込みで1,970円。プランBは2,770円と2,970円、プランCは4,660円と4,860円という設定になっています。
交通傷害ワイド補償コースも同様で、プランDはWeb申し込み2,000円・郵送申し込み2,200円、プランEは3,800円と4,000円、プランFは5,870円と6,070円です。どのプランでもWeb申し込みの方が掛金は低く設定されています。
比較の視点で言えば、これは補償内容がまったく同じで手続き方法だけが違うケースです。補償を削らずに支出を減らせる数少ないポイントなので、スマートフォンやパソコンで手続きできる人はWeb申し込みを選ばない理由がありません。
注意点は、郵送申し込みにも役割があることです。ネット操作に不安のある高齢の家族が加入する場合は、書面で手続きした方が確実に完了します。安さを優先して手続きが途中で止まるくらいなら、郵送を選んだ方が結果的に得です。
TSマーク付帯保険は「安い保険」として使えるのか
緑・赤・青で賠償額と示談交渉の扱いが変わる
自転車店で点検整備を受けると貼ってもらえるTSマークにも保険が付いています。日本交通管理技術協会によれば、TSマークには緑色(第三種)・赤色(第二種)・青色(第一種)の3種類があり、賠償内容が異なります。
緑色TSマークは死亡・傷害に対して限度額1億円で、示談交渉サービスが付いています。赤色TSマークは死亡・重度後遺障害(1~7級)に対して限度額1億円、青色TSマークは同じ条件で限度額1,000万円。赤色・青色には示談交渉サービスが付いていません。
この違いは実務上とても大きい部分です。赤色・青色は支払対象が死亡または重度後遺障害1級から7級に限られるのに対し、緑色はこの制限をなくし、すべての人身事故が賠償責任補償の支払対象になります。つまり相手が軽傷で済んだ場合、赤色・青色では賠償責任補償は使えません。
注意点として、物損事故はどの色でも賠償責任補償の対象になりません。駐車中の車に接触してミラーを壊した、といったケースは対象外です。日本交通管理技術協会のTSマーク解説ページで色ごとの条件を確認してください。
| 項目 | 緑色(第三種) | 赤色(第二種) | 青色(第一種) |
|---|---|---|---|
| 賠償責任補償 | 死亡・傷害/限度額1億円 | 死亡・重度後遺障害/限度額1億円 | 死亡・重度後遺障害/限度額1,000万円 |
| 示談交渉サービス | 付いている | 付いていない | 付いていない |
| 傷害補償(死亡・重度後遺障害1~4級) | 一律50万円 | 一律100万円 | 一律30万円 |
| 傷害補償(入院15日以上) | 一律5万円 | 一律10万円 | 一律1万円 |
| 被害者見舞金(入院15日以上) | 賠償責任補償で対応 | 一律10万円 | 制度なし |
保険が「人」ではなく「自転車」に付くという制約
TSマーク付帯保険の最大の特徴は、保険が自転車に付くことです。協会の説明では、点検基準日と自転車安全整備士番号が記載された保険有効期間中のTSマーク貼付自転車に搭乗中の人が対象になります。誰が乗っていてもその自転車なら対象、という考え方です。
裏を返すと、そのTSマークが貼られていない自転車に乗っているときは対象外になります。共済や自転車保険の個人賠償責任が「人」に付き、レンタサイクルでも友人の自転車でも対象になるのとは正反対の設計です。
使いどころは、家族で1台の自転車を共有している家庭や、通学用に1台だけ持っている学生です。逆に複数台を使い分けている人、シェアサイクルを併用する人には向きません。台数が増えれば、その分だけ点検整備を受ける必要があります。
注意点は有効期間です。保険の有効期間はTSマークに記載されている点検基準日から1年間で、更新には再び点検整備を受ける必要があります。貼りっぱなしで期限が切れていた、というのはよくある話なので、マークの日付は年1回確認してください。
点検整備とセットで得られる価値をどう評価するか
TSマークは自転車安全整備店で有料の点検整備を受けて貼ってもらうものなので、費用は保険料というより点検整備料です。金額は店によって異なるため一律には言えませんが、ブレーキやチェーンをプロに見てもらえる対価が含まれていると考えると、評価は変わってきます。
特に通学用の自転車は、乗り手が不調に気づきにくいまま乗り続ける傾向があります。年1回、ブレーキの効きとタイヤの摩耗を専門家が確認してくれる機会が組み込まれていること自体に価値があります。
他の選択肢との比較で言えば、TSマークは共済の個人賠償責任保険を置き換えるものではなく、点検整備の副産物として賠償が付いてくるものです。賠償を本気で確保したいなら、共済や自転車保険と組み合わせるのが現実的です。
注意点として、1店舗で扱うTSマークは緑色・赤色・青色のいずれか1種類だけです。示談交渉サービス付きの緑色が欲しいなら、緑色を扱っている自転車安全整備店を探す必要があります。ブレーキまわりに不安がある場合は、自己判断で調整せず自転車店に相談してください。

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自転車保険を安くしすぎて後悔した2つのパターン
示談交渉サービスなしを選んで、自分で交渉するはめになった
掛金の数字だけで選ぶと、示談交渉サービスが付いていない商品にたどり着くことがあります。これは加入時には見えないコストで、実際に事故が起きたときに初めて表面化します。
賠償事故が起きたら、相手の治療費や休業損害の金額を決める話し合いが必要になります。示談交渉サービスがあれば保険会社が代わりに進めてくれますが、なければ加害者本人が相手方と直接やり取りすることになります。専門知識がないまま感情的な交渉に巻き込まれる負担は、掛金の差で片づく話ではありません。
回避策はシンプルです。商品を選ぶとき、掛金の隣に「示談交渉サービスの有無」の列を作って比べてください。サイクル安心保険はどのプランも示談交渉サービス(国内のみ)が付き、都道府県民共済とコープ共済の個人賠償責任保険にも付いています。TSマークは緑色のみです。
注意点として、示談交渉サービスは多くの商品で日本国内の事故に限られます。海外で自転車に乗る予定がある人は、その範囲も確認しておいてください。
下宿している子どもが対象外だった
2つ目は家族の範囲の読み違いです。大学進学で子どもが一人暮らしを始めた家庭で、親の自転車保険に入っているから大丈夫だと思っていたら、対象は同居の親族までだった、というパターンです。
この分かれ目になるのが「別居の未婚の子」という一文です。都道府県民共済の個人賠償責任保険、コープ共済の個人賠償責任保険、楽天サイクル保険はいずれも別居の未婚の子を対象に含めると明記しています。逆にこの記載がない商品では、下宿中の子どもは守られません。
回避策は、家族の住所と婚姻状況を書き出してから約款の定義に当てはめることです。特に子どもが進学・就職するタイミングは、対象範囲がずれる典型的な節目になります。子どもが結婚すれば「未婚の子」から外れるという点も忘れないでください。
注意点として、対象外だと分かった場合の対処は簡単です。その子ども本人が個人向けのプランに加入すれば済みます。サイクル安心保険のプランAならWeb申し込みで年1,770円、au損保Bycleの本人タイプ・ブロンズコースなら月払340円です。
実は「自分のケガ」の補償は重複しやすい
意外と知られていないのですが、自転車保険を高くしている要因の多くは、賠償ではなく傷害補償の部分です。そして傷害補償は、他の保険と重複しやすい性質を持っています。
医療保険や生命保険の入院特約、勤務先の団体保険、学校の共済など、入院や通院に対して給付が出る仕組みはあちこちにあります。自転車事故で入院したときに、すでに複数の保険から給付を受けられる状態なら、自転車保険側のケガの補償を厚くする意味は薄れます。
ここを整理すると、選ぶべき方向が変わります。すでに医療保障が手厚い人は、自転車保険では賠償だけを確保すればよく、共済の個人賠償責任保険や火災保険の特約で足りるという結論になりやすい。逆に医療保障が薄い若い単身者は、傷害補償込みの自転車保険を1本持つ価値があります。
注意点は、賠償と傷害では重複の意味が違うことです。賠償は実際の損害額までしか支払われないので重複は無駄になりますが、傷害の入院給付金は複数の保険から重ねて受け取れる設計のものもあります。自分の契約がどちらかは、約款で確認してください。
タイプ別・いちばん無駄なく収まる組み合わせ
通勤・通学で毎日乗る単身者
毎日乗る人は転倒のリスクにさらされる時間が長いため、賠償だけでなく自分のケガの補償も持っておく価値があります。単身なら家族型を選ぶ理由はないので、本人向けのプランで十分です。
候補になるのはau損保Bycleの本人タイプ(ブロンズコース月払340円、一時払1年3,810円)と、サイクル安心保険のプランB(Web申し込みで年2,770円)です。プランBは死亡・後遺障害保険金1,000万円、入院保険金日額3,000円、手術保険金は入院中の手術30,000円・外来の手術15,000円という内容になっています。
選び分けの目安は、賠償の限度額をどこまで求めるかです。Bycleのブロンズコースは個人賠償責任補償2億円、サイクル安心保険のプランBは1億円+示談交渉サービス。どちらも公表されている高額賠償事例を上回る水準です。
注意点として、通勤で使う場合は勤務先の規定も確認してください。自転車通勤を認める条件として保険加入の証明を求める会社もあります。

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子どもが自転車に乗る家庭
子どもの自転車事故は、公表されている高額賠償事例でも目立ちます。神戸地方裁判所の2013年の判決では小学生が起こした事故で9,521万円、東京地方裁判所の2008年の判決では高校生の事故で9,266万円が認められました。賠償の限度額を優先すべき典型です。
いちばん支出が小さく収まるのは、すでに加入している共済に個人賠償責任保険を足す形です。都道府県民共済なら月額150円で3億円、コープ共済なら月額160円で最高3億円。どちらも1本で世帯をカバーします。
ケガの補償も家族分まとめたいなら、サイクル安心保険のプランC(Web申し込みで年4,660円、本人1,000万円・家族850万円、入院保険金日額6,000円)や、au損保Bycleの家族タイプ(ブロンズコース月払650円)が候補になります。
注意点として、自転車の乗り方そのものへの指導も並行してください。政府広報オンラインは、万が一に備えて損害賠償責任保険等に加入するとともに、家族に自転車利用者がいる場合は保険に加入しているかを確認しておくことも大切だと呼びかけています。
高齢の親や、別居している学生をどう守るか
別居の家族は、家族型の対象範囲から外れやすい層です。別居の未婚の子は多くの商品で対象に入りますが、別居の親は入りません。ここは個別に手当てするしかありません。
別居の学生については、親の共済や自転車保険の対象範囲に「別居の未婚の子」が含まれているかを確認するのが先です。含まれていれば追加の契約は不要ですし、含まれていなければ本人がサイクル安心保険のプランA(Web申し込みで年1,770円)などに加入すれば足ります。
高齢の親については、親自身が加入者になる形を検討してください。サイクル安心保険は補償の対象となる方に年齢制限がなく、au損保には70才から89才向けのBycle Sというプランもあります。
注意点として、高齢の家族が自分でWeb申し込みを完了できるかは事前に確かめてください。難しければ郵送申し込みを使うか、家族が手続きを手伝う形にした方が確実です。
週末だけロードバイクで走る人
走行距離は長いけれど乗る日数は少ない、というタイプです。速度域が高いぶん賠償リスクは軽視できませんが、乗る頻度を考えるとケガの補償を厚くする費用対効果は読みにくくなります。
この層に合いやすいのは、賠償を共済や特約で確保しつつ、必要に応じて傷害の補償を足す組み合わせです。火災保険の個人賠償責任特約なら損保ジャパンの案内で保険金額無制限の場合に年間2,050円程度、共済なら月額150円から160円の水準で賠償を押さえられます。
弁護士費用まで欲しい人は、au損保Bycleのゴールドコース(本人タイプ月払1,130円)という選択肢もあります。弁護士費用等300万円と法律相談費用5万円が付き、通院保険金日額も2,000円(自転車事故なら4,000円)まで上がります。
注意点は、ロードサービスの扱いです。Bycleは全コースにロードサービスがセットされ、搬送は50kmまで無料、自宅への出張修理にも対応します(修理に必要な部品代は自己負担)。遠方まで走る人にとっては、この付帯サービスが実質的な価値になります。
| タイプ | 組み合わせの考え方 | 掛金の目安(公式掲載値) |
|---|---|---|
| 毎日通勤・通学する単身者 | 賠償+ケガを1本で。本人向けプラン | 月払340円/年2,770円 |
| 子どもが乗る家庭 | 共済の個人賠償を1本、必要なら家族型を追加 | 月額150円/年4,660円 |
| 別居の学生 | 親の契約の対象範囲を確認、外れるなら本人加入 | 年1,770円 |
| 週末ライド中心 | 賠償は特約・共済で確保、ケガは必要な分だけ | 月額160円/年2,050円 |
まとめ
最初の一歩は、保険証券を1か所に集めて「個人賠償責任」という言葉を探すことです。火災保険、自動車保険、共済、クレジットカードの4か所を見れば、たいていの家庭はどれか1つに行き当たります。付いていれば新規契約は不要で、付いていなければ月額150円からの共済か、加入中の保険への特約追加を検討すればいい。この順番で進めれば、必要な補償を落とさずに支出を抑えられます。判断に迷う部分は、契約している保険会社や共済の窓口に確認してください。
掛金や補償内容は改定されることがあります。加入前に各社・各団体の公式サイトで最新情報をご確認ください。

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