「自転車って、普通はどれくらいのスピードで走っているんだろう」「通勤で同僚に抜かれてばかりだけど、自分は遅いのかな」。売り場でもこの質問はよく受けます。スピードメーターを付けたことがないと、自分の速さを比べる物差しがないんですよね。
先に答えを言うと、信号のない道で普通のシティサイクル(軽快車)を自由に走らせた平均は16.8km/h、電動アシストで18.6km/hという調査結果があります。ところが信号や交差点のある街中を走ると、コース全体の平均は9.6km/hまで落ちます。つまり「脚の速さ」よりも「止まる回数」がスピードを決めている、というのが自転車の実態です。
この記事では、車種によるスピードの違い、街中で遅くなる理由、同じ自転車のままで速く走るコツ、そして意外と知られていない自転車の速度ルール(速度超過の反則金、電動アシストの24km/h)まで、公的な資料の数字をもとに順番に解説します。
・シティサイクル・電動アシスト・スポーツ車のスピードの目安
・街中の平均が9.6km/hまで落ちる理由と、所要時間の見積もり方
・空気圧・サドル高さ・ギアの使い方で速く楽に走るコツ
・自転車にも適用される速度超過の反則金と、電動アシストの24km/hの仕組み
自転車のスピードは車種でどれくらい違う?信号のない道での実力差

まずは「邪魔が入らなければ、どのくらいで走れるのか」という自転車の素の実力から見ていきます。ここを知っておくと、自分の走りが遅いのか普通なのかを冷静に判断できます。
シティサイクルの巡航スピードは16.8km/hが1つの物差し
結論から言うと、一般的なシティサイクル(軽快車)の巡航スピードは16.8km/h前後が目安です。これは土木学会の論文「自転車の走行空間等の違いによる旅行速度の差異に関する分析」で、信号や歩行者などの外的要因がない状態で測った「自由旅行速度」の平均値です。
この数字が便利なのは、性別や年齢で有意な差が出なかったと報告されている点です。高校生でも50代でも、ママチャリで気持ちよく流すと大体このあたりに落ち着く、と考えてよいでしょう。自分の自転車にスピードメーターを付けて16.8km/h前後が出ていれば、脚力は平均的と言えます。
使いどころとしては、河川敷のサイクリングロードや信号の少ない郊外の道を走る時間を見積もるときに役立ちます。逆に、この数字をそのまま街中の通勤に当てはめると大きく外れます。理由は次の見出しで詳しく説明しますが、止まる回数が増えると平均は一気に下がるからです。
注意点として、これは「平均」であって「安全な上限」ではありません。住宅街の見通しの悪い交差点や歩道では、16.8km/hでも速すぎる場面があります。スピードの目安と、その場で出してよいスピードは別物だと覚えておいてください。
電動アシストは18.6km/hでも「速い乗り物」ではない
同じ調査で、電動アシスト自転車の自由旅行速度は18.6km/hでした。シティサイクルより約2km/h速い計算です。坂道や漕ぎ出しでモーターが補助してくれるぶん、平地の巡航でも少しだけスピードが乗ります。
ただし面白いのは、ふだんシティサイクルを20km/h以上で走らせている人は、電動アシストに乗り換えるとかえって速度が落ちたという結果です。アシストは24km/hで補助力がゼロになる決まりなので、それ以上の速度域では重い車体を自分の脚だけで動かすことになります。車重の重さが、速い人にとってはブレーキのように効いてしまうわけです。
ですから電動アシストは「速く走るための乗り物」ではなく、「漕ぎ出しと坂を楽にして、平均スピードを底上げする乗り物」と考えるのが正確です。子ども乗せや荷物の多い買い物、坂の多い通勤ルートでは大きな武器になります。
デメリットは、スピードを出したい人の期待には応えにくいことです。「電動なら速いはず」と思って買うと、平地の巡航では思ったほど差がないと感じるかもしれません。アシストの仕組みは後半で詳しく扱います。
クロスバイク・ロードバイクが速いのは姿勢とタイヤのおかげ
スポーツ車が速い最大の理由は、車体の軽さよりも「乗車姿勢」と「タイヤ」です。フラットバーのクロスバイクは上半身がやや前傾し、ドロップハンドルのロードバイクはさらに低い姿勢をとれます。前傾すると風を受ける面積が減り、脚の力がスピードに変わりやすくなります。
タイヤも大きな差になります。スポーツ車は細めで高めの空気圧に対応したタイヤを使うため、路面との抵抗(転がり抵抗)が小さく、同じ力でもよく進みます。シティサイクルの太めのタイヤは段差に強く乗り心地がよい反面、スピードは出にくい設計です。
どんな人に向くかというと、片道が長めの通勤や、週末に距離を走りたい人ならスポーツ車の恩恵は大きいです。一方、片道数kmで信号だらけの街中なら、先ほどの通り「止まる回数」が支配的なので、車種の差は思ったほど縮まりません。
注意点は、前傾姿勢に慣れないうちは首や手が疲れやすいことと、細いタイヤはこまめな空気入れが前提になることです。速さと引き換えに手間が増える、という点は買う前に知っておいてください。
| 項目 | シティサイクル(軽快車) | 電動アシスト自転車 | クロス・ロード |
|---|---|---|---|
| 信号なしの平均 | 16.8km/h | 18.6km/h | 個人差が大きく一律の公的データなし |
| 速さを決める要素 | 太めのタイヤ・起き気味の姿勢 | 24km/hまでのアシスト・重い車体 | 前傾姿勢・細めのタイヤ・多段ギア |
| 得意な場面 | 近所の買い物・短距離 | 坂道・漕ぎ出しの多い街中 | 信号の少ない長めの距離 |
出典:土木学会論文(山本ほか)の自由旅行速度。スポーツ車は乗り手と車種で幅が大きいため数値を載せていません。
なぜ街中では平均9.6km/hまで落ちるのか
「ロードバイクに替えたのに、通勤時間はほとんど変わらなかった」。これは売り場でよく聞く話です。原因は自転車ではなく、道のほうにあります。
信号と交差点が7〜9km/hを奪っていく
先ほどの論文では、都市部に1周約5kmのコースを設定し、自転車道・自転車歩行者道・車道・細街路を実際に走って旅行速度を測っています。その結果、コース全体の平均旅行速度は9.6km/hでした。自由旅行速度と比べると7〜9km/hも低い数字です。
理由は単純で、信号待ちや交差点での減速・停止が平均を押し下げるからです。この調査地域では、交差点が延長の15%を占めていたと報告されています。一度止まるたびに、止まっている時間に加えて、再加速にも時間とエネルギーを使います。
通勤ルートで考えると、信号が多い幹線道路沿いより、少し遠回りでも信号の少ない裏道のほうが早く着くことがあります。ルートを選ぶときは距離だけでなく、「止まる回数」を数えてみてください。
ただし、信号を避けるために細い路地を選ぶ場合は、飛び出しに備えて速度を落とす必要があります。見通しの悪い交差点や曲がり角付近は、法律上も徐行が求められる場所です。速さを稼ぐつもりで無理をすると、本末転倒になります。

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車道14.5km/hと歩道11.6km/h、通る場所でも差が出る
同じ調査では、走った空間ごとの旅行速度も出ています。車道・細街路・自転車道はいずれも14.5km/h程度、自転車歩行者道(自転車が通行できる歩道)は11.6km/hでした。歩道のほうがはっきり遅くなっています。
歩道が遅くなるのは、歩行者を避けたり、徐行したりする必要があるからです。道路交通法では、自転車が歩道を通るときは車道寄りの部分を徐行し、歩行者の通行を妨げるときは一時停止しなければなりません。つまり歩道は「速く走れない前提」の場所なんです。
ここで意外と知られていないのが、「歩道は安全だから歩道を走る」という選び方が、スピードの面では損をしているという点です。そもそも自転車は車道の左側通行が原則で、歩道を通れるのは標識がある場合や、13歳未満の子ども・70歳以上の人・車道の通行が危険な場合などに限られます。
とはいえ、交通量の多い幹線道路の車道を無理に走るのもおすすめしません。自転車専用通行帯や、交通量の少ない並行道路を探すのが現実的な答えです。通勤ルートを決める前に、一度ゆっくり下見しておくと安心です。
所要時間は「9.6km/h」と「16.8km/h」の2本で見積もる
通勤・通学の所要時間は、街中の9.6km/hと信号なしの16.8km/hを両端にして見積もると外れにくくなります。計算は「距離÷速度」だけです。
・片道5km:信号の多い街中(9.6km/h)なら約31分、信号の少ない道(16.8km/h)なら約18分
・片道10km:街中(9.6km/h)なら約63分、車道中心(14.5km/h)なら約41分、信号の少ない道(16.8km/h)なら約36分
地図アプリの自転車ルート時間は、信号待ちが少なめに見積もられていることがあります。初回は余裕を持って出発しましょう。
このように、同じ10kmでも道の条件で所要時間は大きく変わります。自分のルートがどちらに近いかは、信号の数でおおよそ判断できます。
注意したいのは、雨の日や向かい風の日はさらに遅くなることです。見積もりはあくまで晴れた日の目安と考えてください。
失敗パターン:信号なしの速さで通勤時間を計算して遅刻
よくある失敗が、休日に河川敷で測ったスピードをもとに通勤時間を計算してしまうケースです。たとえば「16.8km/hで走れたから、片道10kmは約36分」と見積もって家を出たら、信号と交差点だらけのルートで約63分かかった、というような状況です。
原因は、自由旅行速度と旅行速度を混同していることです。通勤ルートの平均は、脚力ではなく信号の数で決まります。
対策は2つです。1つは、初回の通勤は必ず時間に余裕を持って走り、実際にかかった時間を記録すること。もう1つは、サイクルコンピューター(サイコン)やスマホアプリで「平均速度」を記録しておくことです。数回走れば、自分のルートの本当の平均がわかります。遅刻しそうになって信号を急いで渡るような走り方は、事故のもとになるので避けてください。
スピードを決めているのは脚力より「3つの抵抗」

自転車のスピードは、ペダルを踏む力と、それを邪魔する抵抗の綱引きで決まります。抵抗を減らせば、同じ力でも速く、または同じスピードでも楽に走れます。
空気抵抗はスピードが上がるほど大きな壁になる
自転車が受ける抵抗のうち、スピードが上がるにつれて大きくなるのが空気抵抗です。空気抵抗はおおむね速度の2乗に比例して増えるので、ゆっくり走っているときは気にならなくても、速く走ろうとするほど急に重くなっていきます。
この抵抗を減らすいちばん手軽な方法は、姿勢を低くすることです。上半身を起こしたまま走るシティサイクルと、前傾姿勢をとれるロードバイクの差は、主にここから生まれます。風になびく上着や大きなバッグも抵抗を増やします。
向かい風の日に「今日は脚が重い」と感じるのも、空気抵抗のせいです。こういう日は無理にスピードを保とうとせず、軽いギアに落として回転を保つほうが疲れにくく、結果的に平均も落ちにくくなります。
ただ、前傾を深くしすぎると視線が下がり、前方の確認がおろそかになります。街中では低い姿勢より周囲を見渡せる姿勢のほうが大切です。速さのために安全を削らないようにしてください。
タイヤの空気圧が低いとスピードは確実に落ちる
見落とされがちですが、スピードに直結するのがタイヤの空気圧です。空気が抜けたタイヤは路面との接地が増えて転がり抵抗が大きくなり、ペダルが重く感じます。「最近なんだか遅い」と相談に来られる方の多くが、実は空気不足です。
適正な空気圧はタイヤごとに違い、タイヤの側面に推奨範囲が印字されています。その範囲に入れるのが基本で、数字は車種やタイヤ幅で大きく変わるので、ほかの自転車の数値をまねしないでください。スポーツ車の細いタイヤは空気が抜けやすく、こまめな補充が前提です。
シティサイクルの英式バルブでも、空気圧計付きのポンプを使えば管理しやすくなります。週に1回、乗る前に指でタイヤを押してみて、へこむようなら補充する習慣をつけるだけでも走りは変わります。
注意点は、入れすぎも良くないことです。側面の上限を超えると跳ねるような乗り心地になり、グリップも落ちます。必ずタイヤの表記の範囲内に収めてください。

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ギアは「重くして踏む」より「軽くして回す」
変速付きの自転車で速く走ろうとすると、つい重いギアで力いっぱい踏みたくなります。ところが、長い距離でスピードを保つには、少し軽めのギアでペダルをくるくる回すほうが効率的です。
ケイデンス=1分間にペダルを回す回数。同じスピードでも、軽いギアならケイデンスが上がり、重いギアなら下がります。
自由旅行速度=信号や歩行者などに邪魔されない状態で走るスピード。
旅行速度=信号待ちや減速も含めた、出発から到着までの平均スピード。
重いギアで踏み続けると太ももの筋肉がすぐに疲れ、後半にスピードが落ちます。軽めのギアで回すと心肺で走る感覚になり、疲れが分散します。信号で止まる前に軽いギアへ落としておくと、再発進も楽です。
内装3段のシティサイクルでも考え方は同じで、漕ぎ出しは軽いギア、スピードが乗ってから重いギアへ切り替えるとスムーズです。
ただし、軽すぎるギアで足だけ空回りするのも非効率です。ペダルに軽く抵抗を感じながら回せる段を探してみてください。
車重が効くのは坂道と漕ぎ出し
「軽い自転車ほど速い」とよく言われますが、平地を一定のスピードで走っている間は、車重の影響は空気抵抗やタイヤほど大きくありません。車重が効いてくるのは、坂を上るときと、止まった状態から加速するときです。
つまり、信号の多い街中や坂の多い地域では車重の差を体感しやすく、信号の少ない平地ではそれほど感じません。先ほどの調査で、20km/h以上で走る人が電動アシストに乗ると遅くなったのも、アシストの切れる速度域で重さが効いたためと考えられます。
車体を軽くする以外にも、荷物を減らすことで同じ効果が得られます。前かごに重い荷物を入れると、ハンドル操作も重くなります。通勤なら、必要なものだけをリュックかリアキャリアにまとめるのがおすすめです。
注意点として、軽さだけを求めてスタンドや泥よけ、ライトを外すのは避けてください。特にライトは夜間の点灯が義務です。無灯火は反則金5,000円の対象になります。
今の自転車のまま速く楽に走る5つのコツ
新しい自転車を買わなくても、スピードはまだ上げられます。売り場で「まずこれをやってみてください」と伝えている順に紹介します。
サドルの高さを合わせるだけで脚の力が伝わる
いちばん効果が出やすいのがサドルの高さです。サドルが低すぎると膝が深く曲がったまま漕ぐことになり、太ももの前側ばかりが疲れて、力がペダルに伝わりません。シティサイクルで「足がべったり着く高さ」にしている方は、ほぼ間違いなく低すぎます。
目安は、ペダルがいちばん下に来たときに膝が軽く曲がる程度です。スポーツ車ではもう少し高めにするのが一般的ですが、最適な高さは体格や股下で変わるので、メーカーの案内や自転車店で確認してください。
通学・通勤でシティサイクルに乗る方は、止まったときにつま先が着く程度を目安にすると、安全と漕ぎやすさを両立しやすいです。
注意点は、シートポストに刻まれた限界線(これ以上抜いてはいけない印)を超えて上げないことです。超えるとシートポストやフレームを傷める危険があります。固定ボルトの締め具合に不安があれば、自転車店に任せてください。
チェーンの汚れと油切れは「見えないブレーキ」
チェーンが黒く汚れていたり、油が切れてシャリシャリ音がしたりしていると、ペダルの力が抵抗に食われます。雨の日に乗った後や、しばらく乗っていなかった自転車は特に要注意です。
手入れの手順はシンプルです。①ウエスでチェーンの表面の汚れを拭き取る ②専用のチェーンオイルをローラー部分に1コマずつ差す ③ペダルを逆回転させてなじませる ④余分なオイルをしっかり拭き取る。余分な油を残すと、かえって砂ぼこりを呼びます。
クロスバイクやロードバイクのように外装変速の自転車は、チェーンの状態が変速の調子にも直結します。シティサイクルでもチェーンケースの隙間から状態を確認しておきましょう。
注意点として、潤滑スプレーをブレーキやホイールのリムにかけないでください。ブレーキが効かなくなり危険です。スプレーを使うときは、ウエスで周りを覆ってから差すようにします。
漕ぎ出しと信号の読み方でロスを減らす
街中の平均スピードを上げるいちばんの近道は、脚力を鍛えることではなく「無駄に止まらない・無駄に加速しない」ことです。遠くの信号が赤なら早めにペダルを止めて惰性で近づけば、止まる時間が短くなることもあります。
止まる前には軽いギアに落としておき、発進では最初の数回転を軽く回してからギアを上げます。重いギアで無理に踏み出すと、ふらつきやすく疲れもたまります。
ここで大事なのは、黄色や点滅信号で急いで渡らないことです。信号無視は反則金6,000円、点滅信号の無視でも反則金5,000円の対象です。数十秒を稼ぐために、反則金と事故のリスクを背負う価値はありません。
①タイヤの空気圧をタイヤ側面の範囲に合わせる ②サドルの高さを見直す ③チェーンを拭いて注油する ④軽めのギアで回す ⑤止まる回数の少ないルートを探す。どれも費用はほとんどかからず、今日から試せます。
「速く走る」より「平均を落とさない」が近道
実は、通勤時間を縮めたいなら最高速度を上げるより、遅い区間を減らすほうが効果的です。止まる回数を減らし、上り坂で失速しすぎないように軽いギアで粘る。この積み重ねで平均スピードは上がります。
全力で飛ばして交差点ごとに急ブレーキをかける走り方は、疲れるわりに平均が上がりません。一定のペースで淡々と走る人のほうが、到着が早いことはよくあります。
体力づくりやダイエット目的なら、信号の少ないサイクリングロードで一定のペースを保つ時間をつくると、運動としても効率がよくなります。
注意点として、スピードを意識しすぎると周囲への注意が落ちます。歩行者の多い場所では、スピードの目標をいったん忘れてください。
自転車に速度制限はある?スピードの法律を整理
「自転車には制限速度がない」と聞いたことがある方も多いと思います。半分は正しく、半分は誤解です。2026年4月から自転車にも青切符(交通反則通告制度)が始まった今、正確に知っておきましょう。
自転車に法定速度はないが、標識の最高速度は守る
道路交通法の政令で決まっている「法定速度」は、自動車が60km/h、原動機付自転車が30km/hで、自転車には法定速度の規定がありません。標識がない道路なら、自転車は法律上のスピードの数値の上限を持たない、ということです。
ただし、道路標識で最高速度が指定されている道路では、自転車もその速度を超えて走ってはいけません(道路交通法第22条第1項)。下り坂で標識の速度を超えるのは、ロードバイクなら十分ありえる話です。
そして2026年4月1日からは、16歳以上の自転車の運転者に青切符が適用されています。警察庁の自転車をはじめとする軽車両の反則行為と反則金の額には、速度超過も含まれています。
| 超過速度 | 反則金 |
|---|---|
| 15km/h未満 | 6,000円 |
| 15km/h以上20km/h未満 | 7,000円 |
| 20km/h以上25km/h未満 | 10,000円 |
| 25km/h以上30km/h未満 | 12,000円 |
注意点として、標識の見落としは言い訳になりません。下り坂の多いルートでは、標識の速度を意識してください。

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2026年9月からの生活道路30km/hは自転車の対象外
2026年9月1日から、中央線などがない生活道路では、自動車の法定速度が60km/hから30km/hに引き下げられました。警察庁の案内では、対象は自動車と原動機付自転車とされています。
もともと自転車には法定速度がないので、この改正で自転車の速度の数値が決まったわけではありません。「自転車も30km/hに制限された」という説明を見かけたら、それは誤解です。
一方で、自転車に乗る人にとっては関係の深い改正です。狭い住宅街で自動車の速度が下がれば、自転車が車道を走るときの危険も減ります。改正の狙い自体が、歩行者や自転車の安全確保にあるからです。
ただ、自転車に数値の制限がないからといって、生活道路を自由に飛ばしてよいわけではありません。次で説明する「安全運転義務」と「徐行義務」が、実質的な速度のブレーキになっています。
歩道と交差点では「徐行」、それ以外は「安全な速度」
自転車のスピードで本当に気をつけたいのは、数字よりも「徐行」の義務です。警察庁の自転車ルールブックでは、徐行を「直ちに停止することができるような速度で進行すること」と定義しています。
徐行が求められる主な場面は、歩道を通るとき(車道寄りの部分を徐行)、左右の見通しがきかない交差点や曲がり角付近、坂の頂上付近や急な下り坂などです。違反すると、歩道徐行等義務違反は反則金3,000円、徐行場所違反は反則金5,000円の対象になります。
さらに道路交通法第70条では、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転する「安全運転の義務」が定められていて、違反すると安全運転義務違反として反則金6,000円の対象です。スピードの出しすぎで歩行者を驚かせるような走り方は、数値の制限がなくてもこの義務に反するおそれがあります。
「制限速度がない=どれだけ出してもよい」ではなく、「場所ごとに安全な速度を自分で選ぶ責任がある」と理解してください。
電動アシストが24km/hで重くなるのは法律の決まり
電動アシストに乗っていて、ある速度から急にペダルが重くなると感じたことはありませんか。故障ではなく、法律で決まった仕組みです。
アシスト比率は10km/hから下がり始め、24km/hでゼロになる
電動アシスト自転車のアシストの強さは、道路交通法施行規則で決められています。消費者庁の注意喚起にもある通り、10km/h未満では人の力1に対してモーターが最大2(1対2)まで補助でき、10km/h以上24km/h未満では速度が上がるほど補助が徐々に減り、24km/h以上では補助力がゼロになります。
つまり、電動アシストが得意なのは漕ぎ出しから10km/hまでの加速と、スピードの落ちる上り坂です。平地で24km/hに近づくほど、自分の脚で走る割合が増えていきます。
この仕組みを知っていると、電動アシストの上手な使い方が見えてきます。無理に高いスピードを保とうとせず、アシストがしっかり効く速度域でゆったり巡航するのが、いちばん疲れにくい乗り方です。
注意点として、アシストで漕ぎ出しが軽いぶん、交差点や歩道で思ったよりスピードが出てしまうことがあります。特に子ども乗せモデルは車体が重く止まりにくいので、早めのブレーキを心がけてください。
24km/hを超えると重さがそのまま脚にくる
アシストが切れる速度を超えて走るとき、電動アシスト自転車はただの重い自転車になります。先ほどの調査で、20km/h以上で走る人が電動アシストに乗ると遅くなったのも、この速度域での重さが原因と考えられます。
ですから、スピードを求めてスポーツ走行をしたい人は、電動アシストのシティサイクルより、軽いクロスバイクのほうが満足しやすいです。反対に、坂道や漕ぎ出しを楽にしたい人には、電動アシストが向いています。
最近はスポーツタイプの電動アシスト(e-bike)も増えていますが、日本国内で販売される電動アシスト自転車であれば、補助がゼロになる速度は同じ基準です。スペックを見るときは、モーターの補助が「どの速度まで、どれくらい効くか」という視点でチェックしましょう。
注意点は、アシストが切れた状態でバッテリー残量がなくなると、重い車体をすべて自分で動かすことになる点です。長距離では充電の残量にも気を配ってください。

いま乗っている自転車に、モーターとバッテリーを取り付けて電動アシスト化できないか。坂の多い通勤路で毎朝汗だくになっている人や、子どもを乗せて走るのがつらくなって…
失敗パターン:通販の「電動自転車」がバイク扱いだった
もう1つの失敗パターンが、ネット通販で「電動自転車」として安く売られていた車体を買ったら、実は法律上の電動アシスト自転車ではなかった、というケースです。
原因は、アシスト比率の基準を超えていたり、ペダルを漕がなくても走るスロットル(アクセル)が付いていたりすることです。警察庁のルールブックでは、こうした車両は「ペダル付き電動バイク」として一般原動機付自転車等に該当し、運転免許やヘルメット、ナンバープレートが必要になると説明されています。スピードが出て便利そうに見えても、そのまま自転車として公道を走ると法令違反です。
対策は、購入前に型式認定の有無を販売ページやメーカーに確認することです。すでに持っている車体が怪しいと感じたら、使用をやめて販売店に相談してください。
自分のスピードを測ると走り方が変わる
ここまでの数字を自分の走りに当てはめるには、スピードを測るのがいちばんです。測ると「思ったより遅い」「止まっている時間が長い」といった発見があります。
スマホアプリとサイクルコンピューター、どちらで測る?
手軽なのはスマホのGPSアプリです。無料のものも多く、走ったルートや平均スピードを地図付きで記録できます。一方で、走行中に画面を見るにはハンドルにスマホを固定する必要があり、電池の消耗も気になります。
サイクルコンピューター(サイコン)は、ハンドルに付けた小さな画面に現在のスピードを常に表示してくれる機器です。車輪に付けた磁石とセンサーで回転を数えるタイプは、GPSが届きにくいビルの谷間でも数値が安定しやすいのが利点です。
記録を振り返りたい人はアプリ、走りながらスピードを見たい人はサイコン、という使い分けがおすすめです。両方を併用している方もいます。
注意点として、走行中にスマホを手に持って画面を見るのは厳禁です。携帯電話使用等(保持)は反則金12,000円の対象になります。画面を確認するのは、必ず止まってからにしてください。
入門ならCATEYE VELO7が数字をシンプルに見せてくれる
スピードを知ることが目的なら、キャットアイの有線式サイコン「VELO7(CC-VL520)」が入門機として手頃です。現在速度・最高速度・平均速度・走行距離・積算距離・走行時間・時計の7機能を備え、大きな液晶で数字が読みやすいモデルです。
| 重量・サイズ | 30g/55.5×37.5×18.5mm(メーカー公表値) |
| 方式・対応 | 有線式・車輪マグネットセンサー/700Cを含む主要なホイール径に対応 |
| 電池 | CR2032×1、約3年(1日1時間使用) |
| 価格 | ワイズロードオンラインの通常価格2,508円(セール時は1,756円程度・時期により変動) |
有線式なので電波の混信を気にせず使え、雨天走行時の計測エラーを防ぐ耐雨機能もあります。オートスタート対応で、走り出すと自動で計測が始まります。
デメリットは、スマホとの連携や走行ログの保存ができないことと、ケーブルをフレームに沿わせる取り付けにひと手間かかることです。記録を残したい人はアプリとの併用を考えてください。
見るべきは最高速度より平均速度と走行時間
サイコンを付けると、つい最高速度に目が行きます。でも通勤時間を縮めたり、体力の伸びを確かめたりするのに役立つのは、平均速度と走行時間のほうです。
たとえば同じルートを走って、平均速度が上がっていれば走りが上達している証拠です。逆に、平均速度はそこそこなのに到着が遅いなら、信号待ちなどの止まっている時間が長いということ。ルートを変える判断材料になります。
| 目的・シーン | 見るべき数字 | ポイント |
|---|---|---|
| 街中の通勤・通学 | 到着までの時間 | 9.6km/hで見積もり、止まる回数を減らす |
| 週末のサイクリング | 平均速度 | 軽快車なら16.8km/hが平均的な目安 |
| 電動アシストでの移動 | 現在速度 | 24km/h未満の補助が効く速度域で巡航 |
| スポーツ車の下り坂 | 現在速度と標識 | 標識の最高速度を超えない |
注意点として、画面の数字に気を取られて前方から目を離さないようにしてください。確認は一瞬、視線はすぐ前へ戻すのが鉄則です。
まとめ:自転車のスピードは「止まる回数」と「場所ごとの安全な速度」で決まる
最初の一歩は、次に乗る前にタイヤ側面の空気圧表示を確認して、その範囲まで空気を入れることです。それだけでペダルの軽さが変わるはずです。
※反則金や法令の内容は改正されることがあります。最新情報は警察庁などの公式サイトでご確認ください。

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